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東出昌大、カンヌ「寝ても覚めても」会見で「真心を大事にしてみんなで挑んだ」

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左から、記者会見前のフォトコールに登場した東出昌大、濱口竜介、唐田えりか。(c)Kazuko WAKAYAMA

左から、記者会見前のフォトコールに登場した東出昌大、濱口竜介、唐田えりか。(c)Kazuko WAKAYAMA

第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されている「寝ても覚めても」の記者会見が、フランス現地時間5月15日に行われた。

柴崎友香の同名小説を原作とする「寝ても覚めても」は、瓜二つの顔を持つ2人の男の間で揺れ動く女性・朝子の姿を描いたラブストーリー。記者会見には「ハッピーアワー」で知られる監督・濱口竜介、タイプの異なる亮平と麦(ばく)という2人の男を演じた東出昌大、朝子役の唐田えりかが出席した。

記者からの「日本のヌーヴェルヴァーグ、新しい才能が現れたと思いました。とても繊細な映画です。どのように、あの目に見えないような軽さや繊細さを描写したのでしょうか」という質問に、濱口は「『ハッピーアワー』では、本人ではない人物を俳優に演じさせながら本人らしさを出してもらうにはどうしたらいいのか試行錯誤し、最終的に、脚本を信用してテキストを洗練させていくことになりました。今回、2人(東出と唐田)を知る時間はあまりなかったのですが、直感的に好きだと思える人たちをキャスティングできたと思います。そして、磨き上げたテキストを彼らに染み込ませました。その結果2人の演技が自然に見えたのなら、非常にうれしいことです」と答える。

唐田は「まっすぐな感想をいただけて光栄です。私は演技経験があまりありませんが、濱口さんと東出さんをはじめ、皆さんのことを信頼して撮影に挑みました。現場では共演者の皆さんの演技を見聞きして自分が感じたことを出した結果、嘘でない演技ができたと思います」とコメント。東出は「クランクイン前に監督に会ってワークショップを行い、俳優同士のつながりができてから撮影に入りました。濱口メソッドでは、これまでやったことのないことをたくさんやりました。そして、用意したことをただやるのではなく、そこにいること、感情を大事にすること、真心のようなものを大事にして、みんなで挑んだような気がします」と撮影を振り返った。

1人2役の演じ分けについて聞かれた東出は「麦と亮平の間には、それぞれ標準語と関西弁を話すという違いがあります。柴崎さんからは、関西弁に注意してほしいとリクエストがありました。目線だったり仕草だったり生き方によって声色やしゃべり方は変わると思っていたので、僕は声も変えようとしていました。でも、監督から『声は変えないでいい』と言われたんです。『東出という楽器から出てくる、麦という音と亮平という音を聞かせてくれ』と。小手先ではなく、気持ちが重要なんだというところに立ち返りました」と回答する。

朝子を正面から捉えたショットの意図を質問された濱口は「僕の好きな増村保造監督がよくやる演出に、90度の角度で俳優を配置して、男性は女性を見ているが女性は横顔で目を合わせない、というものがあります。それを正面からやるとどうなるか、ということに興味がありました。これは彼女(唐田)にとって難しいことだったと思います。正面から撮られながらも、自分の人生や魂を差し出してほしいと僕は考えていたので、暴力的な行為かもしれませんがカメラを正面に置かせてもらいました」と述懐。一方唐田は「撮影監督の佐々木(靖幸)さんを信頼していましたから、カメラが目の前にあっても気になりませんでした。不思議なんですが、あるシーンでは、カメラの向こう側にある海が透けて見えていたような気がします」と語った。

「寝ても覚めても」は9月1日より東京・テアトル新宿ほか全国でロードショー。第71回カンヌ国際映画祭はフランス現地時間5月19日まで開催される。

(c)2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINEMAS

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