ホラーを語るリレー連載「今宵も悪夢を」 第60夜 [バックナンバー]
選者 / 桃月なしこ「Blink」【ネタバレあり / 本編無料公開中】
主人公を突き落とした犯人は誰?解釈が広がる短編ホラー
2024年2月2日 21:00 4
ホラーやゾンビをこよなく愛する著名人らにお薦め作品を紹介してもらうリレー連載「今宵も悪夢を」。集まった案内人たちは身の毛もよだつ恐怖、忍び寄るスリル、しびれるほどの刺激がちりばめられたホラー世界へ読者を誘っていく。
第60夜は
取材・
ホラー映画「Blink」本編映像
もしラストシーンの続きを考えるとしたら…
この短編は、転落事件によって体が動かなくなった患者の恐怖を描いた作品です。主人公の女性は全身がまひしていて、意志はまばたきでしか伝えられません。でもその目の表情だけで何かにおびえていることはわかるんです。看護師さんが目覚めた主人公を見て、当時の状況を聞こうとするんですね。質問に対してイエスなら1回、ノーなら2回まばたきしてくださいと。聞いていくうちに、彼女が窓から誰かに突き落とされたようだとわかります。私が「ん?」と思ったのは、犯人について質問したシーンです。「男ですか?」「ノー」「女ですか?」「ノー」。パッと見で男か女かはわかるはずなのに、男でも女でもないと。どういう状況?と思ったら、ここからまさかのちょっとSFチックな話につながっていくわけです。
【以降ネタバレあり】
この映画を全編観れば、犯人がどういう人物なのかわかるのですが……。私はこの映画の世界観は、地球外生命体が地球に侵略してきているタイプのものなんじゃないかなと思っています。例えばゾンビが街にはびこっているような世界線ってありますよね、そういうものなのかなと。ただ、劇中で描かれている犯人の姿が、誰目線から見た姿なのかはわからない。第三者の目線で客観的に見えているものと、主人公の目線で見えているものは違うのかもしれない。ただ、主人公にとってあれは“恐怖の象徴”として描き出されているとは思います。もし自分があの状況に陥ったらと考えると、心臓がバクバクします。動けないだけだったらまだしも、声も出せないし助けも呼べない。本当に死を待つのみ、というのがめちゃくちゃ怖いですよね。しかも私の解釈では、犯人は未確認生物ですから、どうあがいても勝てやしない。犯人の1回目の襲撃から主人公はなんとか生き残った。すでに1度怖い思いをしているのに、病院でもまた怖い思いをしなくちゃいけない(笑)。だったら1回目で死なせてくれよと思いました。
もしラストシーンの続きを考えるとしたら……まず、主人公は死にます。そしてその後のストーリーは、“なぜあの子が狙われていたのか”“犯人は何者なのか”を紐解くものになるでしょうね。前後のストーリーがまったく見えないので、いろんな解釈ができる作品だと思います。もしかしたら主人公は生き延びているかもしれないですしね。地球外生命体がいる世界線なら、対抗する部隊もいるかもしれない。でも私は主人公は死んだ説を唱えます。ちなみに犯人を悪魔や幽霊のようなものだと考えなかったのは、私がそういったものを信用していないからです。オカルト的なものに対する恐怖はないんですが、地球外生命体の存在は信じてるんですよ。地球に人間がいるならほかの惑星にも生き物がいるでしょ、みたいな(笑)。
桃月なしこ(モモツキナシコ)
1995年11月8日生まれ、愛知県出身。“可愛すぎる現役ナース”として一躍脚光を浴び、ファッション雑誌bisのレギュラーモデル、コスプレイヤーとして活躍している。サカイ引越センターのテレビCMに出演しているほか、「魔進戦隊キラメイジャー」で敵幹部ヨドンナ役に抜擢され、スピンオフ作品「ヨドンナ」シリーズ第1作から第3作で主演を務めた。東映の配信ブランド・Xstream46作品「ようこそ東映殺影所へ」にも主演。2022年放送アニメ「恋は世界征服のあとで」の乱乱役で声優デビューを果たした。現在「おはスタ」(テレビ東京系)金曜日レギュラーのほか、木曜ドラマ23「夫婦の秘密」(BS-TBS)に三枝朱音役で出演中。
「Blink」(2022年製作)
窓から突き落とされ、病院に運ばれて来たメアリー。体はほとんどまひ状態で、唯一のコミュニケーション手段はまばたきだけ。彼女は看護師に“非人間的な力”が自分を殺そうとしていると警告しようとするのだが、病室では奇妙な出来事が起き始める。
監督を務めたのは、「ムーンフォール」の脚本を手がけたスペンサー・コーエン。ドラマシリーズ「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」の
「Blink」YouTubeで本編無料公開中
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