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アメリカで起きた実話をもとに、大学生4人組が約12億円相当の画集「アメリカの鳥類」の強盗を企てるさまを描いた本作。イベントにてレイトンは、2004年に起きた同事件に惹かれた理由を「事件についてはある記事で知ったんですが、なぜチャンスに恵まれた大学生4人が、リスクを冒してまでこの計画を実行したのかに興味を持ちました。まだ刑務所にいた4人に手紙を書き、その返事で事件の動機を知って、すごく惹かれたんです」と説明する。またこの事件は現代を象徴しているとレイトンは述べ、「特別な人間にならないと人生の意味がなくなってしまう、というプレッシャーに押しつぶされそうな若者たちを表していると思う。そこをベースに描こうと思いました」と解説した。
本作はドラマとドキュメンタリーを交えた構成となっており、実際の事件の犯人も出演している。その理由をレイトンは「劇中では、アイデンティティを失った若者たちがファンタジーの世界に入り込んで、行き過ぎた判断を下してしまう姿を描いています。計画を企てるうちにファンタジー度が増していくのですが、その瞬間、お客さんに“これは実話なんだ”と思い出してもらうために4人を登場させました」と明かす。また本作は、“実話にもとづいた映画”ではなく“実話”と公式に言い切っていることもレイトンのこだわりだそうで、「“実話にもとづいて……”という言い方は、脚本家や監督に作り話をする言い訳を与えていると思う。その傾向を皮肉って、“これは実話である”と宣言したんだ」とコメントした。
イベントでは、聞き手を務めたコラムニスト・山崎まどかから「実際の人物4人がとてもチャーミングで、俳優たちと並んでも遜色がないように思えました。彼らのパーソナリティが映画のスタイルに影響を与えたのでは?」という質問も。レイトンは「多くの人が『役者たちより実際の人物のほうがかっこいい』と言ったのは初めてだと思います」と笑いつつ、撮影前に役者と本人たちを会わせないようにしたと告白。「直接会うことによって、ルックスを本人に寄せるようなことはしてほしくなかった。役者たちには自分の解釈で演じてほしかったんだ。例えば本人が役者に会ったら『こんなふうには見せないでくれ』と頼むかもしれない。そうすると役者の演技が限られてしまうからね」とその意図を明かした。
劇中には、エヴァン・ピーターズ演じる主人公ウォーレンと、本物のウォーレン・リプカが「これは覚えている通りなの?」「違うけどいいんだよ」と会話するシーンも登場する。これは役者たちとの会話から生まれたシーンだそうで、レイトンは「人の記憶は常に変わっていくから信用できないのだと、観客にわかってほしくてあのシーンを入れました。撮影中、ある役者が『これって本当に起きたんだと思う?』と聞いてきたとき、僕は『そう思うけど、僕は証明できない』と答えた。するとその役者が『本人に聞いてみたら?』と提案してきたんだ」と振り返った。
またレイトンは、リプカをはじめ実際の人物たちが完成作品を観た際のリアクションも紹介。「4人の率直な感想は『真実をそのまま描いてくれている』というものでした。また(被害に遭った)図書館員の女性は、この映画を観て初めて彼らのことが許せたらしいです。それまでは4人を嫌っていましたが、若気の至りだったのだと理解してくれたようです」と話した。
「アメリカン・アニマルズ」は5月17日より東京・新宿武蔵野館ほか全国でロードショー。
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コットン @CottonSherlock
@h1ddlesbatchJ このイベント行ったんですけど、事件の記事を読んで、なんでちゃんとしたとこの子がこんなことしたんだろって思って監督が刑務所に手紙送ったって言ってた…
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