中国ドラマ イケオジ放談 第3回 [バックナンバー]
40代はイケオジとして見るのは難しい?──ウォレス・チョン、ホアン・シャオミン、チェン・クン、ゾン・フォンイェン、ピーター・ホーをトーク
2023年9月3日 18:15 14
イケオジの宝庫と言われる中国ドラマ。皇帝や仙人、師父、父親、悪役、上司などさまざまなキャラクターとして登場し、物語に深みを与えている。
映画ナタリーでは中国ドラマを彩るイケオジにフォーカスしたコラムを全4回にわたって展開。第3弾となる今回はライターの青木久美子、小酒真由子、熊坂多恵に40代の気になる俳優について語ってもらった。
取材・
ウォレス・チョンはメロドラマがすごく似合う人
──日本では一般的に40代から60代のイケている男性を“イケオジ”と呼ぶことが多いということから、前回までに60歳以上、50代の俳優さんを挙げていただきました。今回は青木さんと熊坂さんが候補を挙げるのが難しかったと言っていた、40代の気になる俳優をお話ししていければと思います。
青木久美子 そうなんですよ。やっぱり40代は主役も張るから、イケオジと呼ぶのは自分の中では新鮮。
熊坂多恵 私の中では、イケオジって脇役に徹しているイメージなんですよね。
──40代だとラブストーリーで主演を張っている俳優さんもたくさんいますよね。
青木 だから50代以上は脇役として存在感を発揮している気になるイケオジを選んで、40代は小酒さんが言っていた「アイドル扱いが終わって、成熟した男性として魅力的な人」だったり、俳優として味が出てきた人という基準で気になる俳優さんを選びました。
──まずは小酒さんに気になる40代の俳優として、
ウォレス・チョン(鐘漢良)
1974年11月30日生まれ、現在48歳。出演作にドラマ「マイ・サンシャイン~何以笙簫默~」「孤高の花 ~General&I~」「メモリーズ・オブ・ラブ~花束をあなたに~」「恋心は玉の如き」などがある。
小酒真由子 ウォレスは私の心の中の輝く太陽なんです(笑)。
一同 (笑)
小酒 ウォレス本人はソフトで優しくて、香港出身なので、香港スター的な魅力がある俳優さん。
青木 ダンスもできる歌手なんですよね。
小酒 そう。今でも歌って踊ってます。俳優としての彼はメロドラマがすごく似合う人なんです。「マイ・サンシャイン~何以笙簫默~」みたいなドラマティックな作品で、ヒロインのことを深く愛している役がとってもハマる。どんなに年齢を重ねても、ラブストーリーの主役をやってるイメージがありますね。脇役のイメージが全然ない。
熊坂 イメージないですね。
小酒 出てきた頃からスーパースター。
青木 48歳だと知ってびっくりしました。もう40代なんだ!って。もっと若いイメージがあった。
熊坂 童顔ですよね。韓国ドラマとかだと“キス職人”みたいに表現されますけど、ウォレスってラブストーリーでいい雰囲気を出すうまさがあるんだと思います。
小酒 ウォレスは本当に愛情に満ちた人なんですよ!
熊坂 愛情!?(笑)
小酒 だから、役でも、素でしゃべっているときも、優しさとはこうあるべき!みたいな、理想的な姿を見せてくれるんです。「本当のウォレスを知っているんかいっ!」ってツッコまれると困るんですけど(笑)。ファンの心の中では、実際の本人も究極の優しさを体現している。だから彼のファンは熱いんだと思うんです。私、ウォレスで妄想しろと言われたら何時間でもしゃべれますもん(笑)。
熊坂 ウォレスと私(笑)。
小酒 そう! 彼にはそういうスター性があるんです。
熊坂 アンジェラベイビーと共演した「孤高の花 ~General&I~」もすごい人気ですもんね。
小酒 「孤高の花」のウォレスはストイックなのに情熱的な役でしたね。
熊坂 日本における中国時代劇の歴史において、マイルストーン的な作品の1つというか。かなりレンタルで回って、話題にもなっていましたよね。
小酒 ウォレスはめちゃリアルな恋愛感情を醸し出してくる。だからこの人は本当にヒロインを愛しているんだなって感情移入できるんです。
熊坂 リアコ案件ってやつですね。
小酒 彼はちょっと隙があって天然なところも魅力。例えば
ウォレス・チョン出演作情報
「孤高の花 ~General&I~」
<シンプルBOX 5,000円シリーズ>DVD-BOX1~3販売中 各税込5500円
発売元・販売元:エスピーオー
Amazon Prime Videoチャンネル「エンタメ・アジア」ほかにて配信中
「君、花海棠の紅にあらず」のホアン・シャオミンはダンディズムの極み
──ホアン・シャオミンは青木さんが気になる俳優として挙げてくれました。
ホアン・シャオミン(黄暁明)
1977年11月13日生まれ、現在45歳。北京電影学院出身。出演作にドラマ「新・上海グランド」「神鵰侠侶」「泡沫の夏」「岳飛伝 THE LAST HERO」「琅琊榜(ろうやぼう)<弐>~風雲来る長林軍~」「君、花海棠の紅にあらず」や、映画「イップ・マン 葉問」「The Crossing -ザ・クロッシング-」PartI、PartIIなどがある。
熊坂 青木さんはホアン・シャオミンの取材もしてましたよね?
青木 しましたね。「新・上海グランド」のときだったと思います。気さくな青年でした。当時彼はタイのヒット曲をカバーしたCDを出していたんですけど、それを知っていたので「CDを買いたいのに日本では買えないんですよ」って言ったら、とてもうれしそうな顔をしていて、取材終わりにCDをくれたんですよ。それで一緒に歌ってくれて。
熊坂 めちゃいい人!
青木 それ以来、彼が出ている作品はできるだけチェックしているんです。ドラマ「鹿鼎記〈新版〉」では武力もないのに祭り上げられていくコミカルな役をやっていて、イケメンだけどこういう役もやるんだという驚きがありました。その後「君、花海棠の紅にあらず」で、心をがっつりつかまれてしまって。
──京劇に人生を捧げた男たちの物語ですね。
青木 「君、花海棠の紅にあらず」のホアン・シャオミンはダンディズムの極みみたいな。あんなにクラシックなスーツが似合う人はいない! 「新・上海グランド」の頃よりもさらに深みが出て、視線だったり、指先の表現だったり、表情じゃないところで語っていて、素敵でしたね。
小酒 「君、花海棠の紅にあらず」のホアン・シャオミンはぐうの音も出ないほどの素敵さですよね。
青木 あのドラマはイン・ジョン(尹正)先生も素敵! 2人が演じた京劇の人気俳優と豪商の関係がいいんですよ。
熊坂 中国の俳優さんで“イケメン”という言葉を最初に聞いたのはホアン・シャオミンのイメージですね。「13億人から選ばれしイケメン」みたいなキャッチで。最近では中国の俳優さんの顔面偏差値が注目されますけど、当時はイケメン売りを見たことがなかった。彼が最初だった印象かも。
ホアン・シャオミン出演作情報
「君、花海棠の紅にあらず」
DVD-BOX1~3 販売中 税込各1万6940円
発売元:コンテンツセブン/フォーカスピクチャーズ
販売元:TCエンタテインメント
各プラットフォームにて配信中
「風起隴西」は“くすんだかっこよさ”みたいなものが醸し出されていた
──続いてはホアン・シャオミンの大学の同級生
チェン・クン(陳坤)
1976年2月4日生まれ、現在47歳。北京電影学院出身。出演作にドラマ「さよならバンクーバー」「鳳凰の飛翔」「風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-」や、映画「小さな中国のお針子」「画皮 あやかしの恋」などがある。
小酒 チェン・クンももう47歳なの?って感じですよね。50代になっても若々しいに違いない。
──美しいですよね。
熊坂 年齢不詳ですよね。
小酒 2000年代前半に入ってきた映画「小さな中国のお針子」とか、ドラマ「雨のシンフォニー」「さよならバンクーバー」「華の家族」からずっと追っている人もいると思うんですけど、「風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-」でまた注目度が上がっている印象ですね。だからこの作品からチェン・クンに入った人は、素敵なイケオジに出会ったって思うかも。
熊坂 「風起隴西」どうですか?
小酒 若い頃にはなかった、いい意味で“くすんだかっこよさ”みたいなものが醸し出されていましたね。
熊坂 「小さな中国のお針子」のときは美少年で「画皮 あやかしの恋」のときも美しい役でしたよね。「鳳凰の飛翔」は色っぽくて怪しくて面白い役だった。だから「風起隴西」の“イケオジ”なチェン・クンは見たいなって思っているんです。
──若い頃から作品を観ていると、素敵に歳を重ねていく姿を追う楽しさがありますよね。
小酒 そうですね。チェン・クンは今後どうなっていくか要注目です。
チェン・クン出演作情報
「風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-」
Blu-ray BOX1~2販売中 各税込1万6500円
DVD-BOX1~2販売中 各税込1万3200円
発売・販売元:エスピーオー
提供:エスピーオー / テレビ東京メディアネット
ゾン・フォンイェンは遭遇率が高いイケオジ
──続いては熊坂さんに挙げていただいた
ゾン・フォンイェン(宗峰岩)
1973年7月22日生まれ、現在50歳(※座談会開催時49歳)。北京電影学院出身。出演作にドラマ「黒豊と白夕~天下を守る恋人たち~」「宮廷恋仕官~ただいま殿下と捜査中~」「有翡(ゆうひ) -Legend of Love-」「剣王朝~乱世に舞う雪~」などがある。
熊坂 ゾン・フォンイェンはとにかくいろんな作品にお父さんとか、師匠とか悪役で一丁噛みしている俳優さん。仕事で出演者のデータを作っているとめちゃくちゃ出てくるんです。
小酒 彼も遭遇率高いイケオジですよね(笑)。横店影視城に住んでいて、空き時間に「ゾン・フォンイェンさん、ちょっとこっちの作品もお願いします!」みたいに言われてるんじゃないかと思うぐらいいろんな作品に出ている。
一同 あはははは(笑)。
熊坂 チェン・シャオ(陳暁)とミシェル・チェン(陳妍希)が共演した「神雕侠侶~天翔ける愛~」では欧陽鋒を演じていて、怪しい役。チャオ・リーイン(趙麗穎)とワン・イーボー(王一博)が共演した「有翡(ゆうひ) -Legend of Love-」ではヒロイン・有翡のお父さん役で、こういう役もやるんだと思ったんです。いい役も悪い役もなんでもできる。
小酒 私は悪役のほうが好きですね。「高潔なあなた」の悪徳官僚みたいな。そっちのほうが色気が出る気がする。若い頃から美男子だったタイプですよね。
青木 「宮廷恋仕官~ただいま殿下と捜査中~」でも悪役でしたよね。
──いろんな作品に出ているので「また、ゾン・フォンイェンだ!」と、親しみを感じていく俳優さんかもしれないですね。私も今、3作連続ゾン・フォンイェン中です(笑)。
熊坂 回しても回してもゾン・フォンイェンみたいな(笑)。そういう楽しさのある俳優さんかもですね。
「飛狐外伝」では渋いピーター・ホーが見られる
──続いては熊坂さんと小酒さんに、気になる1人として挙げていただいた
ピーター・ホー(何潤東)
1975年9月13日生まれ、現在47歳。出演作にドラマ「原味の夏天」「三国志 Three Kingdoms」「泡沫の夏」「項羽と劉邦 King's War」「月に咲く花の如く」「剣王朝~乱世に舞う雪~」「飛狐外伝 レガシー・オブ・ヒーロー」などがある。
熊坂 ピーターもそんな年齢か……顔が“おじ”ではないんですよね。
青木 見えないね(笑)。
小酒 進んで時代劇の脇役とか悪役をやっているので、私的にはそういうポジションでもおかしくない俳優さんだと思っていますね。「飛狐外伝 レガシー・オブ・ヒーロー」では辮髪姿でひげを生やしていて、渋かったです。
熊坂 ピーターは主演もやるし、脇もやるし、さらにプロデュースもやるから、昔から幅広くやっているイメージはありますよね。
青木 本当にいろんな役をやっていますよね。「月に咲く花の如く」で演じたヒロインの心優しい夫役はとても印象的で。
小酒 ピーター本人も「月に咲く花の如く」のように心優しい人ってイメージですよね。でも私は意外と悪役のピーターが好きなんですよ。なぜ悪役が好きなのかは自分の中で結論が出ないんですけど(笑)。
熊坂 いい役だとハマりすぎちゃうからじゃないですか?
小酒 確かに、ピーターがいい人だって知っているからというのはあるかも。
青木 「項羽と劉邦 King's War」では、こういうのも似合うんだと驚きましたね。その前まではスリムな青年のイメージがあったんですけど、がっちり体を作って。
熊坂 途中から鍛えて、めちゃくちゃガタイがよくなりましたよね。ピーターは「仮面ライダー555(ファイズ)/パラダイス・ロスト」とか「T.R.Y.(トライ)」「着信アリ2」といった日本の作品にも出ていたり貴重な存在。
小酒 NHKで放送された木村多江さん主演の「上海タイフーン」にも出ていましたよね。
青木 最初に出てきたときは、演技力というよりもビジュアルのよさに目がいっていたけど、だんだん年齢を重ねてきて味が出てきましたよね。
小酒 そうそう。そういう意味ではイケオジかなと。
熊坂 「剣王朝」の役も、カリスマ性のあるすごくいい役だった。でも私の中では渋いっていうイメージはまだないんですよね。
青木 やっぱり若く見えるしね。
小酒 「飛狐外伝」は渋いピーターがこれまた渋くてかっこいいリン・ユーシェン(林雨申)と共演しているので、ぜひ皆さんに観てほしいです!
ピーター・ホー出演作情報
「飛狐外伝 レガシー・オブ・ヒーロー」
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DVD‐SET3&レンタルDVD Vol. 14~20 2023年9月6日(水)リリース 税込1万7600円
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発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
▶︎中国ドラマ イケオジ放談第4回に続く
青木久美子(アオキクミコ)
華流ウォッチャー。アジアンエンタメライター。「韓流ぴあ」「見るべき中国時代劇ドラマ」(ぴあ)、「韓国テレビドラマコレクション」「中国時代劇で学ぶ中国の歴史」(キネマ旬報社)ほか、情報誌を中心に韓国・中国・台湾などアジアンエンタメの魅力を紹介。
小酒真由子(コサカマユコ)
映画界・出版界での会社勤めを経てフリーライターに。アジアから欧米までドラマについて執筆中。「韓国TVドラマガイド」(双葉社)にて「熱烈推薦!! 中華ドラマはこうハマる!」を、Cinem@rtにて「アジドラ処方箋」を連載している。
熊坂多恵(クマサカタエ)
「中国時代劇で学ぶ中国の歴史」「最新!中国時代劇ドラマガイド」(キネマ旬報社)ほか編集。映画雑誌の編集を経て、中国、台湾、韓国などアジアのエンタメを紹介するムック本の編集や執筆に参加。「最新!注目スター&中国時代劇ドラマガイド2023」が6月27日より販売中。
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