フィンセント・ファン・ゴッホの複製画家を追ったドキュメンタリー「
中国の村・大芬(ダーフェン)でゴッホの絵を10万点以上複製し続けてきた青年チャオ・シャオヨンの旅をカメラに収めた本作。生まれて初めて本物のゴッホの絵を見るため、チャオ・シャオヨンがファン・ゴッホ美術館を訪れる様子などが捉えられている。
大芬を初めて訪れた際、手作業で描かれる絵画の量に圧倒されたという監督陣。彼らは「同時に、高い芸術性を誇る油絵と、低賃金の労働集約的な複製画産業のギャップにショックを受けました。彼らが生み出している量は膨大で、それは奇跡のようなものです」と語る。ここ数十年におけるこのような劇的な変化を、地方から都市への人口流入による変化の一貫と捉えながら、「しかし大芬の人々はアートを生み出している。そしてより多くの人々がアートに接しているという意味で、単なる労働集約的な産業以上のものがあります」とその特殊性に言及した。
さらに2人は、チャオ・シャオヨンが初めてゴッホの本物の絵画を鑑賞したときのことを回想。「彼は非常に感銘を受けていました。前夜、早朝、そして美術館に入ったとき、彼がとても緊張していたことを覚えています」と述べ、チャオ・シャオヨンが絵画そのものだけでなく、展示や保存の方法にまで感動していたことを明かす。
そして「チャオ・シャオヨンは『本物の絵画はこういうことだ。筆遣い、色使いはこういうことなんだ』と刺激を受けていた。当時ゴッホは貧しくて絵の具を買う余裕がなかったため、実際にはふんだんに絵の具を使っていなかったことを理解していました」と続ける。「彼は汗だくになりながら大芬の工房で描き続け、芸術の高みに近付いていた。しかし、彼はこのとき初めて、芸術というものがどのように表現され、いかに人々に敬愛されているのかを実感したのでした。皮肉にも本物の絵画に接したことによって、彼はゴッホとの距離の遠さを知ったのです」とコメントした。
「世界で一番ゴッホを描いた男」は東京・新宿シネマカリテほかで公開中。
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