
映画超初心者・ミルクボーイ駒場孝の手探りコラム「えっ、この映画ってそんなこと言うてた?」 第24回 [バックナンバー]
皆さん「七人の侍」観たほうがいいですよ!
これはどえらい作品です
2025年9月30日 19:00 2
これまで名作をほぼ観たことがないまま育ち、難しいストーリーの作品は苦手。だけど映画を観ること自体は決して嫌いではないし、ちゃんと理解したい……。そんな貴重な人材・
連載2周年を迎えた第24回のお題は、「
文
2年の連載で映画に対するハードルが下がった
こんにちは、ミルクボーイ駒場です。今回でこちらのコラムが24回目ということで、開始から2周年だそうです! これはこれはありがたいことです! そもそも僕が「映画を知りたいのにちょっと複雑なことをされたらわからなくて、『君の名は。』とかは何回観ても泣けるくらいわからない」とか、「ダース・ベイダーは史上最強の悪の存在と思っていたら普通に上司みたいなおじさんに怒られててびっくりした」みたいな映画初心者話をラジオでしていて、それをたまたま劇場でご一緒させてもらった映画エキスパートのこがけんさんに話したところ「そんな視点はなかった、面白い!」と言ってもらえて、それが映画ナタリーさんに伝わったことからどんどん話が進み連載が始まり、2年が経ったという感じです。
有名すぎる映画を観て、今さらその感想を書くコラムなんて見たことがないので、そんなことをやらせてくれた映画ナタリーさんには感謝ですし、毎月読んでもらっている皆様にも感謝です。ありがとうございます。
感想を書くとき、一応ネタバレしないように内容の細かなことは書かないようにしようと思ったりしているのですが、基本は誰もが知ってる名作ばかりを観ているので、たまにふと「僕以外みんな内容知ってるやろ、何を隠してんねん」と思うときもあります。でももし僕のような映画初心者の方がいたらと考えて、これからもそんなささやかな配慮をしながら書かせてもらいます。
2年やってきて感じるのは、「映画が観れるようになったな」ということです。というのも今までの僕は「観た結果面白くなかったらどうしよう」とか「どうせ途中から意味わからないんやろう」とか思って、はなから映画に費やす時間がもったいない気がしていたんです。それが、毎月1本映画を観るというルーティンができてから観ることに対するハードルがなくなりました。1日のタイムスケジュールを円グラフで表したときに「映画鑑賞」という項目を入れられるようになった感じです。「2年やってその程度か」と思わないでください、個人的にこれがかなりでかいんです。今までなら「それならその時間ほかのことしたいな」と思ってましたから。そして映画を観るようになり、内容的にわかる・わからないはまだムラがあるにせよ、確実に人生が豊かになっています。今まで映画を観てこなかったからこそ今になって毎月観て色々感じるものがある、このタイミングまで映画を観てこなかった自分にナイスと伝えたいです。
新作として上映されても違和感がないのでは
さぁそしてそんな2周年の節目に鑑賞させてもらう映画は、1954年公開の「七人の侍」です。日本代表みたいな映画だということは知ってますが、観ずにここまできました。これもいいことか悪いことかわかりませんが、今観ることになってよかったです。
これを観てて、ベタに映画のコントみたいに、
監督「はいカットー、いやー今のよかったねー」
三船さん「そうですか? ありがとうございます」
監督「よかったよかった、お疲れ様、今からちょっとみんなで飲みに行こうか」
三船さん「いいっすねー!」
とか絶対ないんやろうなと思いました。全員、この作品の撮影期間中は、映画「七人の侍」の中で生きている気がしました。そんな緊張感とリアルさ、細部まで血が通っている感じがとても伝わりました。なので白黒なのに古臭さが感じられず、仮に今新作として上映されても違和感がないんじゃないかとも思いました。
そして今回の「そんなこと言うてた?」ですが、「そんなこと言うてた?」ではなく、「今なんて言うてた?」ですね。定期的に何を言ってるかわからない箇所がありました。巻き戻したりして聞くのですがそれでもわからず、テレビじゃなくスマホで観てるから悪いのかなと思ってそれとなくレビューなど見たところ、やはり出演者さんが何を言ってるかわからないところが多々あるのはあるあるなんですね。昔のしゃべり方やったり、録音機器の古さも理由みたいですが、でもあるレビューによると黒澤監督があえてわかりづらいままにして何度も観てもらうようにしたとか。真相はわかりませんが、なんかそんな逸話も込みで面白いですね。
たぶん何度も観て、そういう裏話などの書籍、出演者さんのインタビュー記事なども読んだりしてまた観たりしたらもっと入り込めて、しがもうと思えばどこまででも味のする映画なんやろうなと思いました。今コラムの2周年を飾るのにふさわしい作品に出会わせてもらいました。ほんまに観てよかったです。皆さん「七人の侍」観たほうがいいですよ!
というわけで、これからもいろんな映画を観ていきたいと思います! 3年目もよろしくお願いします!
編集部から一言
映画に詳しくない人が、(観たあとにネット上のレビューも参照しながら)詳しくないなりに素直な感想を書くという、この連載も2周年です。「映画を観るハードルが下がった」といううれしい言葉をありがとうございます。
前回のコラムで「邦画の名作の中でも白黒の作品」も優先して観たいという言及があったので、「七人の侍」をチョイスさせていただきました。数多くの作品に影響を与えたエンタテインメント作だけあって、さすがの駒場さんも大満足だったようです。「皆さん『七人の侍』観たほうがいいですよ!」という、「ジョーズ」回での「スピルバーグ監督、めっちゃすごいですね」を彷彿とさせる名言が出ました。「もうみんな観てるよ」と言いたいところですが、1954年公開の作品ですので、映画ナタリー読者の中にも未見の方は多いと思われます。これまで敬遠していた人も、このコラムをきっかけに視聴してみては。
「七人の侍」(1954年製作)
時は戦国時代末期、野武士たちの襲撃に悩まされている村があった。村人たちはその対策として、個性豊かな7人の侍を雇う。数で勝る野武士に対し、侍と村人が協力して挑む姿を描く。黒澤明が監督を務め、三船敏郎、
七人の侍 4K リマスター 4K Ultra HD Blu-ray
品番:TBR-33123D
価格:税込6600円
七人の侍 4Kリマスター Blu-ray
品番TBR-33124D
価格:税込5500円
- 駒場孝
-
1986年2月5日生まれ、大阪府出身。ミルクボーイのボケ担当。2004年に大阪芸術大学の落語研究会で同級生の内海崇と出会い、活動を開始。2007年7月に吉本興業の劇場「baseよしもと」のオーディションを初めて受け、正式にコンビを結成する。2019年に「M-1グランプリ2019」で優勝し、2022年には「第57回上方漫才大賞」で大賞を受賞。現在、コンビとしてのレギュラーは「よんチャンTV」(毎日放送)月曜日、「ごきげんライフスタイル よ~いドン!」(関西テレビ)月曜日、「ミルクボーイの煩悩の塊」「ミルクボーイの火曜日やないか!」(ともに朝日放送ラジオ)など。またミルクボーイが主催し、デルマパンゲ、金属バット、ツートライブとの4組で2017年から行っているライブ「漫才ブーム」が、2033年までの10年を掛けて47都道府県を巡るツアーとして行われている。
バックナンバー
駒場孝のほかの記事
リンク
関連商品
松本 @matsushin1978
担当しております駒場さんの連載更新されました。
令和7年ですが「『七人の侍』が面白いから観たほうがいい」という話をしています。 https://t.co/tkE41DejUB