東映ビデオの才能発掘プロジェクト、劇場公開目指す作品2本が決定

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東映ビデオが新たな才能を発掘するプロジェクト「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」の第1回製作作品が発表された。

「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」 ロゴ

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「百円の恋」「愛の渦」「アンダードッグ」など、公開規模の大小にかかわらず数々の映画を製作してきた東映ビデオが立ち上げた「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」。「青春映画」がテーマの第1回には、約3カ月の応募期間で309本の企画と脚本が寄せられた。

中村貴一朗

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選ばれたのは中村貴一朗監督・脚本の「神回」と、北村美幸監督・脚本の「17歳は感じちゃう」の2作品。「神回」は夏季休校中に文化祭の準備をしていた高校2年生・樹が、5分間のループから抜け出せず混乱を極めていくさまが描かれる。「17歳は感じちゃう」では農業高校で畜産を学ぶ瑠璃が、教師への思いを募らせ強行に及んでいくストーリーがつづられた。

北村美幸

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このたび「百円の恋」「アンダードッグ」の脚本家で、第1回特別審査員を務めた足立紳の講評が到着。「神回」については「この脚本を読んでいると、放課後の校舎に一人で取り残されてしまったような(そんな経験はないのに)、妙に居ても立っても居られない不安感とか焦燥感に駆られる」、「17歳は感じちゃう」については「とりわけヒロインは生命力に溢れていて、文字面からでも肉感的な魅力も漂ってきて、ずっとこのヒロインを観ていたいなあと思わせるものがあった」とそれぞれ激励している。東映ビデオプロジェクトリーダー・佐藤現による総評も下記に掲載した。

両作品は2022年春以降に順次製作に着手し、劇場公開を目指す。なお「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」は、今後も新しい才能を発掘するため継続していく。

佐藤現(東映ビデオプロジェクトリーダー)総評

キャリアも年齢も多種多様なクリエイターの方々から実に309本もの企画と脚本をご応募いただきました。まず、ご応募いただいた皆様に深く感謝を申し上げます。
この「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」は、所謂コンテストではなく、あくまで選定した作品を共に製作していくプロジェクトですので、製作が決定した作品以外、応募者、内容、評価などの情報は一切公表いたしません。ただ、心を揺さぶられる傑作、力作が数多くあり、選考委員一同、厳正な審査、協議を重ね、悩みに悩み抜いた上で、2作品を選定させていただいた事はお伝えしておきたいと思います。
「神回」はタイムループという既に洋画、邦画ともに数多くの作品が存在するジャンルに挑みつつ、凡庸な青春ストーリーに止まらず、学校という閉鎖空間の中で人間の様々な感情を炙り出した脚本が見事でした。映像表現も含めて斬新な切り口の作品になりそうです。
一方、「17歳は感じちゃう」は農業高校で畜産を学ぶ女子高校生を主人公に据えた等身大の物語です。日々、動物たちの生と死に向き合いながら、自らの恋愛には衝動のままに突き進むヒロインがとても魅力的で、スクリーンで動く彼女を早く見たくなる脚本でした。
さて、このプロジェクトは、ここからが本番です。必ずや傑作を作り上げて、皆さまの元にお届けしたいと思います。引き続き、当プロジェクトにご支援を宜しくお願い致します。

第1回特別審査員・足立紳(脚本家・映画監督・小説家)講評

「神回」

ループものというアイデア自体には斬新さはないけれど、次どうなるというハラハラドキドキ感と登場人物がそのループの中で年齢を重ねていくというアイデアが面白くグイグイ読まされた。物語の大半が人のいない学校の校舎内で進むが、この脚本を読んでいると、放課後の校舎に一人で取り残されてしまったような(そんな経験はないのに)、妙に居ても立っても居られない不安感とか焦燥感に駆られる。校舎内という絵変わりのなさも作者の狙いなのだと思うが、全体的に明確なビジョンが感じられて、とても完成度の高いシナリオだと思った。

「17歳は感じちゃう」

農業高校が舞台の女子高生たちの話で、登場人物たちがみんなちゃんと血の通った人間たちでとても魅力的だった。とりわけヒロインは生命力に溢れていて、文字面からでも肉感的な魅力も漂ってきて、ずっとこのヒロインを観ていたいなあと思わせるものがあった。作品自体を覆っている生命力と家畜を殺して食べる農業高校の場面とがもう少しリンクしたりするともっと面白くなるような気もしたが、どこかに少しだけ遠慮のようなものが感じられた気もした。そういう意味でも、この面白いシナリオはさらに面白くなる可能性も感じた。

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