「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」の予告編がYouTubeにて公開された。
本作は、1940年代から活躍したカラー写真の先駆者、ソール・ライターの半生を追ったもの。「ハーパーズ バザー」や「ヴォーグ」など有名ファッション誌の表紙も飾ったものの、80年代に1度表舞台から姿を消し、2006年に写真集が出版されると再び注目を集めた。彼がこの世を去る1年前の2012年に製作されたこの映画では、なぜライターの作品が人々の心に強く届くのかを解き明かしていく。
予告編の中では彼の作品群とともに、「私は大した人間じゃない、映画にする価値なんかあるもんか。でもまあ仕方ないか……」と笑い、「人生で大切なことは、何を手に入れるかじゃない。何を捨てるかということだ」とゆっくり語るライターの姿が映し出される。
さらにこのたび、本作の日本語字幕を担当したアメリカ文学研究者・翻訳家の
「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」は11月下旬より東京のシアター・イメージ・フォーラムほか全国順次公開。
柴田元幸 コメント
この映画には、ものすごく盛り上がる感動的な場面もないし、
涙なしでは見られないような派手に胸を打つシーンもないし、
愛の素晴らしさを朗々と謳い上げるような展開もありません。
あるのは、生涯おおむね好きなように生きてきて、
そのせいでそれなりに辛い思いもしただろうけど、
べつに後悔もしていないし、引け目を感じたりもしていない人が、
自分の人生観をぽつぽつと語る姿です。
彼が撮った素晴らしい写真も随所に挟みこまれるし、
彼を敬愛する人たちのあたたかい視線が
感じられたりもするのですが、
基本的には、猫背のおじいさんがのそのそ動きながら
もごもご喋っている映画です。
でも、それが、とてもいい感じだと思うのです。
まったく個人的な話になってしまいますが、
このソール・ライターという人の笑顔は、誰かに似ている、
とずっと思っていたのですが、あるときふっと、
これは僕に文学の素晴らしさを最初に教えてくれた
中学の国語の先生の笑顔と同じだと思いあたりました。
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