実写映画「
映画「秒速5センチメートル」は10月10日に公開。小学校の卒業と同時に疎遠になっていた遠野貴樹と篠原明里が、約束の日に再会しようとする姿が描かれる。貴樹役を務めた松村は、映画「すずめの戸締まり」で閉じ師の青年・宗像草太の声を担当しており、新海作品にも縁が深い。そんな松村は映画の公開に向け、「生身の人間が演じる理由を奥山さんがとことん追求してくれました。その中で生まれたアニメとの違いに、感動していただけるのでは」とコメント。明里役を演じた高畑は、「原作ファンもたくさんいると思いますから、生身の人間が演じることでどう届くのか。皆さんの反応を薄目で見たい」と話した。
イベントの後半から登壇した新海は、「『秒速5センチメートル』は20年ぐらい前に、まだアニメの作り方もよくわからないままアパートの一室にスタッフを集めて、見様見真似で作った作品でした。当時は必死に作ったんですが、こんなものでよかったんだろうかという後悔がずっとあったんです。そんな心残りが詰まった、でも愛おしい作品です」と原作を紹介。実写化の話を受けたときには「これでいいんですか?とすごく不安だったんです」と振り返る。しかし、脚本を読み、キャスト陣と話し、初号試写に参加するうちに不安はなくなったという。「あまりに素晴らしかったので、原作者が出しゃばるのはよくないと思ったんですが、皆さんにお礼だけお伝えしたくて、今日はお邪魔しました。本当に素晴らしい映画をありがとうございました」と、キャストと制作陣に感謝を伝えた。
その後MCから改めて映画の感想を聞かれた新海は、「どういう気持ちで観ていいかわからなかったんですけど、観ているうちに、なんだかよくわからない涙が出てきてしまって」と告白。「当時のつらかった制作を思い出して泣いたのか、原作の要素を広げてくれた物語としての強さに泣いたのか……それか、過ぎ去ってしまった日本の2000年代の可能性に泣いたのか。とにかく経験したことのない感動でした。皆さん、期待して観ていただいていいと思います」と語り、映画の出来に太鼓判を押した。
また新海はメインキャラクターである貴樹と明里にも言及。「僕は貴樹と明里がどういう人間かわからないままアニメを作っていたんです。特に明里がどういう女性なのか未だにわかっていなかったんですが、それを松村くんと高畑さん、そして奥山監督に教えてもらいました。ようやく貴樹と明里と知り合えたような気がします」とコメント。終盤には「アニメを作っていた頃って今よりずっと気持ちが柔らかくて、コンビニに入ったり出たりするだけで泣きそうになったり、電話ボックスに車のヘッドライトがあたって反射しているのを見ただけで切ない気持ちになっていました。そんな気持ちだけで映画が作れないかと思ってできたのが『秒速5センチメートル』です。あのときの言葉にできない感情を、俳優の皆さんと奥山監督が届きやすい形にして、素敵な作品を作ってくださいました。公開を楽しみにしていただければと思います」と話し、映画をアピールした。
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楊(やん) @yan_negimabeya
新海誠が実写「秒速5センチメートル」を賞賛、「経験したことのない感動で涙した」 https://t.co/KbWiH8ujja