愛を知らず育った少女の前に突然母親が現れる、新鋭監督による「彼岸のふたり」公開

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北口ユースケの長編監督デビュー作「彼岸のふたり」が2月4日より東京の池袋シネマ・ロサほか全国で順次公開される。

「彼岸のふたり」ポスタービジュアル

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「彼岸のふたり」場面写真

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本作では室町時代の堺市に実在したと言われる伝説の遊女・地獄太夫をモチーフに、1人の少女の成長と葛藤が独自の視点で描かれる。主人公は、児童養護施設で育った西園オトセ。施設を離れ自立の道を模索する彼女の前に、14年間音信不通だった母・陽子が突然現れ、逃れられない過去と現実を突き付ける。

「彼岸のふたり」場面写真

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アイドルとしても活躍する朝比奈めいりがオトセ、「14歳」「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」の並木愛枝が母親を演じたほか、ドヰタイジ寺浦麻貴らが出演。監督の北口は、サンパウロ国際映画祭の新人監督部門にノミネートされ、ライジングサン国際映画祭では最優秀監督賞を受賞した。

本作は2022年10月に大阪・シアターセブンで先行公開され、2023年3月18日から大阪・第七藝術劇場での凱旋上映が決定している。YouTubeでは予告編が公開中。

北口ユースケ コメント

「彼岸のふたり」の準備に取りかかった時、私は父親になったばかりだった。慣れない子育てに奮闘しながら、その一方で映画を通して虐待について考えていた。虐待をする親の感情なんて理解したくもなかったが、育児からくるストレスは想像以上だった。それが積み重なり、手は出さないまでも、自分でも驚くような声で思わず子どもを怒鳴ったこともある。後で冷静になり、後悔と自責の念に駆られる。自分は踏みとどまれたが、そうじゃない人がいるというのは容易に想像ができた。
肉体的なものにしろ、精神的なものにしろ暴力は良くない。そんなこといちいち言うまでもないが、環境次第で人間は簡単に変化できる気がした。人は愛し合うし、傷つけ合う。好きだった人を嫌いにもなるし、嫌いだった人を好きにもなれる。
人間は変われる。良くも悪くも。そんな思いを、オトセと陽子というふたりに託しました。2人の人生が良い方向に変わっていくと信じて。

朝比奈めいり コメント

画面からじっとりと湿度を感じるほど、登場するキャラクターのそれぞれの心情を、とても近い距離で描いた映画です。私は「西園オトセ」として全力で撮影に挑みました。その形は違ってもオトセの抱える不安や葛藤は、決して他人事では無いのではないかと思います。観てくださる方の心に何か残るものがありますように…!

並木愛枝 コメント

いわゆる毒親、陽子という役を具現化させるに欠かせない要素として、あえて取り入れたものがあります。
娘オトセに対する一欠片の愛情です。子供からしたらどんなクソみたいな親でも、我が子を想う心があって欲しい、
たとえ砂一粒ほどでもいいから…と切実に願うでしょう。すっかり大人の私でさえそう願ってます。
綺麗事で取り入れたのではありません。私の演じた陽子の最も残酷な部分が一欠片の愛情だと思っています。
オトセの切なる願いを、僅かばかりの希望を幾度と踏みにじるのですから。
心がエグられるようなニュースを目にした時、加害者を人間ではない何者かに思いたくないのです。
だからこの先も、憎まれ役を人間臭く演じて行きます。

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(c)2022「彼岸のふたり」製作委員会

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よんだぶ シャドウバン?もう、どうでも良いです @yondabu

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