映画「
菊池澄子による児童文学「わたしの母さん」を原作とする本作は、障害のある夫婦の間に生まれた高子が、両親に反発しながら葛藤を乗り越えていく物語。知的障害を持つ母・清子を寺島が演じ、小学生の高子に落井、福祉施設の園長になった現在の高子に常盤が扮した。
寺島は「本日はご来場いただきましてありがとうございました。監督の要望にお応えできるように、精一杯やらせていただきました。楽しんでいただけると幸いです」と挨拶。常盤は、山田火砂子の前作「われ弱ければ 矢嶋楫子伝」に出演したときのことを回想し、「その映画では『50歳を過ぎてもゆっくりとくつろいではいけない。もっとみんなで世の中を学んでいこうよ』というセリフがあるんです。『わたしのかあさん』で描かれている福祉の問題もきっと同じことだと思う」と言葉を紡ぐ。そして「これから1つひとつ、みんなでいろいろなことを学んでいけたら」と呼びかけた。
落井は撮影時を振り返り「高子ちゃんの気持ちの変化を考えながら撮影をしていたので、ぜひ注目してください!」と元気いっぱいにアピール。社会福祉活動を32年間続けているという東は「普段ボランティアをしているから(本作の出演に)お声がかかったのかと思っていたら、そういう理由ではないそうで(笑)」と前置きしたあと、「作品の中では『人間の価値とは何か』とか『人間の賢さってこういうことじゃないのか』というような、いいセリフをいっぱい言わせていただきました」と感謝を伝えた。
山田邦子は周りを見回しながら「こんな大女優の方たちとご一緒できたことが本当にうれしい。しかもボケ老人の役なんだから!」と話し、会場を笑わせる。「ロケの日は土砂降りの日でした。瞬きをするともう出番が終わってしまうほどの短いシーンへの出演だったので、舞台挨拶には呼ばれないと思ってましたよ。まさかの全員いるんだから!(笑)」と思いを吐露する。本作で山田火砂子の作品に初出演となった窪塚は「監督から出るものづくりへのバイタリティにずっと圧倒されてました」と述懐。「初めてお会いしたのは衣装合わせのときだったと思いますが、監督は世間話をしながらファストフードを召し上がってて。そのスタイルがとてもかわいらしくて『楽しみな現場が待ってるな』と思いました」と話した。
山田火砂子の監督作品に2度出演経験のある松木は「監督の作品からは勇気や愛をいただけます」と語る。そして92歳の山田火砂子を労りつつ「もっと監督にはがんばっていただいて、世の中に愛をいっぱい振りまいてもらいたい」と訴えた。横にいる磯村と「私は18歳よ!」「嘘つきなさい、私は20歳なんだから」と漫才のような掛け合いをする一幕も。「監督にも『コンビ組んだら?』って褒められましてね」とうれしそうに話す磯村は、「過去ではなく、未来に向かって進んでいくためにこの映画は大きな力になると思います」と言葉に力を込めた。
登壇者に迎えられながら最後に登場した山田火砂子は、「お医者さんに『働きすぎ』って言われるほど、私は働いてるおばあちゃん。必死になって映画を作りました」と丁寧に語りかける。「お客さんに育ててもらった人生だから、賞よりもたくさんのお客さんに観に来てほしいと思っている。泣いたり笑ったりできる面白い映画ですよ」と述べたあと「なんとか92歳まで、しがみついて仕事したかいがありました。人生喜びながら、泣きながら働いております!」とコメントし、観客から大きな拍手が送られた。
「わたしのかあさん ー天使の詩―」は今後、地方自治体や教育委員会の後援で非営利の全国巡回上映を実施。3月30日より東京・K's cinemaほか全国の劇場で順次公開される。
AVENIRアヴニール @AVENIRent
【完成披露舞台挨拶レポート】常盤貴子が「わたしのかあさん」で福祉の問題をアピール「みんなで学んでいけたら」(写真21枚) https://t.co/elbkbl4zP7