丸山正樹による同名小説を映像化した本作は、ろう者の両親の間に生まれた耳が聴こえる子供、コーダ(Children of Deaf Adults)を主人公としたミステリー。仕事と結婚に失敗した荒井尚人は、唯一の技能である手話を生かし「手話通訳士」として新たな人生のスタートを切るが、やがて自身が関わったある事件と対峙する。草なぎが尚人を演じ、「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」の
このたび尚人を取り巻く人物たちのキャストが明らかに。ろう者支援活動のNPO団体「フェロウシップ」の代表で、尚人に手話通訳士の専属契約を依頼する手塚瑠美に橋本が扮する。また尚人と交際している元同僚・安斉みゆき役で松本、管内で発生した殺人事件と17年前の事件の関係に気付く刑事・何森(いずもり)稔役で遠藤が出演した。
新キャスト3人と、脚本を手がけた高橋美幸、音楽を担当した原摩利彦からのコメントは以下に掲載している。
「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」はNHK総合で12月16日、23日の22時より放送。
※草なぎ剛のなぎは弓へんに前の旧字体、その下に刀が正式表記
橋本愛 コメント
撮影を終えての感想
とても大事な役割を私に委ねていただいたことに、感謝しかありません。
原作小説を読んだとき、これまでの無知を心から恥じると同時に、今知れてよかった、と思いました。
けれど全てを知った気になってはいけない、とも思っています。
瑠美や荒井さんや、登場人物たち一人一人の歴史、人生を、多くの人に知ってほしいです。そして、私たちが今生きる社会を見つめ直すきっかけになれたらと思います。
ろう者との共演について
これまで、ろう者や中途失聴者、難聴者などの役を聴者が演じることが多く、当事者が演じる機会は極めて少なかったと聞きました。
それによって、当事者の方々の実際の姿や現実とは乖離した表現を作品に落とし込んでしまうことは、とても恐ろしいことです。
当事者性を軽視することなく、ろう者の方々の尊厳を守りながら表現するにはどうしたらいいのか、ずっと考え続けていました。
このドラマが、これからの時代に風穴を開ける存在になって欲しいと願います。
手話について
まず、手話指導をしてくださった江副さん、米内山さんに心から感謝しています。手話通訳士の皆さまにも、たくさんお力添えをいただきました。本当にありがとうございます。
手話を覚えるのは最初こそ頭がパンクしそうになっていましたが、どんどん体に馴染んでいき、少しでも「本物」に近づきたい、いや「本物」でなければ意味がない、と突き詰めていく過程は、本当に楽しかったです。
聴こえない人が聴こえることはできなくても、私(聴者)は手話を覚えることができる。
そうすれば、目の前に流れる川を飛び越えるように、自分とは違う誰かとコミュニケーションを取ることができる。
そのことを希望に、手話と向き合っていました。
松本若菜 コメント
撮影を終えての感想
ワンシーンごと、とても丁寧に撮影が進みました。いろいろな感情が昂るシーンも少なくなかったので、私が演じる“安斉みゆき”の覚悟や愛情も強く感じていただけるのではないかと思っています。
ろう者との共演について
ろう者の方々が多く出演されるにあたり、オーディションが行われたり、リハーサルも回数を重ねたとお聞きしました。
みなさん笑顔がとても素敵で、「お疲れ様です」などの簡単な手話でしたが、コミュニケーションをとらせていただきました。
とにかく表情が豊かで、素晴らしいみなさんでした!
手話について
草なぎさん演じる荒井尚人の心の奥深くに刻まれた傷の部分が露呈するところから物語は始まります。観ていくうちに、緊張感のあるサスペンス要素が深まり、謎が多く散りばめられていきます。
また、家族との在り方も見所となっています。
展開や人々との繋がりが心に残るような作品になって、みなさんに届くことを願っております。
遠藤憲一 コメント
撮影を終えての感想
脚本と原作を読んで一気に興味が湧きました。ヒューマンドラマとサスペンスが見事にミックスされた作品です。
以前から共演したかった草なぎ剛君と共演できたのも嬉しかったです。
奥行きのある脚本、監督の緻密な演出で力強い作品になっていると思います。
ろう者との共演について
オーディションを勝ち抜いたろう者の方々の演技が素晴らしいです。待ち時間には楽しくやり取りして、いろんなことを教えてもらいました。
手話について
私は刑事の役で手話をすることがないため事前に学びにいくことはありませんでしたが、現場でたくさん言葉を教えていただきました。
豊かな表現力でお話しされる皆さんとのひと時が楽しく、現場に向かう毎日がとても楽しみでした。
高橋美幸(脚本)コメント
執筆にあたり、まずは「ろう者」「中途失聴者」「コーダ」や関係者の方々を取材。年代によって違う「ろう教育」の関連資料を元に作成した歴史年表と照らし合わせながら、登場人物一人一人の生い立ちや履歴を書き込む所から始めました。それぞれの背景を知らなければ、その「言葉」を書く事はできないと思ったからです。
「自分とは何者か?」普遍的なテーマに辿り着くために原作者が見つけた「ろう者」と「聴者」の狭間にいる「コーダ」の主人公。その視点で、事件や事件に関わってしまった人々の想いを紐解く中、見失っていた「自分」、すれ違っていた「家族」の絆が、炙り絵の様に浮かび上がるドラマを目指しました。
原摩利彦(音楽)コメント
台本を一読して、頭で考えるのではなく、自然と自分の体から音楽が出てくるのを待った方がよいと思いました。
尚人のことを考えたり、別のことに没頭したりしながら、この物語が自分の中に沁み込んでいくのを待ちました。
ある日、ピアノの鍵盤に手を置いてみると何かを思い出したように指先から旋律の断片が出てきました。これを頼りに音楽を構築しています。
尚人の呼吸とともに存在しているような音楽が書けたと思っています。
軸うまおやじ @jikuumaoyaji
@eiga_natalie 楽しみ~