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「最強のふたり」の
ブリュノ役のカッセルは、本作のオファーを受けた理由について「エリックとオリヴィエは、役者の人間味を引き出してくれる。自分が彼らの手に掛かったらどうなるだろう?とすごく興味があったんだ」と言及し、「でも作品を選ぶ基準は監督とテーマではない。不思議だけど本能が『これはいけるんじゃないか』と感じるんだよね。オファーされたときに脚本がなくても、一貫性と志が感じられれば引き受ける。作品選びは職務を超えた恋愛のようなものだよ」と語る。
ブリュノのモデルになったステファン・ベナムに会ったというカッセル。「彼に会って一番感じたのは謙虚さだよね。すごく繊細で、慎み深い、相手のことを思いやることができる人。ポジティブな印象しかなかった」と回想し、「彼の施設にも足を運んだ。自閉症について知らないことだらけで衝撃を受けた」と振り返る。そして「監督たちに、これをどうコメディにするんだ?と聞いた。こんなにシリアスな問題を扱って、どう軽やかさを出すんだよ?とすぐには信じられなかったんだ」と当時の心境を明かした。
カッセルは「自閉症の人たちはフランスの医療体制の中で置き去りにされがちだという事情を知った」と話し、「この作品を観た人が、自閉症に対して興味を持って感動してくれたことが驚きでうれしかった」と喜ぶ。「政府からも監督たちに『早く観たい』と連絡があったみたいで、この映画が公開されたことで少しは状況が改善されたのかなと思う。ただ……政治家を動かすために映画を利用しなければならない社会というのは悲しいよね」と思いを口にした。
コロナ禍で「人々はもっと寛容さを持たなければいけない」と考えたというカッセル。「こういう世の中だからこそ、もっと考えてからものを言わなければならないのに、多くの人がSNSを使い、気軽に発信している。フェイクニュースを流したり、よくない方向に扇動するためのツールとして利用する人もいるよね。どんな状況でも他人を傷付けるような言葉を言うべきではない。僕自身、すぐに怒っちゃうから気を付けないと(笑)」とコメントしている。
なお、このたび解禁されたモノクロメイキング写真を撮影したのはフォトグラファーのキャロル・ベトエル。彼女はロマン・ポランスキーやオリヴィエ・アサイヤス、ミア・ハンセン=ラヴ、そして黒沢清の監督作など、多くの現場でスチール撮影を担当している。
「スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~」は、本日9月11日より東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国で順次ロードショー。
ヴァンサン・カッセルの映画作品
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「スペシャルズ!」ヴァンサン・カッセル、自閉症取り巻く環境やコロナ禍語る(コメントあり) https://t.co/veLdmRSY9D