横山未来

〇〇の異常な愛情 Vol. 4 [バックナンバー]

横山未来の場合:ジャッキー・チェン好きの少年は如何にしてSHIBUYA TSUTAYAのVHSコーナーを企画するに至ったか

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入手困難な「盗写 1/250秒 OUT OF FOCUS」

──「渋谷フィルムコレクション」ができてからもう少しで1年になりますが、どのような反響がありましたか?

コーナーができた当初はTwitterをよく見ていたんですが、「ありがとう、SHIBUYA TSUTAYA」という投稿が多くて。感謝されるとは思ってなかったので、しばらく毎日チェックしていました(笑)。「お薦めの作品がここにあるから観てください」とツイートしている方もいて、それがきっかけで自分も観てみようと思った映画もあります。コロナの影響で海外の方にはあまりお越しいただけていないのですが、おそらく製作国でもなかなか観られない映画のVHSも置いてあるので、今後の反応が楽しみです。

──かなり高い位置までVHSが棚に並べられていますが、これはあえてでしょうか?

「渋谷フィルムコレクション」の一部。

「渋谷フィルムコレクション」の一部。

映画の博物館や森をイメージしていて、作品に囲まれているという感覚を味わってもらうために、台がないと届かないような高さにもビデオテープを置いています。上のほうまでたくさん本が積んである、古本屋のようなイメージです。

──現代において利便性を追求したものではないVHSがそういった形で置かれているのはいいですね。今後入手したいと思っているVHSはありますか?

原田眞人監督の「盗写 1/250秒 OUT OF FOCUS」です。福山雅治さんと二階堂ふみさんが共演した「SCOOP!」のもとになった作品なんですが、監督の大根仁さんが昔「盗写」のVHSを買い集めていたみたいで。見つけたら店長にお願いしようと思っているのですが、見つけることすら難しい。大根監督は10年前の時点で5本持っているようなので、大変おこがましいですが、1本個人的に購入させていただけたらありがたいです……(笑)。

映像の乱れ=過去に観た人の感情

──同じ曲であってもサブスクとレコードでは味わいが違いますし、同じ風景の写真でもデジタルとフィルムでは印象が変わってきます。配信とビデオテープにも同じことが言えると思うのですが、VHSで映画を観る魅力とはなんでしょうか?

この前、昭和のアイドル映画を何本か観たんです。キスシーンでガガガって映像が乱れたときに「みんな繰り返しここを観たんだな」と。人気のシーンはテープがすり減っているんですよね。そういう映像の乱れからは、過去に観た人の感情が伝わってくる気がします。

──それはVHSならではの楽しみ方ですね。

SHIBUYA TSUTAYAでレンタルできるビデオデッキ。

SHIBUYA TSUTAYAでレンタルできるビデオデッキ。

はい。あと昔は劇場やテレビ放送でしか映画を観られなかったと思うんですが、VHSと家庭用ビデオデッキが普及したことによって映画を観たいときに観られるようになりました。それからDVD、Blu-rayと、ソフトを所有することによって好きな映画を自由に観るコントロール権を得たのに、すべてが配信になってしまったらそれがまた失われてしまうのでは?という恐怖があります。

──確かに、観ようと思っていた作品の配信がいつの間にか終わっていることはよくあります。

配信は便利で、もちろん僕も使っているのですが、それだけになってしまったら嫌だなと。VHSに限らずBlu-rayやDVDでもいいんですが、大切な作品はソフトを買って、お宝としていつでも観られる状態にしておきたいです。

──SHIBUYA TSUTAYAでは、配信では観ることのできない作品のVHSもたくさん取り扱っていますね。

ジャン・ユスターシュの監督作「ママと娼婦」や、レオナルド・ディカプリオの主演作「太陽と月に背いて」はすごく人気があります。人気すぎる作品は表に置いていない場合もあるので、探しても見つからないときは店員に聞いてみてほしいです。裏に置いてあるだけかもしれません。「渋谷フィルムコレクション」にはGoogleで検索してもほとんど情報が出てこない作品もあるので、映画に詳しい方にこそ来てほしい。「絶対に知らない作品がある」と言い切れますし、「こういう作品の取り扱いが足りていないんじゃないか」と気付くことがあれば教えていただけるとうれしいです。

上段左から「モーニング刑事(コップ)。 抱いてHOLD ON ME!」、「リターン・トゥ・ザ・フューチャー/犯罪者を追え!」、「バカ拳」。下段左から「モーニング娘。in ピンチランナー」、東映版「スパイダーマン 」、「ブレードプラネット」。

上段左から「モーニング刑事(コップ)。 抱いてHOLD ON ME!」、「リターン・トゥ・ザ・フューチャー/犯罪者を追え!」、「バカ拳」。下段左から「モーニング娘。in ピンチランナー」、東映版「スパイダーマン 」、「ブレードプラネット」。

横山未来(ヨコヤマミライ)

1992年生まれ、神奈川県出身。2015年からSHIBUYA TSUTAYAで勤務中。好きな映画人はジャッキー・チェン

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映画ナタリー @eiga_natalie

ジャッキー・チェン好きの少年は如何にしてSHIBUYA TSUTAYAのVHSコーナーを企画するに至ったか
【連載コラム】〇〇の異常な愛情 Vol. 4 | 横山未来の場合

・分散していたVHSを1箇所にまとめた理由
・入手困難な「盗写 1/250秒 OUT OF FOCUS」について
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