“映画家”菱沼康介の特集上映開催、斎藤工も称賛した「かく恋慕」など3作上映

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“映画家”を自称する菱沼康介の特集上映「四角い卵」が、11月28日から12月11日に東京の池袋シネマ・ロサで行われる。

「菱沼康介特集上映〈四角い卵〉」ビジュアル

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「かく恋慕」

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「かく恋慕」

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本特集では「くノ一忍法帖 影ノ月」「ライフ・イズ・デッド」で知られる菱沼が、近年手がけた自主制作作品を3本上映。非常に鼻が利く気弱な主婦を主人公にした「かく恋慕」、公園で陣痛が始まった妊婦から助けを求められる新米OLの姿を描いた「一生で一番長い九分」、成仏したい霊と死にたい女が出会うファンタジー「されど吉祥とする」がラインナップに並ぶ。「かく恋慕」には手島実優札内幸太芋生悠、「一生で一番長い九分」には米山穂香、温、久遠さやか、「されど吉祥とする」には根矢涼香佐藤睦黒住尚生が出演した。

「一生で一番長い九分」

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「されど吉祥とする」

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特集の開催にあたり、菱沼は「失われてくものを映画は留めることができたりします。映画を見ることは喪失と向き合うことだったり。映画館の暗闇の中なら、失ったものもひょいと顔を出すやもしれませんよ。姿は違っててもね。そんな思いを込めて作った映画たちです。あなたの暗闇を照らす物語になれたら幸いです」と語っている。また「かく恋慕」に足立紳斎藤工辻凪子、根矢、古泉智浩らが寄せたコメントも下記に掲載した。

「四角い卵」はレイトショー上映で開催。現在、特集の予告編がYouTubeで公開中だ。

菱沼康介特集上映「四角い卵」

2020年11月28日(土)~12月11日(金) 東京都 池袋シネマ・ロサ
<上映作品>
「かく恋慕」
「一生で一番長い九分」
「されど吉祥とする」

菱沼康介 コメント

私が邦画界に飛び込んだ20年前、邦画は20世紀末のごとく死にかけでした。ところがどっこい21世紀が20年経っても色々乗り越えゾンビのごとく生きてます。ええ、私も。だから、きっと、また同じように現在の状況も乗り越えていけるはず。でも、やっぱり失われたものはたくさんあって。そんな失われてくものを映画は留めることができたりします。映画を見ることは喪失と向き合うことだったり。映画館の暗闇の中なら、失ったものもひょいと顔を出すやもしれませんよ。姿は違っててもね。
そんな思いを込めて作った映画たちです。あなたの暗闇を照らす物語になれたら幸いです。
今回の特集上映に、映画「かく恋慕」に80名以上の送り手から応援コメントをもらいました。これはまだ半分だけの客席のシネマ・ロサで、観客の方々とコメントを寄せてくれた方々を合わせて満席という思いを込めています。空いている隣の席に、あの人も座ってるかもよ。

足立紳 コメント

赤ちゃん、カップ焼きそば、記憶のどこかに残っている良き思い出を嗅覚で刺激してくる不思議でワクワクする映画。PFFという自主映画の登竜門出身で、商業映画の助監督で、のち商業映画で監督デビューし作品を撮り続けていた菱沼監督がまた自主映画をこうして撮った。その生き抜く逞しさも見習いたい。

宇賀那健一 コメント

良い映画は食事が美味しそうに映されている。とはよく聞く話ではあるけど、それでもこんなに食事が美味しそうな映画は久しぶりだし、美味しそうに見える要素の大部分を映画では伝わらない「匂い」で挑戦しているのも本当に素晴らしい。そして、またその「匂い」の要素を表現しているのは役者の芝居だなんてもう最高じゃないですか。
というコメントを映画につられて焼きそばを食べながら書いています。

木村好克 コメント

先の読めない映画が好きだ。
この映画には新しい発明があった。
“匂い”と“思い”が同意で混ざり合い、あらぬところへと導いてくれる。観終わったあと親しい人の“匂い”が気になるはずだ。

小林雄次 コメント

僕らは映画を鑑賞した時、「人間臭い」とか「人間味がある」なんていう表現を使います。そう、映画は人間を味わうものなんですね。本作は、嗅覚や味覚に訴えかけて人間の味わい深さを追求しようとする菱沼監督のこだわりを感じました。まるで熟練のパン職人のような…。コロナ禍で人の温もりを感じづらい時代、思い切り深呼吸して大切な人たちの人間臭さを味わいたい。そう感じる素敵な映画体験でした。

斎藤工 コメント

長編の概念が変わる程秀逸な49分の作品
無駄がなく豊潤な菱沼監督の世界は
これからの邦画のあるべき一つの雛形なのかも知れない

品田誠 コメント

実家でかわいがっていた猫の、毛繕いした後の匂い。湿った毛が少しくさくて、クセになって好きだった。彼らがこの世から去っても鮮明に覚えている。いつか記憶からなくなる日も来るのだろうか。
空白に響く「もういいかい」。返事がなくても人生は続く。記憶と共に。
「かく恋慕」が描いたのはきっと、失ったものではなく得たものだ。
人間の五感を今一度素晴らしく思う、稀有な映画体験だった。

辻凪子 コメント

こんなにもいい匂いのする映画があるのだろうか。
パンの匂い、赤ちゃんの匂い、愛する人の匂い。
どれも一生嗅ぎ続けたい。
そしてまんまと家にあったUFOを食べてしまった。
いい匂いがした。私はUFOのキャベツが好きだ。

根矢涼香 コメント

スクリーン越しでは、匂いを感じられない。
だからこそ、人物たちの煌めく表情から、漂うゆげから、
記憶の中の引き出しを開けて、めいっぱい巡らせる。
いつの間にか自分の懐かしい場所へと戻ってきていた。
時間が経っても日常が戻らなくなっても声が聞こえなくなっても
変わらずにそこにいてくれて私を包み込んでくれるもの。
嗅覚。私たちを、一番素朴な状態にしてくれるのだな。
チャーミングで、生きることの温かさを感じられる作品です。

野本梢 コメント

作中を漂うフェチズムの香り。
手島実優さんの気怠さが心地よく、その中に見える機微を、自然の色と音の中でゆっくりと感じたいと思った。

古泉智浩 コメント

匂いは記憶に深く結びついているという話を聞いたことがある。僕に記憶力が乏しいのは匂いに関心が薄いことと関係があるのかもしれない。主人公の女性は強い嗅覚を持っていて、その分記憶力も強いとしたら悲しみや苦しさがいつまでも続くのではないだろうか。見終わって、UFOに目玉焼きを乗せて食ベました。

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