庵野秀明にとってエヴァとは?緒方恵美がフィナーレに涙「もう1つの14歳の記憶」

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シン・エヴァンゲリオン劇場版」のフィナーレ舞台挨拶が本日7月11日に東京・新宿バルト9にて開催され、キャストの緒方恵美三石琴乃山口由里子立木文彦、総監督の庵野秀明が登壇した。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」フィナーレ舞台挨拶の様子。左から庵野秀明、立木文彦、緒方恵美、三石琴乃、山口由里子。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」フィナーレ舞台挨拶の様子。左から庵野秀明、立木文彦、緒方恵美、三石琴乃、山口由里子。

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「シン・エヴァンゲリオン劇場版」新ポスタービジュアル

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本作は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの完結編。7月10日までの累計で、興行収入98.8億円、観客動員数647万人を記録している。碇シンジ役の緒方は、キャストたちを見まわしながら「今日登壇してくださるメンバーは私以外は大人のキャスト役なんですが、テレビシリーズ第1話の冒頭で最初に出会う人たちなんです」と紹介する。

緒方恵美

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この日はまず、1995年から放送されたテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の話題に。第1話の思い出を尋ねられた緒方が「絵が100%入ってましたね」とチクリと刺すと、庵野は「しばらくは大丈夫だった」と振り返る。また緒方は「スタジオでみんなで1話を観たときに『これは大変なものが始まった』と衝撃を受けました」としみじみと述懐した。

庵野秀明

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最終回間近はギリギリの進行だったそうで、緒方は「最終回はアフレコが始まっても台本が届かなくて、印刷所からホカホカの台本が届いたのを覚えています」と裏話を披露。すると、「最終回の絵コンテはアフレコのあとに作った」という庵野は「ラジオドラマにあとから絵を付けたと思えば」「声に合わせて絵を作るから大丈夫です」とひょうひょうと話して笑いを起こしつつ、「本当に大事な芝居のときは、絵を出さない。役者さんの芝居のほうが絵に勝っているところは、背中や引きにしたりしてます」とこだわりを明かした。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」について、「今自分が作るアニメで言えばやれることはやったかなと。『:序』『:破』『:Q』とできなかったことがけっこうあったんですけど、今回ようやくほとんどできた」と達成感を示した庵野。「足したかったシーンは?」という質問には、「最初は2時間切りたかったんです。削ったりしてみたんですが、2時間以内には絶対にまとまらんと思ったら、2時間半になっちゃった。そのとき削るだけ削ったので『シン・エヴァ』に関しては足すシーンはないですね」と答えながらも、「また出てくるかもしれないですけど、“今は”ないです。製作がビビっていると思いますけど、“今は”ないので安心してください(笑)」とお茶目に付け加えた。

左から三石琴乃、山口由里子。

左から三石琴乃、山口由里子。[拡大]

自身にとって、26年にわたり演じてきたシンジという存在を尋ねられた緒方。「テレビシリーズをやっていたときは自分と真逆だと思っていたんです。私は強いと思っていたし、こういう感じの性格ではないと。でも26年経って、変な言い方ですが、自分はシンジだったと思っています」と真摯に語る。また、互いのキャラクターの好きなところを聞かれた葛城ミサト役の三石と赤木リツコ役の山口。三石は「たくさんあるんですけど、根本はリツコの声」と、山口は「ミサトは本当の強さがあるから限りない優しさがある。『エヴァ』の中で唯一大きな愛を持つ選ばれた人だったんじゃないかなと思います」とそれぞれ回答すると、「好き!」「私も好きです」とほほえみ合った。

立木文彦

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「あなたにとって『エヴァンゲリオン』とは?」という問いに、碇ゲンドウ役の立木は「今でも自分の中でクリアできない部分がありながら、それが楽しみでもあって。“リアル人生ゲーム”みたいなところがあります」と返答。テレビシリーズから声優としてのキャリアをスタートした山口は「自分の運命を変えられた作品。庵野監督のもとで『エヴァンゲリオン』の1クルーとして最後まで作品の中で生きるということを、オーバーですけど、今生の自分の使命にように思っています」と思い入れの深さを語る。「ザ・マウンテン」と例えた三石は「途中で崖から落ちたり、頂上で仲間といい景色を見たりしながら、終わったら次の山はないのかという気持ちになる」と述べた。

ファンに深々と頭を下げる登壇者たち。

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同じ質問に緒方は「私はストレートに“自分自身のもう1つの14歳の記憶”だと思っています」と率直に回答。庵野は「すかして言えば『僕自身の最新作です』で済んじゃうんですけど」と冗談を飛ばしつつ、「企画自体は1992年からやっているので、もう30年近く人生の半分近く費やしている。だから、終わったというのは感無量です」と携わった年月に思いを馳せた。

舞台袖から頭を下げる庵野秀明。

舞台袖から頭を下げる庵野秀明。[拡大]

本日でラストとなる舞台挨拶の最後に、緒方は「この26年で『エヴァ』を作るたびに、皆さんの心の中に芽生えた気持ちは、私たちと同じ形でともにあったと信じています。そういう気持ちを皆さんと共有できたことは幸せでした」とファンに語りかけ、時折声を詰まらせながら「この先、シンジに会えるか会えないかはわかりませんが、いつ呼んでいただいても14歳に戻れる自分でいられるように、これからも努力を続けていきたいです」と挨拶。キャストたちの目にうっすら涙が浮かぶ中、庵野は「今日は皆さんにお礼を述べるためだけにここに来ました。ありがとうございました」と客席に深々と頭を下げ、イベントを締めくくる。万雷の拍手に送られながら、庵野は舞台袖で何度もお辞儀をして退場した。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は全国で公開中。

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