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葉室麟の小説を実写化した本作は、岡田扮する藩の不正や権力に立ち向かっていく瓜生新兵衛を主人公とした時代劇。木村は開口一番、両手を上げて「わー!」と全身で初日を迎えた喜びを表現して登壇者たちを驚かせ、感極まりながら「来年80になる男が皆さんの姿に感動しております」と観客に感謝を伝えた。
富山でオールロケが行われた本作には、撮影も兼任した木村のこだわりが詰め込まれている。冒頭の木村の言葉を受け、岡田は壇上でもらい泣き。西島から差し出されたハンカチで目を押さえながら「大作さんとともにやれてよかったです」となんとか声をしぼり出した。そして「大作さんが人生を懸けて立っているのを現場でも感じていました。1本1本思いを懸けて撮る、その背中を見せてもらった気がします」と続ける。
すると西島から「最後のカットを撮り終えたとき大作さんが倒れられたんです。もう変な話、このまま……(笑)」と裏話が。木村は撮影の日はコーヒーしか飲まないと説明したうえで「みんなから離れた場所まで行って吐いたら茶色だった。血だと思って俺もいよいよ終わりかと。でもラストカットで死んだらヒット間違いなし!と思いながら寝転んじゃった(笑)」と冗談交じりに話し、「そのあと栄養ドリンクを飲んだらケロっと治った」とオチを付ける。会場に笑いを起こしたところで、木村は「いつものようにやりましょうか!」としんみりとした空気を一蹴した。
舞台挨拶では、キャスト陣が木村への思いを伝える流れに。池松は「言葉で教えてもらうこと、背中で教えてもらうこと、毎日いろいろありました」と感謝を伝えたのちに「遺作みたいな流れになってますけど大丈夫ですかね!? (映画を)お気に召さなかった方もいい感じに宣伝してもらわないと、本当に遺作になってしまうかもしれないので。よろしくお願いします」と木村への愛情をのぞかせる。
黒木は「『誰よりも美しく撮るから』と言ってくださって。自分自身なのであまり美しいとは思えないんですけど、映画の中では里美という女性が美しく映っていたので女優としてうれしかったです」と伝えて木村とハグ。西島は「この世界に入ったのが、とにかく撮影所に潜り込みたかったから。今回大作さんとご一緒して、撮影所の人たちの熱気ってまさにこれなんだと。後輩たちに本当の活動屋の息吹を毎日感じさせてくださいました」と胸中を明かした。
「大作さんが楽しんでるのがみんなの幸せでした」と撮影を振り返った岡田は、最後に再び涙で声を震わせる。「大作さんの孤独を知ったとき、一番の理解者でいたいと思いました。大先輩なのに端から聞いたらおかしいですけど、友のように思いながら一緒に撮影させてもらっていました」と静かに話すと、客席からもすすり泣きが聞こえてきた。
司会者から今の気持ちを尋ねられた木村は「泣けっつーの?」といつもの調子で返しつつ「これは嘘でなく、岡田さんは俳優さんの中で僕のことを一番詳しい人です。僕の過去も、考えてることも」と岡田への特別な思いを吐露。さらに共演者たちのことも「すごい俳優さんたちです!」とたたえ、会場に喝采を巻き起こす。フォトセッションではマスコミに向かって「これだけ撮ってんだから明日の新聞は大きいんだろうなー!」とプレッシャーをかけるなど、最後まで“木村節”を利かせていた。
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