ホラーを語るリレー連載「今宵も悪夢を」 第32夜 [バックナンバー]
選者 / SCANDAL RINA「ファイナル・デスティネーション」
開始15分で最悪の展開
2022年12月16日 21:00 6
ホラーやゾンビをこよなく愛する著名人らにお薦め作品を紹介してもらうリレー連載「今宵も悪夢を」。集まった案内人たちは身の毛もよだつ恐怖、忍び寄るスリル、しびれるほどの刺激がちりばめられたホラー世界へ読者を誘っていく。
第32夜は
文
命を狙ってくる相手は“人”ではなく“運命”
修学旅行を控えた、とある男子高校生。
10日間のパリの旅にワクワクとは別の胸騒ぎを抱えて、悪天候の夜、眠りにつく。
どこからが夢か現実か曖昧な世界。
彼の目に飛び込んでくるものたちは、これから起こる危険を知らせるようだった。
普段なら気にも止めないような些細なことがヤケに頭に残って、悪い想像ばかりが膨らむ。
何かを見るたび嫌な予感が加速する。
とにかくいつも通りじゃない。
そして、開始15分で最悪の展開。
いきなりクライマックスがやってくる。
じわじわ迫る予言のような嫌な予感と、それが現実になる残酷さがシンプルに怖い。
絶対に何かが起こると分かっていても、この映画のルールが分かった上でも、やっぱり怖い。
最後の最後まで気が抜けない。
20年以上前の映画だということもあって、古き良き質感や演出。痛快な王道感がある。
がっつりCG感がある飛行機の爆発シーンも何だかもはやお洒落に感じる。
その距離で爆発して、空港の窓ガラスそこまで木っ端微塵になる?とか思うけど、その全てが良い味になっている。笑
不穏な空気だけじゃなく、ちょっと笑える派手さがあるところも魅力的だ。
様々なハプニングで順番に命が狙われていくわけだけど、その相手が“人”ではなく“運命”というのが面白い。生き残った者同士が協力しながらそれに抗っていく様子は、これまでの出来事からヒントをかき集めて命懸けの謎解きをしていくみたい。そこに漂う青春感もすごく良い。
助かり方が分からなくて、投げやりになって車を飛ばし、度胸試しするかのように線路内に停車するシーンは、そのあと想像のひとつ先の展開を見せてくれる。こんなにワクワクしながら怖さを楽しめる映画って他にあるかな?と思う。
このシリーズは第5作まで作られているので、気に入ったら順番に観て欲しいなと思う。
私的には、5作目の「ファイナル・デッドブリッジ」もオススメ。シチュエーションと時代が変わって、アップデートされた迫力のある映像と、期待通りのスリルが楽しめること間違いなし。
ありとあらゆるものが運命に作用している。
全ては伏線。それは、現実世界でも。
人生って油断禁物すぎる。
悪い予感と逃げろ!の合図に、ちゃんと気づいて長く楽しく生きたいものだ。
ぜひ、年末年始にキャーキャー騒いで観て欲しい。
RINA
SCANDAL RINA
1991年8月21日生まれ、奈良県出身。2006年にHARUNA(Vo, G)、MAMI(G, Vo)、TOMOMI(B, Vo)と結成したガールズバンド・SCANDALでドラムとボーカルを担当。2008年にシングル「DOLL」でメジャーデビューを果たし、翌2009年にシングル「少女S」でレコード大賞新人賞を受賞した。2019年にはSCANDALのプライベートレーベル・herを設立。
「ファイナル・デスティネーション」(2000年製作)
修学旅行のため飛行機に乗った高校生アレックス・ブラウニングは、なぜか “この飛行機は爆発する”と直感。パニックになり、ほかのクラスメイトとともに搭乗機から降ろされてしまう。そして離陸した飛行機は、彼の予感の通りになる。あやうく死を免れたアレックスたちだったが、さらなる“運命”に追い詰められることになるのだった。
「ファイナル・デスティネーション」Blu-ray / DVD販売中
税込価格:Blu-ray 2619円 / DVD 1572円
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
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