俳人・住宅顕信(すみたくけんしん)の生涯を描く「
1961年に岡山県で生まれ、1987年に25歳の若さでこの世を去った住宅。23歳の頃に発症した急性骨髄性白血病のため病床にありながら子育てと句作に励み、281の句を遺した。本作では住宅が本名の春美として生きた時代や、浄土真宗本願寺派の僧侶として出家したエピソードなどがつづられるほか、生きづらさを抱える現代の中学生・小堀明彦の姿が描かれる。「おんなのこきらい」の
本田はタイトルにもなった句「ずぶぬれて犬ころ」について「雨に濡れた犬の姿に白血病で闘病していた住宅顕信自身の姿を重ね合わせた句だと思います。少し自虐的な感じもしますが、私はこの句から、ぼろぼろになっても生きろ、というメッセージを受け取りました」と語り、「映画『ずぶぬれて犬ころ』が、住宅顕信のこと、住宅顕信の句を知ってもらう契機になることを願っています」と期待を込めている。
「ずぶぬれて犬ころ」は東京・ユーロスペースほか全国で順次公開。
本田孝義 コメント
2014年春頃、私は仕事が行き詰まり、精神的にかなり不安定になっていました。そんな頃、なぜか以前読んだことがあった住宅顕信の句「
2002年に住宅顕信及び彼の句が全国的なブームになった時に彼のことを知り、俳句も読んでいたのですが、その時はそれだけで終わりました。しかし、2014年に自分の中に住宅顕信の句が蘇ってきてから、再び彼のことが気になり始めました。未読だった住宅顕信の伝記「生きいそぎの俳人 住宅顕信―25歳の終止符」(横田賢一著、七つ森書館刊)を読みました。私自身、住宅顕信と同じ岡山県出身ということもあって、ますます彼に魅かれていき、いつしか彼のことを映画にしたいと強く思うようになりました。
私はこれまでドキュメンタリー映画を主に作ってきました。ですから、住宅顕信を描く映画も、当初はドキュメンタリー映画として企画していました。しかしながら、住宅顕信は1987年に亡くなっていますから、ドキュメンタリーとして描くには、生前の住宅顕信を知っている方々に話を聞いたりすることしか出来そうになく、映画として面白くなりそうに思えませんでした。であれば、劇映画として住宅顕信のことを描きたいと思うようになっていきました。
そうはいっても、私は大学卒業後は劇映画を作ったことがありません。全く不安がなかったと言えば嘘になりますが、どこかで、やれるという楽天的な気持ちもありました。
実際に初めて劇映画を作る過程では、奇跡としか思えないような様々な出会いがあり、多くのスタッフ、役者、撮影場所、製作支援者の方々に助けられて、なんとか映画を完成させることが出来ました。
2002年に住宅顕信のブームが起きてから、すでに時代も一回りし、地元の岡山でも住宅顕信のことを知らない人が増えています。映画「ずぶぬれて犬ころ」が、住宅顕信のこと、住宅顕信の句を知ってもらう契機になることを願っています。
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- 「ずぶぬれて犬ころ」公式サイト
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本田孝義 @hontaka1229
夭逝の俳人・住宅顕信の生涯つづる「ずぶぬれて犬ころ」が6月公開(写真10枚 / コメントあり) - 映画ナタリー https://t.co/gYbBnvVEoW