
ナタリードラマ倶楽部 Vol. 19 [バックナンバー]
縦型ショートドラマの初心者講座、GOKKO・BUMP・DramaBoxなどプロダクション代表者によるトークもお届け
業界一丸となり“月間課金ユーザー1000万人”を目指す
2025年8月29日 12:05 2
近年、縦型ショートドラマが人気を集めている。縦型ショートドラマとはスマートフォンの縦画面で楽しむ短尺の作品で、TikTokやYouTubeショート、Instagramリールなど、SNSで切り抜き動画を目にしたことがある人も多いのではないだろうか。
現在は日本でも数多くの縦型ショート動画アプリがローンチされ、若者を中心にファンを増やし続けている。このたび映画ナタリーは縦型ショートドラマの世界を知るべく、LINEヤフーが7月に開催したカンファレンス「Short Drama Summit JAPAN -2025 Summer-」を取材。縦型ショートドラマの市場規模に関するセミナーや、業界を牽引するプロダクションの代表者によるパネルディスカッションの様子をお届けする。
取材・
LINE VOOM統括本部長が語る日本のショートドラマ市場のポテンシャル
イベントは、LINEヤフー株式会社LINE VOOM統括本部の統括本部長・有本恭史氏による縦型ショートドラマの市場規模に関するトークから幕開け。LINE VOOMとはLINEアプリ内にあるショート動画を中心とした動画プラットフォームで、より良質なエンタテインメント体験を提供するため、2024年からショートドラマ領域での取り組みを拡充している。
有本氏によると、ショートドラマのグローバル市場規模は2024年で15億ドル(約2200億円)。そのうち日本は100億円程度で、2023年から比較すると1年で4倍近く成長した。アメリカ・ヨーロッパ・中国・東南アジア・ラテンアメリカと比較しても成長率はトップで、2029年までに470億円規模への市場成長予測が立てられている。有本氏は「コロナ禍で映画が上映できず映画ビジネスが苦しい中で、ショートドラマが伸びてきているのでは」と分析した。
とはいえ電子書籍・動画配信・音楽・映画などの別コンテンツと比較すると、現在の日本のショードラマ市場はかなり限定的。有本氏は中国で2024年にショートドラマの市場が映画の興行収入を超過したことに触れ、日本のショートドラマ市場にもポテンシャルがあると期待を込める。「電子書籍、動画配信サービスには歴史があります。例えばYahoo!コミックス(現在はebookjapanにサービス統合)は2003年、LINEマンガは2013年にローンチされました。約20年という歳月をかけて現在の600億円という市場規模になっているんです。ショートドラマは、ユーザーの隙間時間に対効率よく手元に届くというメリットがあります。20年もかからずに、ほかのコンテンツと並ぶ市場規模になるのでは」と語った。
有本氏はショートドラマ市場が目指す目標として、“月間課金購入者1000万人”を掲げる。これは主要なマンガアプリの利用者とそのうちの有料利用率をもとに計算した結果で、ショートドラマも月間課金購入者1000万人を達成することで、日本のエンタメ・コンテンツ市場でトップを走る電子書籍と肩を並べることができるという考え方だ。有本氏は「どうしたらこのレベルになれるのか議論していきたい」と述べ、「地上波のテレビドラマの視聴率は、1%が約120万人だと言われています。1000万人というのは視聴率8%に当たりますね。今はすごく大きい数字ですが、決して手が届かないわけではないと思います。しっかりと業界全体を盛り上げていきたい」と意気込む。
ショートドラマのサプライチェーンについて有本氏は「1.製作」「2.マネタイズ」「3.マーケティング」と分けて説明。製作にあたっては、海外作品の場合1~2週間で撮影し1カ月後に公開されているケースが多いと話し、「スマホの縦画面でわかりやすい物語が好まれるので、ビンタや土下座などインパクトのあるシーンが含まれる作品が多い」と言及した。現状のショートドラマサービスは最初の数話のみ無料で視聴できるものや、広告を見ることで無料視聴できるもの、話売りの課金制が多く、例は少ないが月額のサブスクリプションも存在する。有本氏は「マネタイズを含め、いろいろなドラマの見方が広がっていくことが必要」と口にした。
LINE VOOMでは、ショート動画関連の動画再生時間が2024年から2025年にかけて2倍以上に成長しているという。LINE VOOMでショートドラマを閲覧する人は拡大中で、動画のカテゴリー別では、K-POPに続く人気コンテンツとなった。有本氏はこれらの結果に対し「通常、“お薦め”で流れてくる動画はどんどんスワイプされてしまうもの。ショートドラマは続きが気になるのでユーザーが熱を持って観てくれています」と分析した。また有本氏は、LINEマンガ作品のショートドラマ化やショートドラマのLIVE配信企画といった事例を紹介。「ショートドラマはますます成長していく市場です。一大エンタメ産業になるポテンシャルを感じていますので、力を合わせて市場を立ちあげ目標にコミットしていきたい」と呼びかけた。毎日の隙間時間に「ショートドラマを視聴する」という選択肢がまず思い浮かぶようになる世界も、近付いてきているのかもしれない。
縦型ショートドラマ制作者のパネルディスカッション
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おおとも ひさし @tekuriha
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