アーノルド・シュワルツェネッガーが主演を務めた「
1986年に日本公開された「コマンドー」は、娘を誘拐された元特殊部隊のリーダーが巨大な悪の軍団に立ち向かう姿を描いた作品。主人公メイトリックス役のシュワルツェネッガーの強靭な肉体を生かした派手なマッスルアクションで、根強い人気を誇っている。1989年1月1日にテレビ朝日系「日曜洋画劇場」で初放送されたバージョンで、玄田はメイトリックス役、土井はメイトリックスの相棒となるシンディ役で参加。玄田はこれをきっかけにシュワルツェネッガーの吹替声優として知られるようになった。2015年には、製作30周年を記念したBlu-rayも発売。これには「日曜洋画劇場」の初回放送版オリジナルキャストによる新録バージョンも収められている。
「コマンドー」の日本語吹替版は劇場公開されておらず、今回のような映画館での上映は貴重な機会。テレビ朝日版が劇場のスクリーンにかかるのは世界初となる。イベントは500席のチケットが即完売するほどの人気ぶりだ。「シュワルツェネッガー主義」の著者として知られるてらさわが登壇し「何が始まるんです?」と呼びかけると、観客は「第3次大戦だ!」とカービー将軍のセリフできっちり応答。この日、初めて「コマンドー」の吹替版を鑑賞した観客は数人程度で、熱狂的なファンが多く集まったことが伺える。
玄田は、武装したメイトリックスが、敵の軍勢のいる孤島に乗り込んだラストの戦闘シーンに言及。まるでカカシのように役に立たない兵士たちが、たった1人のメイトリックスに皆殺しにされる一連の流れについて「何人殺してると思いますか?」と呼びかけながら、「細かく数えてくれた方がいるんです。確か104人」と続ける。しかし客席からは「感覚としては1万人以上」との声も飛んだ。
さらに玄田は「当時は(シルヴェスター・)スタローンの人気がすごかった」と述懐していく。「『コナン・ザ・グレート』を観たとき、シュワルツネッガーがどうなっていくのか不安を覚えました。ただの筋肉マンで終わると思っていたが、『コマンドー』で髪を短髪にしたとき『これはいける』と。もしかしたらスタローンを追い抜くんじゃないかと感じたのを覚えています」と明かす。さらに「ただのマッチョが売りの俳優じゃない。彼は頭がいいから『ツインズ』でコメディもできた。監督の要望を聞きながら持ち味を出す人」と評した。なお2015年の「ターミネーター:新起動/ジェニシス」公開時、玄田は来日したシュワルツェネッガーと初対面を果たしており、「私の声を100年間演じてほしい」と専属声優に正式認定されている。
「コマンドー」だけでなく、シュワルツェネッガーが主演を務めた「バトルランナー」「キンダガートン・コップ」などでも、ヒロインの吹替を担当している土井。「シュワちゃんの相手役ポジションを何度もやってます。その都度マッチョぶりにうっとり」と吐露しながら、「コマンドー」の収録を「男っぽい空気感。どうしても女性の出番は少ないですから。スタジオの中もほとんどが男性。しかもマッチョ役の声を常日頃から演じている方ばかり。想像してみてください(笑)。すごい感じでした」と回想した。
玄田は、テレビシリーズと異なり洋画の吹替収録はその場でチームを作らなければならないと話し「計算しようと思ってもできない。当たって砕けろなんです。その中でも『コマンドー』は妙にチームワークが取れていた」と素直な思いを口にする。ここでこの日の上映に観客として駆けつけていた、メイトリックスの娘ジェニー役の
毎週のように洋画が地上波で放送されていた当時を、平田は「一番忙しかったときは、いわゆるレギュラーと呼ばれる1時間のシリーズものを週2本、30分ものを1本。その間に長尺の映画を詰め込んでいました。『コマンドー』は3日か4日で書き上げてます。ただの勢いで一気に」と振り返る。「基本的に意味は変わっていないはずだけど、好き勝手に書かせてもらえる時代でした」としながら、メイトリックスの外見を描写した名ゼリフ「容疑者は男性、190cm、髪は茶、筋肉モリモリ、マッチョマンの変態だ」については「あまり覚えてませんが、音の長さだけで適当にセリフを作ってます」と冗談交じりに明かした。
なお日本語吹替版の「コマンドー」は、11月1日にテレビ東京「午後のロードショー」枠で放送される。
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