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本作は、夫の死を目撃した女性ハーパーが心の傷を癒やすために訪れた田舎街で全員同じ顔の男性と出会い、“得体の知れない恐怖”に直面するホラー。ハーパーをジェシー・バックリー、次から次へと現れる同じ顔の男たちをロリー・キニアが演じた。
映画のプロモーションとしては初来日を果たしたガーランド。日本の印象を問われると「想像力あふれる日本の文化は唯一無二だと思っている。絵画、陶芸、アニメ、映画、どれも連想する言葉は“匠”であり、その素晴らしさを感じさせてくれる文化を有しているよね」と頬をゆるませる。
主人公が“同じ顔”の男性と出会う物語について、ガーランドは「映画作りをするときは、いくつかの問いを観客に投げかけるイメージを持っている。答えを与えてくれるような、消化しやすい映画を作る気はないんだ」と述べ、「今作では2つの問いを投げかけた。1つは男たちは本当に同じなのか。もう1つは、男たちは皆違うけれどハーパーの立場からは同じに見えるのか。似たような問いだが、アングルが違うだけで情報が変わっていくんだ。今回はそういった試みをしているよ」と明かす。
ガーランドのファンと言う観客から「美しい自然を作品に取り入れる意図は?」と質問が及ぶと、ガーランドは「自分が大好きだった昔の物語を繰り返していくフィルムメーカーと、今起こっている出来事にリアクションしていくフィルムメーカーがいる。僕は後者の人間だ。単純に自然が大好きで、自然は僕の生活の一部なんだ。それが映画にも反映されている」と話す。続けて、「僕の映画はシュールレアリスムな側面が多いと思う。それって現実に即していないよね(笑)。でも、現実が一番奇妙だと思っている。僕はその奇妙さをベストな形で映画作りに生かしたいんだ」と述懐した。
また主演のバックリーとのコミュニケーションや演出について尋ねられると、ガーランドは「彼女は直感で演じる女優。彼女の演技に合わせて調整することもあった。僕は役者とコラボレーションしたいと思う監督だから、彼女とのコラボはすごくよかったよ。ハーパーのフラストレーションがジリジリと込み上げていくさまをどう演じるか、入念に話し合うこともあった。女性の主人公が叫ぶようなホラー映画の典型的な手法があるけれど、今回はそれを避けたかったんだ。彼女とは違う方向性を見出すことができて、監督として役者に委ねる楽しさを実感できたよ」と振り返った。
最後にガーランドは、会場に集まったファンへ「優しく迎え入れてくれてありがとう!」とメッセージを送り、イベントは幕を閉じた。
「MEN 同じ顔の男たち」は12月9日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。
※「MEN 同じ顔の男たち」はR15+指定作品
tAk @mifu75
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