PFF全ラインナップ解禁!青山真治とパゾリーニを特集、清原惟の新作も世界初披露

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第44回ぴあフィルムフェスティバル2022のラインナップ発表会が本日8月3日に東京・国立映画アーカイブで開催。生誕100年を迎えたピエル・パオロ・パゾリーニと、3月に死去した青山真治の特集が行われることがわかった。

「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022」フライヤービジュアル

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第44回ぴあフィルムフェスティバル2022ラインナップ発表会の様子。左から荒木啓子、三島有紀子、アルベルト・マナイ。

第44回ぴあフィルムフェスティバル2022ラインナップ発表会の様子。左から荒木啓子、三島有紀子、アルベルト・マナイ。[拡大]

“映画の新しい才能の発見と育成”をテーマに、自主映画のコンペティションであるPFFアワードや国内外の多彩な映画の特集を行う同映画祭。発表会にはPFFアワードの最終審査員を務める三島有紀子、イタリア文化会館文化担当官のアルベルト・マナイ、PFFディレクターの荒木啓子が出席した。

PFFアワード2022入選作品一覧

PFFアワード2022入選作品一覧[拡大]

年齢、性別、国籍、上映時間、ジャンルを問わないPFFアワードでは、520本から選ばれた16作品を上映。荒木は今年の作品群の特長を「半数以上が初監督の作品。コロナで時間ができて初めて撮ったという監督が多い。コロナによって考える時間、夢を実現する時間が生まれた。初めての人たちの初めての題材。今まで温めていたものが爆発している」と説明する。さらに「彼らが次にどんな作品を撮るのかは、映画祭で自分の作品を初めてスクリーンで観て、いろんな人の反応によって変わっていくんだろうと思います」と期待を込めて話した。

三島有紀子

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審査において何を重視するか問われた三島は「どの映画祭で審査員に呼んでいただいても同じ」と前置きしつつ「その人自身の特別なまなざしで見ているものがある。それがなんなのか、映画から見えること。その人が大好きな、その人オリジナルの、その人だけの表現方法があるかどうか。もっと感覚的に話すと、その映画のことを、描かれた人物のことをずっと考えたくなるか。引いては、その人物を通して今の社会を考えたくなる、思いたくなる、ということ。それが私にとって大事なポイントです」と話した。なお審査員には三島のほか、映画監督の菊地健雄、浪曲師の玉川奈々福、俳優のとよた真帆光石研が名を連ねている。

「すべての夜を思いだす」

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映画祭のオープニングでは「わたしたちの家」でPFFアワード2017のグランプリに輝いた清原惟の新作「すべての夜を思いだす」を世界初上映。PFFが企画、製作、公開までをプロデュースするスカラシップ作品で、清原にとっては5年ぶりの長編となる。出演は兵藤公美大場みなみ見上愛。東京・多摩ニュータウンですれ違う、世代が異なる3人の女性たちの断片的に響き合う1日が描かれるという。荒木は「清原さんがとても愛着のある多摩の団地街を舞台にした静かな作品」と紹介。映画祭のチラシには「誰かにとって大切な記憶が、誰かの1日と呼応する。街に積み重なる時間の痕跡に触れ、小さな変化が起きていく。そんな、春のやわらかな日差しに包まれた、ある1日の物語」と記載されている。

ピエル・パオロ・パゾリーニ

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パゾリーニの特集では、長編デビュー作の「アッカトーネ」から遺作となった「ソドムの市」までの計18本を16プログラムで上映。「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」と題し、パゾリーニの作品を未体験の世代に届ける狙いがある。荒木は大島渚賞を主催するPFFの立場から「大島渚監督は人の作品をぜんぜん褒めていない。その大島監督はパゾリーニの作品にだけ、いつも喜んでいる。その存在を楽しんでいた。それはいったいなんなのだろう、と思ったのが始まり」と特集を組むきっかけを説明。さらに「権利も複雑で完全な形での特集は無理だろうとあきらめかけていたところ、イタリア文化会館のご協力で“ほぼコンプリート”に近い形で特集を組むことができました」と付け加えた。

青山真治(撮影:池田正之)

青山真治(撮影:池田正之)[拡大]

「私立探偵 濱マイク/名前のない森」

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青山の特集では、キャリア初期を中心に計5作品を35mmフィルムで上映。「WiLd LIFe」からは主演の豊原功補、「月の砂漠」からは青山の妻でもあるとよたがトークゲストとして登壇する。またPFFスペシャル映画講座の1つとして「青山真治の音響、そして音楽」も開催。音響技師の菊池信之と音楽家の長嶌寛幸が、「私立探偵 濱マイク/名前のない森」を題材に、ミュージシャンとしても活動し、映画の音に強くこだわった青山の音作りを語り合う。

宮崎あおいのビデオメッセージより。

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会見には、青山と「EUREKA(ユリイカ)」など3作品で組んだ宮崎あおいがビデオメッセージを寄せた。宮崎は「今の私がこうしてお仕事を続けているのは、青山監督と出会って、青山組のかっこいいスタッフの方に出会ったからだといつも思っています。私にとって本当に大切な人です」と青山への思いを吐露。「スクリーンで観ることの難しかった5作品が上映されるとお聞きしました。私もとても楽しみにしています」「音や画に本当に素晴らしい感覚をお持ちだった青山監督が作られた作品を、ぜひ若い世代の方にも観ていただきたいです」と話した。

第44回ぴあフィルムフェスティバル2022は9月10日から25日にかけて国立映画アーカイブ、11月19日から27日にかけて京都・京都文化博物館で開催。PFFアワード入選作品はDOKUSO映画館、U-NEXTにて配信も行われる。ラインナップは下記の通り。宮崎によるメッセージはYouTubeで公開中だ。

※宮崎あおいの崎は立つ崎(たつさき)が正式表記

第44回ぴあフィルムフェスティバル2022

2022年9月10日(土)~25日(日) 東京都 国立映画アーカイブ
2022年11月19日(土)~27日(日)京都府 京都文化博物館

PFFアワード2022 入選作品

「アクト」
「石川君、行け!!」
「彼は誰時(かわたれどき)」
「暮れる」
「J005311」
「瀉血」
「水槽」
「スケアリーフレンド」
「バンド」
「ふちしすこ」
「ポラン」
「MAHOROBA」
「the Memory Lane」
「最も無害で、あまりにも攻撃的」
「幽霊がいる家」
「Lock Up and Down」

オープニング

第26回PFFスカラシップ作品「すべての夜を思いだす」

ピーター・バラカン氏の解説で楽しむ音楽映画シリーズ「ブラック&ブラック」

「ザ・ビッグ・ビート:ファッツ・ドミノとロックンロールの誕生」

ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ

「アッカトーネ」
マンマ・ローマ
ロゴパグ
愛の集会
大きな鳥と小さな鳥
アポロンの地獄
華やかな魔女たち
「イタリア式奇想曲」
豚小屋
「愛と怒り」
「アフリカのオレステイアのための覚書」
デカメロン
カンタベリー物語
アラビアンナイト(1974年)
ソドムの市(1975年)
「短編プログラム(3本立て上映)」

青山真治監督特集

「WiLd LIFe」(ゲスト:豊原功補)
「月の砂漠」(ゲスト:とよた真帆)
赤ずきん(2008年)」「路地へ・中上健次の残したフィルム

PFFスペシャル映画講座

「日本に少ない、短編を長編にする試み」

講師:早川千絵(映画監督)×水野詠子(プロデューサー)
上映作品:「PLAN 75」長編版&短編版

「人生を変えた映画がある」

講師:藤元明緒(映画監督)×村田悦子(配給会社gnome代表)
上映作品:「動くな、死ね、甦れ!

「青山真治の音響、そして音楽」

講師:菊池信之(音響技師)×長嶌寛幸(音楽家)
進行:松井茂(詩人)
上映作品:「私立探偵 濱マイク/名前のない森」

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シネフィルDVD @cinefilDVD

PFFでパゾリーニ生誕100年記念上映! 『奇跡の丘』『テオレマ』『王女メディア』を除いて全部あるかな? そして『ソドムの市』もやりますか……昔、映倫さんに話を聞きに行ったら「この映画はここから上しか映しちゃダメだ!」って肩の線に手を置かれたことがあります。

https://t.co/CPWLd8g5uv

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