シリーズ完結編「EUREKA」は「本当に最後の旅」16年携わった名塚佳織がしみじみ語る

「EUREKA／交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」の公開直前イベントが、去る10月28日に東京・秋葉原UDXシアターにて開催され、エウレカ・サーストン役の名塚佳織、アイリス・マッケンジー役の遠藤璃菜、監督の京田知己が登壇した。

「EUREKA／交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」は、劇場版3部作「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」シリーズの完結編。前作「ANEMONE／交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」から10年の時が経ち、大人になったエウレカを軸にした物語が展開される。

公開まで1カ月を切った今の心境を問われた京田監督は「リアルな話、ここに来てる場合かっていう感じなんですけど（笑）。長くやってきた作品が終わっていくということに携われたというのがとてもうれしい」と制作の佳境に入った現状と作品への思いを明かす。TVシリーズから16年以上エウレカを演じた名塚は「収録のときには新たなエウレカを演じることに集中していたのですが、ようやく最近、本当に最後の旅なんだなと実感しています」としみじみ語り、「作品は、皆さんに観ていただいて完成だと思うので、感想を聞けたときにまた実感するのかな」と約1カ月後に迫った公開に思いを馳せた。

今回新たな“EUREKA”の後継者アイリス・マッケンジーを演じた遠藤はもともと「エウレカ」に携わりたいと思っていたことを明かし、「絶対受かりたいなと思って、一生懸命オーディションをがんばりました。本編の収録でも、名塚さんとアフレコができて、とても優しくて楽しかったです」と述べる。名塚も「一緒に旅をしていた感じで楽しかったです。おかしを食べながら、楽しかったね」と収録時の和やかな雰囲気を伝えた。

前作の10年後が描かれることから、大人になったエウレカたちが登場する今作。京田監督は「こういう絵を作りたいっていうのが最初にあるんじゃなくて、あのエウレカがこういう状況だったら、こう成長するだろうなって形でデザインした」と、デザインの意図を明かす。これを聞いた名塚はアネモネ役の小清水亜美とも同様の話をしたことを明かし、「育つ環境が違ったり、関わる人で取り巻く環境が違うと、エウレカとアネモネはこうなっていくんだなっていうのが見れるのも楽しみの1つにしてもらえたら」と見どころを語った。

遠藤は自身の演じたアイリスについて「笑ったりすねたり、喜んだり、すごく感情をまっすぐ出して、ある意味頑固である意味素直で、とてもかわいらしいキャラクターで好きです」と話す。続けて「エウレカとアイリスの距離感のように、アフレコの2日間で本当に名塚さんとも距離が縮まりました」と名塚との共演をふりかえると、名塚も「無理なく二人の世界を作っていけたと思います」とにこやかに話し、監督も2人の雰囲気を絶賛していた。

この日のイベントには主題歌を担当する変態紳士クラブのWILYWNKA、VIGORMAN、GeGもステージに登場。作曲を担当したGeGは「『エウレカ』は今年で16周年、僕は今年で32歳。青春時代を一緒に生きてきたアニメ。僕の中では“でっかい愛”のお話だと思っていたので、そのイメージで曲を作りました。本当に光栄でした」と楽曲に込めた思いを語る。WILYWNKAは「こんなお誘いを僕らにくれるんやっていう緊張があったけど、実際できあがるとドキドキした」と素直に心境を明かし、VIGORMANは「作品ありきで曲を作ったのが初めてで新鮮でした。自分たちの人生に照らし合わせると重なる部分もあって、制作は苦労なくスイスイと進んだ印象でした。早く劇場で聴きたいです」と、映画の公開を待ち望んでいた。

京田監督は「『すべてが終わったあとに聴く曲』ということ。映画が終わったあとにこういう曲を聞くと、悲しいかもしれないけど次の世界に旅立てるような曲。劇場のドアを開けて気持ちよく街を歩いていけるような、そういう気分にしてほしい、そんなニュアンスでお願いした」と楽曲のオーダーについて明かす。主題歌の印象を聞かれた名塚は「『離さないで』『握りしめて』っていうのはエウレカにとっては大切なことで。それを彼女は求めていたんだろうなあっていうのがあったから、そこが歌詞に入ってるのはすごくうれしかったですし、聴いてるだけで熱くなる曲」と歌詞について触れ、主題歌を聴き込んでいるという遠藤は「優しい気持ちになれそうで好きです。母も好きで、かなり家で歌ってます（笑）」と絶賛した。

最後の挨拶では遠藤が「みんな苦しみながら成長している、本当に素敵な作品になってるのでお楽しみに」とコメント。名塚は「（3部作の）『ハイエボリューション』が始まり、レントンの話があり、アネモネの話があり、ついに1カ月後には私の番が来るんだなと。皆様の期待に応えうる作品になってると思います。期待して待っていてください。公開したら皆さんと一緒に旅をしていきたいです」と期待を込める。京田監督は「今は制作が本当にクライマックスで、スタッフ総出でがんばってます。もっと観たいな、劇場に観に行きたい、と思ってくれたらうれしいです。そしてその気持ちをいろんな人に伝えてくださるとうれしいです。1カ月後にまた皆さんと会うのを楽しみにしてます」と観客へメッセージを贈り、イベントを締めくくった。