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戸籍もなく、一度も学校に通ったことがない少年タロウと、彼に出会った高校生2人の姿を描いた本作。3人の先の見えない日々と消えることのない青春の輝きがつづられる。YOSHIがタロウ、菅田が衝動的なエージ、仲野が理性的で臆病なスギオを演じた。
演技未経験だったが、本作で映画デビューを果たした現在16歳の高校2年生であるYOSHI。菅田が「これはYOSHIの映画です。カメラマンの皆さん、今日は僕とか大森さんとか、ましてや太賀なんてどうでもいいです。YOSHIだけを撮ってください」と呼びかけると、勢いよくウサギのマスクを外したYOSHIは「イエーイ!」とダブルピースを決めてはしゃぐも、「実はすげえ緊張してます、ナーバス」と正直に述べる。仲野と菅田は、YOSHIと初めて会ったときの印象を振り返り、「絶句です」「新人類」「こんなに興味深い生物いない」と、その強烈なキャラクターに衝撃を受けたことを明かした。
本作の脚本は、もともと1990年代にデビュー作として大森が構想していたオリジナル作品。念願が叶った大森は「時間がかかりましたが、20年以上経っても作りたいという気持ちはなくならなかった。ほとんど初めて書いた脚本なので、自分のストレートな思いが詰まってて、3人の登場人物それぞれに自分のキャラクターが投影されてます」と語る。タロウのキャスティングについては「14歳 有名人」とネットで検索し、ヒットしたYOSHIを大抜擢したという。
仲野は「いろんなことを飛び越えてくるのがYOSHI。初めて会ったときも『あ、ヨロシク。太賀でしょ? 知ってるよ』みたいな(笑)」、菅田は「俺らは大人としてYOSHIにどう接するべきなのか、太賀とけっこう作戦会議して。この才能を生かすも殺すも俺ら次第でした」と述懐。ひとまず大森の監督作「光」を菅田の家で一緒に観る機会が設けられた。撮影現場では仲野、プライベートでは菅田と役割分担をしながらYOSHIとの関係性を深め、菅田はYOSHIの両親にも挨拶したそう。
菅田はYOSHIが俳優として変化するきっかけとなったあるシーンの撮影にも言及。大森から「自由にやれ」と演出を受けていたYOSHIが3人のシーンでアドリブを披露したことを回想し、菅田は「YOSHIが台本を飛び越えてきた。『おお!』と驚きつつ、それはそれでイラッとしたのか、芝居で自分もブチ切れてタロウを地面にひれ伏させたんです。その瞬間にYOSHIの目が変わって『ちゃんと集中しなきゃ』みたいな顔になった」と話す。仲野も「今のYOSHIと撮影当時のYOSHIは明らかに違うし、成長速度が速い。大森監督はYOSHIの大人と子供のはざまのあいまいな部分を捉えたんじゃないか。そういう変化の変わり目に立ち会えたのがよかったです」と語った。
最後にYOSHIは「すごくアグレッシブな映画です。タロウは人間の欲望の部分をさらけ出したキャラクター。映画ってある1つの答えにたどり着くことが多いと思うんですが、この作品は観るたびに印象が変わるし、正解が何個もある。そういう意味で賛否両論になると思う」とコメント。大森は作品に込めた思いを「今の僕たちはいろんなことを情報として知りすぎてしまった。肉体で触れて感じれば、少しだけ幸せに生きていけるんじゃないか。頭であんまり考えないで体で感じて楽しんでほしい」と語り、イベントの幕を引いた。
「タロウのバカ」は、9月6日よりテアトル新宿ほか全国ロードショー。
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- 「タロウのバカ」予告編
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