昨春から投稿急増「ファスト映画」全国初の逮捕者、業界の取り組みから摘発

400

「ファスト映画」と呼ばれる違法な動画をYouTubeに公開したとして、宮城県警察本部と塩釜警察署は6月23日、容疑者3名を著作権法違反の疑いで逮捕。ファスト映画をめぐって逮捕者が出るのは全国で初めての事例となる。

ファスト映画は映画の映像や静止画を無断で使用し、字幕やナレーションを付けてストーリーを解説・紹介する10分程度の動画。短時間で内容がわかることから「ファスト映画」や「ファストシネマ」と呼ばれている。海賊版対策などを行うコンテンツ海外流通促進機構(CODA)の調査結果によると、この1年だけで少なくとも55のアカウントから2100本余りの動画の投稿があった。中には270本もの作品を取り上げたチャンネルも存在。6月14日時点でこれらのチャンネルだけでも約4億7700万回再生されており、ストリーミング配信や店舗レンタルなどによる1本の視聴を200円で試算した結果、本編が観られないことによる被害の総額は約956億円と推計されている。

今回逮捕された容疑者らは2020年6月から7月の間、東宝が著作権を有する「アイアムアヒーロー」ほか2作品および、日活が著作権を有する「冷たい熱帯魚」ほか1作品を権利者に無断で10分程度に編集。YouTubeにアップロードし、広告収益を得ていた。本件は宮城県警の捜査を受け、CODAが弁護士協力のもと国際執行手続を行い、法的に裏付けのある被疑者情報を取得。被害権利者をまとめ、今回の摘発に至った。

CODAの広報によると、ファスト映画のような形式で映画を紹介する動画は昔から存在。新型コロナウイルスの影響が広がった2020年春頃からYouTubeへの投稿が急増し、視聴数なども伸び、目立つようになったという。危機感を強めるCODAは6月20日に「映画全編をアップするとは違って、1つ1つの行為は軽微に見えるものの、引用の範囲を超える、明らかな著作権侵害であり重大な犯罪です」と声明を出し、「広告収入で暴利を得る悪質な投稿者も存在しています。また、ネタバレを含む内容は、正式な本編映画を見ないことに繋がり権利者への影響は甚大です」と発表していた。

このたびの逮捕を受け、CODAは広告収入を不当に得ている悪質なアカウントについて「海外のプラットフォーマーに対しても国際執行手続を行い、アップローダーを特定するなど対策を進めて参ります」とコメント。また「これら動画を視聴する行為は、犯罪者に間接的に収益を与え、さらには作品を作り出す権利者の利益を損ねているという事実をぜひ知っていただき、安易な視聴は控えていただくようお願いいたします」と求めている。

関連記事

リンク

このページは株式会社ナターシャの映画ナタリー編集部が作成・配信しています。

映画ナタリーでは映画やドラマに関する最新ニュースを毎日配信!舞台挨拶レポートや動員ランキング、特集上映、海外の話題など幅広い情報をお届けします。