陸前高田とFMパーソナリティの日々映す「空に聞く」11月公開、監督は小森はるか

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ドキュメンタリー「空に聞く」が11月21日に公開される。

「空に聞く」

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本作は、東日本大震災後に岩手・陸前高田の臨時災害放送局「陸前高田災害FM」でラジオパーソナリティを務めた阿部裕美を追うもの。地域の人たちの記憶や思いに寄り添い、いくつもの声をラジオを通じて届ける阿部の日々や、津波の被害に遭った土地に新しい町が再建されていく陸前高田の風景が映し出される。「息の跡」などで知られ、震災ボランティア活動をきっかけに東北に移り住んだ小森はるかが監督を務めた。

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蓮實重彦は本作に「津波後の陸前高田の思いがけない六年九ヶ月が、一人の女性の表情と声とで点描されており、心に浸みる。この文句なしの傑作と出会うべく劇場にかけつけ、笑い、そして涙せよ」とコメント。三宅唱は「同時代にこの映画が作られたことがたまらなく嬉しい」と称賛している。蓮實、三宅のほか、小田香佐々木敦広瀬奈々子、民話採訪者の小野和子、作家・マンガ家の小林エリカ、澁谷浩次(yumbo)、ラジオパーソナリティの秀島史香、映画研究者の三浦哲哉がコメントを寄せた。

「空に聞く」は東京・ポレポレ東中野で公開。12月12日からは大阪のシネ・ヌーヴォで上映され、全国でも順次公開となる。

小田香 コメント

天と地はひと繋がりで、その層の中にわたしたちは生きている。
阿部さんの優しい声で人々の記憶がたぐられ、
凛と柔らかな凧のごとく風に乗り、上空に響く。
勝手口から見える風景にこんなにも胸掴まれるのは、
そこにあったものを、これからできるものを、
それらを日常の中で見続けるであろう阿部さんの姿を、
想像するからだろうか。

小野和子(民話採訪者)コメント

声高に、多くは語らないけれど、被災のつらさと涙がとても静かに伝わってきました。そして、それは押してくる現実の暮らしの中で、まるで何事もなかったかのように、その人の心に積み重なっているのでしょうね。こんなことをこんなふうに物語る人がいるのだと、私は湧いてくる感動を覚えました。

小林エリカ(作家、マンガ家)コメント

陸前高田のあるひとときの風景、そこに生きるひとりひとりの声。津波にさらわれてもなおその地に花を咲かせる水仙やホタルブクロのように、阿部さんのラジオや小森さんのこの映画はそれを伝えてくれる。どこまでも繋がる空を見あげ胸がいっぱいになる。

佐々木敦 コメント

ラジオを録音することを、どうしてエアチェックというのか、その言葉を知った頃は不思議だった。
もちろん今ではわかる。音声は波であり、波は振動であり、それは空気中を、エアーを伝わってゆく。
エアーは、空気とは、空のこと。私たちの真上にひろがる、いつだって見上げればそこにある、空。
Listening to the Air.
小森はるかは、まさにそのようにして、この映画を撮ったのだと思う。
そこではカメラも「彼女」の声に、じっと耳を澄ませている。

澁谷浩次(yumbo)コメント

「現実逃避」という言葉があるぐらいだから、僕達は常日頃、現実の問題と直面して疲弊したり、怯えたり、見て見ぬフリをしたりする。現実は平板で退屈で、時に容赦なしの災厄をも齎す。場合によっては、僕達の生の前に立ちはだかる巨大な壁のように思える事さえある。そんな現実の脅威に突き通された場所から生真面目に電波を発信する阿部裕美さんの手つきに、その現実を捉えようとする小森監督の手つきが静かに重ねられる情景に、臆病者の僕などは心底参ってしまう。現実から逃げ出す代わりに、現実を慎重に重ね合わせることの美しさが見事に定着された、その時間にしか存在し得なかった稀有な映画だ。

蓮實重彦 コメント

津波後の陸前高田の思いがけない六年九ヶ月が、一人の女性の表情と声とで点描されており、心に浸みる。
この文句なしの傑作と出会うべく劇場にかけつけ、笑い、そして涙せよ。

秀島史香(ラジオパーソナリティー)コメント

ラジオの持つ「誰かがそこにいて、その人の言葉で話している」生身の気配。
それぞれの場所でそれぞれの思いを持ちながら、声をかけ合い、つながっていく人々の姿。
これまでも、これからも、声は希望。

広瀬奈々子 コメント

この映画には、失われたものと今を行き来する余白がある。安易な共感ではない、でも共に感じる時間を絶やすまいとする、ラジオとカメラのそのささやかな祈りに、思わず耳を澄ませた。

三浦哲哉(映画研究者)コメント

震災後の街を見守り、再生のために身を投じる女性。その姿から途方もなく大きな何かが触知される。前作「息の跡」と本作は、おそらくビクトル・エリセ「ミツバチのささやき」「エル・スール」、いや、カール・ドライヤー「奇跡」と「ゲアトルード」のように巨大な二部作だ。

三宅唱 コメント

もうたまらない。ありとあらゆるものがこんなにも豊かに溢れてみえるのはなぜだろう。手を動かすこと、ひとの話をきくこと。みなさんと小森さんがしつこくかつ軽やかにそれを繰り返すから、こんな時代のなかでもまったく新しい日々が生まれ、映るのだろうか。同時代にこの映画が作られたことがたまらなく嬉しい。

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