終戦前夜の“劇的な夕暮れどき”を描く、義理姉妹3人の物語「演者」3月に公開

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小野寺隆一の長編初監督作「演者」が、3月25日より東京・K's cinemaで特別先行上映される。

「演者」場面写真

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本作は、終戦前夜の昭和20年、とある村で暮らす義理の姉妹3人の物語。気を病んで幼い子のように振る舞う長男の嫁・智恵、智恵はおかしくなったふりをしているのではと疑う次男の嫁・陽子、義姉を気遣う日々を送る三男の嫁・恵美の“劇的な夕暮れどき”が描かれる。

小野寺が企画・監督・脚本を担当し、彼が所属していた劇団前方公演墳の主要メンバーがキャストに名を連ねた。藤井菜魚子河原幸子広田あきほ中野圭織田稚成金子透安藤聖樋口真衣大多和麦西本早輝、そして小野寺が出演する。小野寺は「『演じる』こととはなんなのか考え続けた仲間たちと共に『演じている』かどうかを作品にしました」と語った。

YouTubeでは予告編が公開中。なお本作のタイトルロゴとなる題字は、映画監督の豊田利晃が手がけた。

小野寺隆一 コメント

「演者」は2020年のコロナ禍の中、企画されました。多くの舞台公演が中止される中、22年間という長い時間を共にした劇団の仲間たちとの別れがありました。
そして疫病禍のもと世界中が分断していく中の企画でした。

死生観を問われるコロナ禍の中で、大国同士がいがみあう先にどんな未来が待っているのか自問自答を重ねてこの作品の企画をたてました。
まるで何かを予見したかのように完成後にウクライナでの戦争がはじまったことは大きな衝撃でした。「本当に戦争なんてやっているのかしら?」劇中で登場人物がつぶやきます。
地や爆撃地から遠く離れた疎開地で徐々に生活が変化していく中での何気ない一言は、情報だけが届く今の僕たちに直接伝えているかのようでした。

あのひとけのなくなった街も、当たり前になった距離感も、テレビに映るミサイルも。まるで現実世界とフィクションの世界が逆転してしまったような錯覚を覚えました。
フェイクが溢れた現実世界を生きる登場人物の僕はこの世界で何を演じているのだろう?
自分でも気づかないうちにまとわりつくように演じられた何かを自分としているのではないだろうか。
そんなあやふやで所在がなくなった自分に「ほんとう」を問いたいと思います。

「演じる」こととはなんなのか考え続けた仲間たちと共に「演じている」かどうかを作品にしました。
この世界に生きる全ての「ほんとう」を探している皆様に届きますように願っています。

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