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山内が2012年に発表した処女小説を実写化した本作は、高校時代からの大人になるまでの10年間を、みんなの憧れの的だった“椎名くん”を柱に描く青春群像劇。主演を務める橋本が夢をあきらめて地元に戻ってきた27歳のライター・“私”、成田が椎名くん、渡辺が2人の同級生・“新保くん”、村上が“私”の仕事仲間であるフリーカメラマンの“須賀さん”を演じた。
一映画ファンとして廣木の監督作を観ていたという橋本。「役者さんが今まで見たことのない表情をされているんです。現場に行ったら、私もその魔法にかけられちゃうのかな?と思っていたら、なんにも演出されなくて(笑)」と現場を回想し、「肩透かしでも、いい悪いでもなくて、無言のコミュニケーション、何も言わない距離感の中でがんばろうと思った」と当時の心境を打ち明けた。廣木とともに第37回バンクーバー国際映画祭に出席した際、橋本は廣木の“演出の秘密”の一端を知れたという。橋本同様、芝居に関する演出をあまり受けなかった村上は「衣装合わせのときに、サングラスの奥の鋭い瞳から『淳、今回の衣装は自分でやれ』って(笑)。劇中で使ってるカメラも私物のライカですよ」と明かした。
役作りに関して成田は「悶々として不安なのがいいのかなと。『まあいいや』のエネルギーで演じていました。はしゃいで、撮影が終わったら毎日、大知くんと飲みに行ってましたね」と振り返る。主題歌と劇伴を担当したフジファブリックによる「茜色の夕日」を椎名くんが歌うシーンの撮影前日には、富山のスナックを訪れたそう。渡辺は「酔っ払った勢いでめちゃめちゃカラオケを入れてしまって。一緒に『茜色の夕日』を歌いましたね」としみじみ。成田は「ものすごくいい思い出。宝物です」と笑顔を見せた。
山内の地元である富山県で2017年6月に行われた撮影。山内もエキストラとして参加したそうで「一番キラキラしてるプールのシーンに、私は1人だけキラキラしてない先生役で出演してます」と笑う。撮影には山内の父親も見学に訪れており、廣木が「お父さんに車で送っていただいたり、差し入れもいただいたり」と明かすと、山内は「地元の名物のお団子ですね……」と照れていた。
イベントでは物語にちなみ、キャスト陣の約10年前の写真が披露された。小学校6年生の頃の写真について「将来の夢もなんにもなくて。地元の熊本から出る想像を一度もしたことがなかった」と話す橋本。「勉強はできるほうだったので、頭のいい大学入って、給料の高いところに就職するんだろうなと思ってました」と笑いながら、現実的な一面をのぞかせた。成田は「僕の心が折れる寸前」と中学2年生の頃の写真を紹介。「サッカーの県大会の記念写真ですね。痛いからヘディングも嫌いだし、人とぶつかるのも嫌だった。でもサッカーは得意だったんです」と語りつつ、「でもそれが理由で決勝戦だけ出してもらえなくて。テレビにもチョロっとしか映れず……」と当時の悔しさを吐露した。
イベントでは本日、スケジュールの都合で出席の叶わなかった“あたし”役の門脇麦からの手紙が代読される場面も。そこには「青春というキラキラした輝きに目が行きがちですが、この作品は自分の存在意識を見いだせない焦りや葛藤、現実と理想の溝が埋まらないとき、そんな青春のもう一面を優しいまなざしで見つめてくれるような映画だと思っています。登場人物それぞれの気持ちを自分のどこかの部分と照らし合わせながら、自分自身のその部分も優しく見つめられる時間になれば、そしてそんな気持ちを愛おしく感じられる時間になればとっても幸せです」と記されていた。
「ここは退屈迎えに来て」は全国で公開中。
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