映画「ペリリュー」主演・板垣李光人は原作者の第一希望、きっかけはYouTubeのパン動画

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武田一義原作によるアニメ映画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」の公開初日舞台挨拶が、本日12月5日に東京・新宿バルト9で開催された。

アニメ映画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」公開初日舞台挨拶より。左から武田一義、板垣李光人、中村倫也、久慈悟郎監督

アニメ映画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」公開初日舞台挨拶より。左から武田一義、板垣李光人、中村倫也、久慈悟郎監督

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太平洋戦争末期、日本の戦局が悪化していた昭和19年9月15日に始まったペリリュー島での戦いと、必死に生きようとする兵士たちの姿が描かれる「ペリリュー」。舞台挨拶には主人公・田丸均役の板垣李光人、吉敷佳助役の中村倫也、原作者であり脚本にも携わった武田、監督の久慈悟郎が登壇した。中村は客席の中に子供の姿を見つけると「(その格好から)タイガースファンのぼく、怖かった? 怖かったね。でも、その記憶は大人になっても残るすごく貴重なものになると思うので、これからも阪神を応援してください」と語りかけ、板垣に「そっちですか? この映画のほうも(記憶に残してください)……」と笑いながらやんわり軌道修正される。

アニメ映画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」公開初日舞台挨拶より

アニメ映画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」公開初日舞台挨拶より [高画質で見る]

久慈監督は板垣と中村の芝居について、「キャストの皆さんには、ペリリュー島にいた等身大の若者の声をあてていただきたいとお願いしていました。なのでおふたりにも声を作っていただくというよりは、ご自身の声で演じていただくことを大切にしました」とコメント。「僕としては、おふたりそれぞれの最後のセリフが絶対に外せないところだと思っていました。声を録るときにもスタッフ全員が注目して聴いていたんですが、バシッと一発で決めてくださって、『いい映画になった』と感じました」と話す。

武田も板垣と中村の演技を「おふたりの第一声が想像を超えていた」「自分の中の田丸と吉敷すぎた」と絶賛。中村が「(オファーのきっかけは)李光人くんがパンを作ってるYouTubeを先生が観てたんだよね」と切り出すと、武田は「そうなんです、田丸っぽいなと思いながら観てました」と応じる。板垣は「2年前ぐらいですかね。実際にはパンを使った料理の動画なんですが」と訂正しながら照れ笑い。主人公を支える役柄の中村は「僕も作っておけばよかったなって思います」と続け、会場を和ませた。

板垣李光人

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武田は「田丸役は板垣さんを初めから希望していて、その通りに叶ってよかったと思っていたんですが、逆に言うと吉敷役は実力のある俳優さんであれば、どなたでもその人なりの様式をやってくれるだろうと思っていました。ただ実際に中村さんの吉敷の声を聴いたとき、僕の予想をはるかに超えていた。戦場で強くて冷静に物事を考えられるカッコいい面だけではなく、物語の後半に出てくる(戦場での姿ではない)面まで滲ませていてくれたんです」と称えた。

中村倫也

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ここで、登壇者たちの後ろに立つパネルの話題に。パネルには本作をいち早く鑑賞した人々の感想が並んでいる。その中の「自分の価値観が覆されるような、若い世代にこそ見てほしい心震える映画でした」というメッセージを受け、武田は「戦争ものはマンガにしろ映画にしろ、観てくださる方々の年齢層がどうしても高くなりがちなんです。でも『ペリリュー』は戦争もののハードルをグッと下げて、若い人にも観てもらいたいというコンセプトで作り始め、絵柄だったり田丸の性格に反映させました。なので、中村さんがおっしゃった(タイガースファンの少年の)ようにお子さんとかが観てくれるのがうれしいです」と語る。

「かわいい絵が、戦争の残酷さを浮き彫りにする。」というメッセージに話がおよぶと、久慈監督は「かわいい絵で戦争を描くという原作のコンセプトをアニメーションでも守ろうと意識しました。その代わり、戦争描写やペリリュー島の描写はできるだけリアルにして、現実と歴史をこの物語でつなげられるように作ろうとスタッフ一同がんばりました」とコメント。その後も登壇者たちは「もうずっと泣いてた」「今ある当たり前の日常をもっと大事にしなきゃいけないなと感じました」というメッセージにも触れ、しみじみと感想を噛み締めた。

パネルをじっくり眺める登壇者たち

パネルをじっくり眺める登壇者たち [高画質で見る]

またサプライズで、主題歌「奇跡のようなこと」を歌唱する上白石萌音からのビデオメッセージの上映も。上白石は主題歌について「メロディと言葉が本当に強くて優しくて美しいので、私はただただそれを聴いてくださる方にしっかり届けようという思いで歌いました。タイトルの『奇跡のようなこと』には、制作に携わられた方々の『このお話は決して奇跡ではない。奇跡のようなことではあるけれど、そこにはしっかり理由があって、動機があって、ちゃんと道のりがあって起きたことなんだ』っていう思いが込められているというのを伺って、歌うときは一層その思いを意識するようにしました」と思いを明かした

スクリーンに登場した上白石萌音

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最後に主演の板垣は「きっと今、鑑賞後の皆さんの心の中にはタネが撒かれてる状態なのかなと。それをいろんな形で育てていくのもよしですし、そっとそのままにしておくのももちろんいいと思います。でももし、この作品を観て誰かに伝えたいとか知ってもらいたいとか思っていただけたのであれば、ぜひいろんな方に広めていただいて、いろんな人の心の中にタネが植わることになればいいなと思います」と挨拶。フォトセッションでは、キャスト2人が役のぬいぐるみを持って撮影に応じた。

アニメ映画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」公開初日舞台挨拶より

アニメ映画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」公開初日舞台挨拶より [高画質で見る]

※2025/12/5 22:20追記:記事初出時より、写真を一部削除いたしました。お詫びして訂正いたします。

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映画「ペリリュー ー楽園のゲルニカー」

2025年12月5日(金)公開

スタッフ

原作:武田一義「ペリリュー ―楽園のゲルニカ―」(白泉社・ヤングアニマルコミックス)
監督:久慈悟郎
脚本:西村ジュンジ・武田一義
キャラクターデザイン・総作画監督:中森良治
プロップデザイン:岩畑剛一、鈴木典孝
メカニックデザイン:神菊薫
美術設定:中島美佳、猿谷勝己(スタジオMAO)
コンセプトボード:益城貴昌・竹田悠介(Bamboo)
美術監督:岩谷邦子、加藤浩・坂上裕文(ととにゃん)
色彩設計:渡辺亜紀・長谷川一美(スタジオ・トイズ)
撮影監督:五十嵐慎一(スタジオトゥインクル)
3DCG監督:中野哲也(GEMBA)、髙橋慎一郎(STUDIO カチューシャ)
編集:小島俊彦(岡安プロモーション)
考証:鈴木貴昭
音響監督:横田知加子
音響制作:HALF H・P STUDIO
音楽:川井憲次
制作:シンエイ動画 × 冨嶽
配給:東映

キャスト

板垣李光人中村倫也、天野宏郷、藤井雄太、茂木たかまさ、三上瑛士

(c)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」製作委員会

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神楽 🐋 @yauebb2saed

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