本日9月17日、「
吉田修一の同名小説を映画化した本作は、千葉、東京、沖縄を舞台に、ある殺人事件の容疑者として浮上した3人の男たちと、彼らを取り巻く人々が信用と疑惑の間で揺れるさまを描いた群像劇。上映後に行われた舞台挨拶では、登壇者たちが観客から質問を受け付けた。
まずはこれまでクリント・イーストウッドやクリストファー・ノーランといったハリウッド監督の作品に出演してきた渡辺に対し、「李監督の魅力とは?」という質問が。渡辺は「李監督の場合は表現の先に何があるか見るため、それが出てくるまでとにかく待つ。その役が本当にそこにいて、何に悩んで生きているのか。むやみに表現するんじゃなくて、ちゃんと役を生きてほしいと正直に役者と向き合う」と噛み締めるように答える。それを受けて李は「『○○してください』というストレートな表現を誰にも言った試しがない。『どう思っているんでしょうね?』と質問を投げかけました。そういうことを、とことん面白がってくれる俳優たちじゃないと付き合いきれないですよね」と笑い、「僕1人じゃなくてお互いで成り立っている映画だと思います」と登壇者たちに感謝を示した。
続いての話題は千葉編のキャスト陣へ。「渡辺さんと松山さんの印象は?」と尋ねられた宮崎は、10年以上前に松山と共演した際には物静かな少年だと感じたそうだが、「おしゃべり好きで、思ったことはすべて口に出してくれる気持ちのいい方。リードしてくれて、とても助けられました」と再共演で印象が変わったことを明かす。
次に父親役の渡辺への思いを話そうとするも、宮崎は「あのー……」と言うばかりでなかなか言葉が出てこない。渡辺がずっこける動作をしてみせる横で、「今、寂しくて。明日から“お父ちゃん”に会えなくなるので」と涙を浮かべ声を震わせる宮崎。「現場でも支えて、居場所を作ってくれて。私は1人でいることが多いのですが、隣に椅子を置いて、たまに少し話したりしながら。そういう時間を過ごしたからこそ、“お父ちゃん”に付いていけば大丈夫だという安心感がありました。謙さんの娘を1回でも演じられたことが幸せです」とあふれる気持ちを口にする。
そんな宮崎に、渡辺は「彼女がこの役をやろうと思った覚悟。それは言わずとも感じていたので見届けたいと思った。撮影期間は短かったけど濃密な親子の時間でした。僕もあおいちゃんと同じような気持ちです」と声をかけ、「まあでも……連絡くださいね?」と名残惜しそうに宮崎の顔をのぞき込んだ。一方、松山が「昔ある女優さんと『今までで一番変人な役者は誰だった?』という話をしていて、その女優さんは『あおいちゃん』と(答えた)。当時は意味がわからなかったけど、今回よくわかりました。だから愛子を演じられたんだと思います!」と軽いテンションで述べると、隣の渡辺が笑いながら小突いてみせ、再び壇上は和気あいあいとしたムードに。
また東京編に出演した綾野には、劇中のセリフにちなみ「(恋人役を演じた)妻夫木さんと過ごして気付いたことは?」と質問が飛ぶ。2人の関係性の中で「マイノリティである」ということを大切にしていたという綾野は、「映画の中で僕たちが正面から向き合うシーンはないんです。(妻夫木演じる)優馬はジレンマを抱えながら生きていて、僕が正面に立ってしまうと鏡のように知らしめてしまうことになる。だから常に2人で同じ景色を見るため、僕たちは必然的に横並びになっていました」と解説。役作りのために妻夫木と共同生活を送る中、「『ただいま』『おかえり』を言う相手がいるということの大切さに気付いたのは、この作品が影響している。大切なコミュニケーションです」と続けた。
舞台挨拶の終盤には登壇者たちによる鏡開きも。渡辺から「乾杯は妻夫木に頼むよ」と振られた妻夫木は「もう完全に無茶ぶりですよ!」とぼやきつつも、観客とともに「乾杯!」の声を上げ、映画の公開を祝した。
※宮崎あおいの崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
※記事初出時、一部人名に誤りがありました。お詫びして訂正します。
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