本日10月24日、「ビースト・オブ・ノー・ネーション」の記者発表会が東京・六本木アカデミーヒルズにて行われ、監督の
西アフリカの架空の国が舞台となる「ビースト・オブ・ノー・ネーション」は、ごく普通の少年アグーが、内戦で家族を奪われたことをきっかけに、ゲリラの兵士となっていくさまを鮮烈に描いた人間ドラマ。本作は映像配信サービスのNetflixが製作した初のオリジナル映画にあたり、第28回東京国際映画祭のパノラマ部門に出品された。
フクナガは「構想は15年ほど前からありました。学生時代から自分でもいろいろとリサーチを重ねていたのですが、2005年に原作と出会ったことが大きな契機になりましたね。非常に感銘を受けました」と、製作の準備段階を明かす。そして見どころについては「1つだけ選ぶならば、主人公の少年の気持ちを感じてほしいです。新聞記事を読んだときみたいにどこか遠くの物語として感じるのではなく、身近な人の話のように思ってもらえれば」と真摯に語る。
続いて、主人公の少年を演じて、第72回ヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞したエイブラハム・アターの話題へ。フクナガは「撮影をガーナで行うと決めた時点で、現地の子供たちを起用したいと考えていました。そしてガーナにスカウトを送り込んだ時に、たまたま放課後にサッカーをしていたエイブラハムと出会ったのです」と振り返る。さらに「エイブラハムは最初、サッカーチームにスカウトされたかと思ったらしくて。でも蓋を開けてみたら映画の出演依頼で、とてもびっくりしたようです。彼はとても利発な少年で、1人の少年が変わりゆくさま、その表情や感情の変化をうまく演じてくれたと思います」と、難役を演じきったアターを讃えた。
またピーターズは「非常に心に染み入るヒューマンドラマだと思っています。世界中にいるNetflixのユーザーにも私と同じような体験をしていただきたい」と本作に言及し、「今回は映画の製作段階には関わりませんでしたが、これからはクリエイターたちとともに映画を作ることも視野に入れていきたいです。いろいろと模索していこうと思っています」と、Netflixの今後について述べる。
最後に好きな日本映画、監督を尋ねられたフクナガは「もっとも影響を受けたのは今村昌平監督ですね。昔、彼の特集上映があったときにいろいろな作品を観ました。日本の映画はカメラワークが素晴らしいです。あとは是枝裕和監督の作品の自然体でリアルな描写が素敵だと思いますし、小津安二郎監督も好きです」と、目を輝かせながらコメントした。
「ビースト・オブ・ノー・ネーション」は、Netflixにて独占配信中。
関連記事
キャリー・ジョージ・フクナガの映画作品
関連商品
映画ナタリー @eiga_natalie
キャリー・フクナガ、ゲリラ兵に変貌する少年描く新作をPR「身近な人の話と思って」 https://t.co/bk21Fo7kIi https://t.co/rSJJ9eGhqV