「すばらしき世界」西川美和、毎日映画コン日本映画優秀賞をスタッフと喜ぶ

第76回毎日映画コンクールの表彰式が本日2月15日に東京・めぐろパーシモンホールで開催され、各賞の受賞者が登壇した。

日本映画大賞の「ドライブ・マイ・カー」からは、ベルリン国際映画祭でドイツに滞在中の監督・濱口竜介に代わって配給会社ビターズ・エンドの定井勇二が出席。定井はトロフィーを受け取って「インディペンデント作品は皆様に評価していただけることで、また新たに多くのお客様に届けることができる。本当に光栄です」と挨拶する。なお濱口は監督賞も受賞した。

日本映画優秀賞に輝いた「すばらしき世界」の監督・西川美和は、制作スタッフたちに囲まれながらマイクの前に立ち、「私の映画のためにがんばって汗をかいてくれるスタッフに声を掛けました。一緒に作ってくれた人と喜べるってこんなにいいものなんだな」と晴れやかな表情を見せる。脚本賞は「空白」の吉田恵輔へ。監督としても活躍する吉田は、映画を作るうえで脚本を執筆する時間が長いことに触れて「この賞はものすごく励みになります」と感謝した。

アニメーション映画賞「岬のマヨイガ」の監督・川面真也は「こんな賞をいただけて驚いています。この作品を僕に委ねてくれた皆さん、現場のスタッフ、ロケハンをさせてくれた岩手県大槌町の皆さんに感謝しています」と心境を伝え、大藤信郎賞に選ばれたストップモーションアニメ「プックラポッタと森の時間」を手がけた八代健志は「季節の流れを捉えるように撮っていきました。とても幸せな撮影だったと思っています」と顔をほころばせる。ドキュメンタリー映画賞を与えられた「水俣曼荼羅」の原一男は「『水俣病ってもう終わったんとちゃうか？』という空気を、いや、まだ終わっていない。始まってもいないんだという空気に変えたい。それが私の願いです」と力強く語った。

TSUTAYA映画ファン賞・日本映画部門の「るろうに剣心 最終章 The Final」からは、監督の大友啓史と主演・佐藤健が出席して固い握手を交わした。大友は「この映画は公開直前に緊急事態宣言が決まり、ものすごく悶々としました。そういう環境でも劇場に来てくださったファンの方々への感謝とあのときの悔しさを胸に、これからも作品を作り続けていきたい」と思いを口にする。佐藤は「我々ががんばったあの日々が報われましたね」と笑顔で大友を見やり、「皆様の愛を感じました。しっかり受け取りましたので、原動力に変えて今後も精進していきたい」とファンにメッセージを送る。田中絹代賞の宮本信子は「田中絹代さんが『あなたもう少しがんばりなさいよ』とおっしゃっている気がします」としみじみと話した。

毎日映画コンクールは、1946年に毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社によって創設された映画賞。第76回では2021年の1月1日から12月31日までに国内で14日間以上、有料で劇場公開された作品が対象となる。