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本作は熊本・天草を舞台に、オレオレ詐欺の旅を続ける若い男と老女・艶子の奇妙な共同生活を描く物語。詐欺師の男・将太を藤原、艶子を昨年死去した
藤原は「この映画を撮影しているときは、まさか自分にとってこんなにも大事な作品になるとは思っていませんでした」と述べ、その理由を「(以前は)目に見えるものがすべてだ、面白いものがすべてだ、と思っているところがありました。この映画を経て目に見えない、人が信じてきたものが大事なものなんだと考えるようになりました」と語る。
続いて藤原が「台本を読んだときに『若い男』と書かれていて素敵だなって。若い男を登場させた理由、僕を選んでくださった理由をお聞きしたいです」と問うと、山本は「将太は根っからの悪人ではなくて、彼の人生で欠け落ちた部分にスッと入り込んだのがオレオレ詐欺。天草に逃げてきた彼の穴にお婆ちゃんがスッと入り込む物語」と本作を説明し、「そういう意味では“この男、ウチにも孫で欲しいな”と思っていただけるような男を造形したい。藤原さんが全国のおばあちゃんのアイドルになれる映画にしたい!(笑)という思いでキャスティングしました」と回答した。
舞台挨拶には原の代理として小谷野祥子氏も登場。小谷野氏は「原さんはお話をいただいたときから『どうしてもやりたい』とおっしゃっていました。大腿骨骨折の手術をしてリハビリ中でしたが、強い意志で臨まれていました」と回想し、「いつも『藤原くんっていいのよ。絶対に売れるよ』と皆にお話されていましたので、今日の藤原さんの姿を見たらきっと自慢したと思います」と述懐する。藤原は「(原は)すごく元気でパワフルでした。地元の方がお酒を差し入れしてくださって、『原さん、飲んじゃダメですよ』と言うと『飲むわよ』って」と笑顔で原との裏話を披露した。
当初「婆ちゃんオレオレ」というタイトルだった本作。小山のアイデアで“自分の今あるすべての境遇は天からの授かりものである”という天草地方にある“のさり”という言葉をもとに、現在の題名になった。小山は「天草の人たちには許す力があると思います。理不尽なことや納得できないことにも『よか、よか』と言う、その精神を作品に込めたいと思っていました」とコメントした。
最後に藤原は「この映画を観て感じた天草の風を日本中に届けたいと思っています。19歳で祖母を亡くしたとき、北海道に帰らずお葬式に参加しませんでした。だから、今でも生きているんじゃないかと思っていた。でも、この映画に参加して、生きてるか生きていないかはそんなに重要じゃない。その事実、生と死の分断ではなく、もっと自分がこの世界をどう感じていくかのほうが大事だと思うようになりました」と話し、「だからこそこの映画をどうしても届けたい。この風を日本中にもっと届けられるように皆さんのお力を貸してください」と呼びかけた。
「のさりの島」は公開中。
藤原季節の映画作品
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横川シネマ @yokogawacinema
【のさりの島】広島は、本日(7/1)より二週間上映です。3日は、山本起也監督と島田知奈さん(福山出身)の舞台挨拶を実施。12:20開演です。
藤原季節が「のさりの島」への思い語る「この映画をどうしても届けたい」 https://t.co/kxUfTfGwuy