WOWOWの企画「
日本の映画・ドラマの第一線で活躍する5人の俳優たちが、同条件の予算や撮影日数で25分以内のショートフィルムを監督する「アクターズ・ショート・フィルム」。映画ナタリーでは永山瑛太の「ありがとう」、玉城ティナの「物語」に続いて、青柳組の現場の模様をお届けする。「いくえにも。」は週に1度の家族だんらんで食卓を囲む阿部家4人の物語。隣に越してきた夫婦が挨拶に訪れたことをきっかけに、一家の秘密が徐々に露呈していくさまが描かれる。
撮影は11月上旬、東京郊外に位置する駅から徒歩10分ほどの閑静な住宅街で行われた。ロケ地はハウススタジオではなく、レンガ風のタイルが特徴的な一軒家。隣の夫婦が挨拶に来る玄関、阿部家4人が過ごすリビング、父親がタバコを吸う庭先まで、映画のほとんどのシーンがこの場所で撮影された。薄黄色の門構えから玄関までのアプローチには植木鉢も置かれ、外観は幸せな家族が過ごす平穏な一軒家という印象。普段は一般の人が暮らしており、撮影のために借り切った形だ。
この日の撮影は離れて暮らす修平が週に1度、土曜日の家族だんらんのために帰宅するカットからスタート。村上は周囲が思わず振り返るほどの声量で喉を鳴らし、本番の感覚を整えていく。村上の声が止んでから、青柳は「よければいきましょう」と合図。撮影2日目のためか、特に2人が相談し合うような素振りもなく、自然な流れで本番は始まった。続くリビングのシーンでは村上のほか、母親役の
物語のプロットを考えたとき、 青柳の頭にあったのは「予想を裏切る作品を作りたい」という思い。そこで以前から関心のあった、相手を心理的に操作する精神制圧の一種“ガスライティング”が着想に浮かんだそう。青柳は「家族を題材に、ガスライティングの要素を重ねた内容の物語にしてみたいなと思いました。最初は自分でプロットを書いていたんですが、書いているうちに登場する家族にだんだんと情が湧いてきてしまって……。脚本を担当していただいた山咲藍さんの力も借りながら一緒に形にしていきました」と物語を生み出す過程を明かす。
登場人物1人ひとりのセリフのニュアンスや、ある出来事に対するリアクションや表情など、繊細な演技から阿部家4人の関係性が徐々に見えてくる本作。食卓の準備を進める妹が皿を落として割ってしまう場面では「ごめんなさい」という一言に、青柳は「もう少し強く。怖さを意識して」と丁寧に演出を付けていく。青柳は「現場では役者と対話することを意識しましたね」と監督としての心構えを明かしてくれた。
村上も「かなり行間の多い本」と脚本の印象を述べつつ、「翔さんとは撮影前にとにかく本の読み込みと基礎設定の擦り合わせをしていました」と述懐。映画には、物語の転機として修平の感情が混乱するシーンがあり、青柳は「どう演出するか迷っていたのですが、その感情に関しては2人で擦り合わせて、足し算ではなく、あえて抑えめの引き算の演技でいこうと決めました。虹郎と対話して決めた彼の演技を見て『これだ』と思いました」と手応えを語っている。
完成を迎え「キャスト、スタッフの皆さんに助けられて完成までたどりつけた。感謝の気持ちでいっぱい」と心境を明かす青柳。「半年以上前から作品の準備をしてきましたが、迷うことや思い通りにいかないことも数えきれないほどあって。初監督の僕をたくさんの方に支えてもらいました。そして、何よりも本当に楽しかったですね。ゼロから作品を作っていって、がむしゃらだけど存分に熱量を注ぎました。普段の役者業の領域を超えた挑戦で、今はデビュー当時のような、初心に帰ったような気持ちでもあります(笑)。ぜひ機会があれば、また監督に挑戦してみたいです」と達成感をにじませた。
「いくえにも。」はティザー映像がYouTubeで公開中。「アクターズ・ショート・フィルム2」はWOWOWで2月6日17時より放送・配信される。
アクターズ・ショート・フィルム2
WOWOWプライム、WOWOW 4K、WOWOWオンデマンド 2022年2月6日(日)17:00~放送・配信
※動画は現在非公開です。
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<いくえにも> - "No Matter What"-
Directed by Sho Aoyagi
Actors Short Film 2 (WOW WOW )
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