「ジョジョ」を知らなくても楽しめる! 今「スティール・ボール・ラン」を観るべき9つの理由

「ジョジョの奇妙な冒険」アニメーションシリーズの最新作となる「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」が、3月19日からNetflixにて世界独占先行配信される。

荒木飛呂彦の同名マンガを原作とした本作は、1890年のアメリカが舞台。人類史上初の乗馬による北米大陸横断レース《スティール・ボール・ラン》に出場する、ジョニィ・ジョースターとジャイロ・ツェペリという2人の冒険を描いた物語だ。

「ジョジョ」ファンの間で特に人気が高い「スティール・ボール・ラン」だが、実は今まで「ジョジョ」に触れたことがない人にもオススメの一作。というよりもむしろ、歴代シリーズを未見の人が初めて「ジョジョ」に触れるのに最適の作品と言っても過言ではない。その理由をご説明しよう!

文 / 後藤悠里奈

Lesson1
過去シリーズを観ていなくても大丈夫! ゼロから始まる物語

まずは「ジョジョの奇妙な冒険」の基本情報をザックリと紹介しておこう。

マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」は1986年に連載がスタートした大人気作品。部ごとに主人公が代替わりしていくのが特徴で、原作は現在第9部「The JOJOLands」が連載中だ。2012年にアニメシリーズが始動し、第6部にあたる「ストーンオーシャン」までがアニメ化されている。今回アニメ化される「スティール・ボール・ラン」は、シリーズの第7部にあたる物語である。

「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」キービジュアル

「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」キービジュアル

……と、こう聞くと、「過去作を観たことがないし、今から観ても話についていけなさそう……」と思って視聴を尻込みしてしまう人も少なくないかもしれない。

だが、実はそうではないのだ。

確かに第1部から第6部までは地続きになっており、主人公が代替わりするとはいえ、イギリス貴族・ジョースター家の血統を受け継ぐ者たちと、その宿敵とも言えるDIOという人物の因縁が主軸の物語が一貫して描かれてきた。しかし、詳しい説明は割愛するが、第6部のラストでいろいろあって(本当にいろいろあって)、世界が一巡。第7部からはまったく新しい物語がスタートする。つまり、「スティール・ボール・ラン」は歴代シリーズの予備知識を一切持っていなくても楽しめる作品になっているのである。

もちろん歴代シリーズを知っているとよりワクワクするようなギミックや小ネタもちりばめられているのだが、それはあくまでオマケ的要素であって本筋ではない。気負うことなく本作の物語世界へと飛び込んでいってほしい。

Lesson2
主人公2人の関係性がアツい!

「ジョジョ」は作品タイトルの通り、“ジョジョ”というあだ名を持つキャラクターが主人公になるのだが、「スティール・ボール・ラン」ではもう1人、物語の中核を担うキャラクターがおり、W主人公のようなスタイルになっている。

主人公の1人は、本作の“ジョジョ”=ジョニィ・ジョースター。かつては天才騎手と呼ばれていたが、自身の慢心が招いたトラブルによって大怪我を負い、半身不随に。成功も栄誉もすべてを失い、絶望に打ちひしがれていた。

ジョニィ・ジョースター

ジョニィ・ジョースター

そしてもう1人が、ジョニィが《スティール・ボール・ラン》レースの会場で出会った謎のアウトロー、ジャイロ・ツェペリである。ジャイロは“鉄球を回転させて操る”という不思議な技術を持っており、その力を目の当たりにしたジョニィは回転の力に希望を見出し、ジャイロを追ってレースに参加することを決意。そして2人は協力関係を結び、北米大陸を横断するという長い長い旅路をともにすることになる。

ジャイロ・ツェペリ

ジャイロ・ツェペリ

そんな2人の関係性が、なんとも“よい”のだ。

最初は“何を考えているのかわからないジャイロに、ジョニィが振り回されつつ導かれていく”という構図なのだが、一緒に過酷なレースを駆け抜けていく中で2人は互いに相手への理解と信頼を深めていき、それに伴って2人の距離感も徐々に変化。ライバルであり、戦友でもあり、師弟でもあるという、唯一無二の関係性を構築していくのである。

Lesson3
「主軸は北米大陸横断レース」というシンプルなストーリーライン

「スティール・ボール・ラン」は物語の建付けがわかりやすいという点も、「ジョジョ」ビギナーにオススメしたい理由の1つだ。

本作のストーリーはいたってシンプル。物語の軸は、「北米大陸横断レース《スティール・ボール・ラン》を制するのはいったい誰か」という、この一点にある。もちろん物語が進むにつれて、さまざまな人物の思惑が入り乱れ、どんどん話が広がっていくのだが、特に序盤はレースの概要さえ押さえておけば実際にスポーツを観戦するような気持ちで観ることができる。

「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」第1話より

「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」第1話より

西海岸・サンディエゴのビーチから東海岸のニューヨークまでの総距離約4000マイルを駆け抜ける前代未聞の大レース。5000万ドルという巨額の賞金と優勝者の栄光を手にするのは果たして……!?

Lesson4
乗馬レース×頭脳バトルが面白い

レースの勝敗を追うというストーリーラインはいたってシンプルではあるが、一方で、レースの中身自体には実は無限大の戦略性が隠されている。

整備されたトラックを走るわけではなく、広大なアメリカ大陸そのものがコースとなるため、どのルートを進むかは無数の選択肢が存在するのだ。例えば危険が多くても近道となるルートを進むか、例え遠回りでも馬への負担を軽減できる安全なルートを選択するかは、乗り手の考え方次第。馬のコンディションやほかの選手の動向などを踏まえて、その状況に合った最適解を瞬時に判断しなければいけないという意味では、このレースには頭脳戦の要素も強くあると言えるだろう。

また、約4000マイルの全行程の間はゴールのニューヨークを含む9つのチェックポイントによって9つのSTAGEに区切られており、各STAGEで1位だった者は賞金とタイム・ボーナスをゲットできるという趣向も。レースを有利に進めるためにはぜひともタイム・ボーナスを手に入れておきたいが、STAGEでの勝利を目指すあまりに馬の体力を削りすぎてしまうと、全行程を走り抜くことができなくなってしまう。スタートからゴールまで長期間に及ぶことが予想される本レースは、純粋な乗馬技術の競い合いだけではなく、サバイバルの側面も強い。どこでどう勝負をかけるのか、ほかの選手との駆け引きが重要だ。

「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」第1話より

「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」第1話より

さらに、騎手自身の“能力”を活かしてレースに挑むことができるという点も、戦略の幅を広げる要素の1つ。例えばジャイロは、先述した鉄球の回転をレース中にも活用していくのだが、「こんな使い方、あり!?」と驚くような、思いもよらない活用方法を披露してくれる。どんな使い方をしているかは、ぜひ本編でチェックしてほしい。

ちなみに、《スティール・ボール・ラン》は乗馬レースとは言いつつも、乗り物に関するルールは案外自由度が高く、馬以外のものでレースに出場することも可能。選手の中には、ラクダに乗る者や自動車で挑む者、そして自分自身の脚力のみで馬と競おうとする者も。それぞれの選択は、果たしてこのレースにおいて吉と出るのか、凶と出るのか?

Lesson5
信念を持って困難に挑戦するキャラクターたちのカッコよさ

世界中から集まった3800人以上が出場する《スティール・ボール・ラン》。ジョニィやジャイロのほかにも、個性派の選手が幾人もいる。彼らは皆、出自も、抱える事情も、出場する動機も異なるが、それぞれの思いと覚悟を持って《スティール・ボール・ラン》に挑んでいるのは同じ。レースが進むにつれて、少しずつ彼らのバックボーンが垣間見えてくる。

もちろんここではそれを事細かに書くことはしないが、19世紀末といえば、現代以上に身分や階級の差が顕著にあり、それを覆すのが困難な時代である。その中で自らの体力と能力、乗馬技術だけで人生と変えようと挑戦する者たちが、カッコよくないはずがない! あなたの人生にも共鳴するような信念を示してくれる選手が、きっと見つかるはずだ。

第1話で描かれる1st STAGEの注目選手を何人かピックアップしておこう。1人目は、イギリス競馬会の貴公子とも呼ばれる天才ジョッキーのディエゴ・ブランドー。勝利のためならば手段を選ばないという、かなりの野心家である。お次は、先住民の土地を白人から取り戻すために自らの肉体を武器にしてレースに挑むサンドマン。そして、「50億人に1人のラッキーガイ」を名乗る陽気な農夫のポコロコだ。

ディエゴ・ブランドー

ディエゴ・ブランドー

サンドマン

サンドマン

ポコロコ

ポコロコ

また、出場選手ではないが、このレースを企画したプロモーター、スティーブン・スティールの存在も忘れてはならない。北米大陸を横断するという誰も思いつかないような──いや、例え思いついても実際にはやらないような興行をこうして実現させられたのは、強い信念があったから。彼もまた、1人の挑戦者なのである。

Lesson6
心を動かす名セリフの数々

これはシリーズ通して言えることなのだが、「ジョジョ」が人気の理由の1つとして、“独特の言い回しで繰り出される名言”が挙げられる。どこかで聞いたことがあるような慣用的な言葉ではなく、そのキャラクターが自らの人生や直面する状況の中で見いだした哲学が表れており、今の時代を生きる私たちに教訓をくれるようなセリフも少なくない。「スティール・ボール・ラン」でも、先述したようなキャラクターたちの信念が反映された名セリフの数々は作品の大きな見どころの1つになっている。

例えば、本編配信前に公開されたPVでも紹介されていたジャイロのセリフ──「もっとクセを出して走れ」。

これは彼が愛馬「ヴァルキリー」に対してかける言葉なのだが、“出る杭は打たれる”になりがちなこの社会で個性を消し、周囲に馴染もうとしながら生きる現代人に対する、励ましの言葉にも聞こえはしないだろうか。もちろん感じ方は人それぞれではあるが、少なくとも筆者は人生で何か迷ったときにはこの言葉を心の指針にしている。

そういった、自分の人生の道しるべになるような“金言”に、あなたも本作の中で出会えるかもしれない。

第1話ではほかにも、記者から「レースが失敗したらどう責任を取るのか?」と尋ねられたスティーブの返答もとてもいい言葉なので、ぜひとも注目してもらいたいところである。

Lesson7
掛け合いから生まれる化学反応! ライバル・夫婦・相棒……関係性の面白さ

レース自体は個人競技ではあるのだが、作中ではジョニィ&ジャイロ以外にもキャラクター同士の掛け合いが多く描かれる。1人ひとりのキャラクターが魅力的なのはもちろんのこと、コンビの組み合わせによって新たな魅力が見えてくるのも面白い。

例えば、ジョニィとディエゴ。ともに騎手というバックボーンを持つ2人は、この《スティール・ボール・ラン》レース中もライバルとして何度も激突することになる。また、スティールと彼の妻・ルーシーの不思議な夫婦関係も興味深い。スティールは《スティール・ボール・ランレース》を堂々と取り仕切る一流のプロモーターだが、前代未聞のことを行うという不安は常に彼に付きまとう。そんなときにスティールの心を慰め、支えてくれるのがルーシーの存在なのである。

ルーシー・スティール

ルーシー・スティール

コンビという意味では、選手と馬の友情も見逃せない要素だろう。騎手にとって馬は、この過酷なレースを一緒に駆け、レース中にもっとも長い時間をともに過ごす、大事な相棒だ。特に個人的に推したいのは、ジョニィと彼の馬「スローダンサー」の関係性。周りからは「年取って性格のいじけた暴れ馬」と酷評されるスローダンサーに対して、ジョニィはどのように向き合い、どうやって信頼関係を構築していくのか、ぜひ見届けてほしい。

Lesson8
西部開拓時代末期のアメリカの空気感を体感できる!

本作の舞台となる1890年のアメリカは、17世紀から続いていた西部開拓時代が終焉を迎え、新時代へと移りゆこうとしていた頃。そんな時代の北米大陸を“冒険”できるというのも、この「スティール・ボール・ラン」ならではの楽しみ方と言えるだろう。

第1話は、レースの出発点となるサンディエゴから始まるのだが、その街並みはまさに開拓されたばかりといった趣で、まだ道が舗装されていない埃っぽさやビーチに照り付ける太陽の暑さといった当時の西海岸の空気感が、画面から伝わってくるよう。西部劇のような雰囲気の音楽ともマッチし、まるでその時代にタイムスリップしたような感覚を味わうことができる。

「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」第1話より

「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」第1話より

「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」第1話より

「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」第1話より

そして、物語が進み、舞台がサンディエゴからほかの地へと移動するにつれ、周囲の街並みや景観も少しずつ変化していく。ジョニィやジャイロとともに、19世紀アメリカの旅を楽しみたい。

Lesson9
配信はまさに今! リアルタイムでみんなと一緒に楽しめる!

……と、ここまで長々と「スティール・ボール・ラン」を今観るべき理由を述べてきたが、一番はなんといっても、3月19日から第1話が配信されるから!物語の始まりにみんなと一緒に立ち会えるのは、Netflixで世界独占先行配信がなされる、今このタイミングだからこそ。

さあ、何が起こるかわからない世紀の大レースの幕開けを、世界とともに見届けよう!