黒沢清「CURE」が国内初Blu-ray化、「蛇の道」「蜘蛛の瞳」もDVD再発売

黒沢清の監督作「CURE／キュア」が4Kデジタル修復版となって国内初Blu-ray化。11月27日に発売される。

本作は20世紀末の日本を舞台に、普通の人々に巣食う心の闇と狂気を描いたサイコサスペンス。奇妙な共通点を持った犯人の異なる連続猟奇殺人事件を追う刑事と、事件に関わる記憶喪失の放浪者の姿を描く。黒沢が世界的評価を高めるきっかけとなった記念碑的作品であり、役所広司が主演を務めたほか、萩原聖人、うじきつよし、中川安奈がキャストに名を連ねた。

このたび撮影監督の喜久村徳章によるグレーディング監修のもと、オリジナルネガから4Kスキャンした映像を修復。黒沢は発売にあたり「私の人生に最も大きな影響を与えた映画です。多分このようなものは二度と撮れないでしょう。あの頃は、まだJホラーだの海外映画祭出品だのといったカテゴリーもなく、ただ理解ある仲間たちと楽しくやりたいようにやっていただけです。それで何でこんなにダークな映画が、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、そういうものなんですね」とコメントしている。

特典映像には、「アンダー・ユア・ベッド」などで知られる映画監督の安里麻里が未公開のメイキングやスタッフの証言を交えて黒沢の演出に迫った「黒沢清『CURE』演出術」、土川勉と下田淳行によるプロデューサー対談、2018年の第31回東京国際映画祭で「CURE／キュア」上映の際に役所と黒沢が行ったティーチインが収録される。価格は税込5280円。

さらに黒沢が哀川翔を主演に迎え、「CURE／キュア」の直後に発表した連作「蛇の道」「蜘蛛の瞳」も新規HDマスターとなってDVDが再発。「蛇の道」は幼い娘を殺され、復讐に取り憑かれた主人公の狂気を描くバイオレンスアクションだ。「蜘蛛の瞳」では復讐を終え生きる目的を失った男が殺し屋稼業に手を染める姿が描かれる。「蛇の道」には香川照之、柳ユーレイ、「蜘蛛の瞳」にはダンカン、大杉漣が出演。両作の封入特典には劇場公開当時の復刻チラシが用意された。価格はともに税込2750円。