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マンガ誌編集長が選ぶ、2022年のイチオシ作品 Vol.4 [バックナンバー]

イケオジ、元戦闘工作員、天狗、ねこと個性豊かな主人公が登場する28作品

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マンガを生み出す現場の人間が、一番面白いマンガを知っている」というコンセプトのもと、各マンガ誌編集長ら総勢103人にイチオシマンガを紹介してもらうこの企画。2022年1月1日から12月31日までに発売・発表されたマンガ作品を対象に、1作品をコメントとともに選んでもらった。本企画はこれまでに第1回第2回第3回を公開しており、最終回となる第4回では、28人の編集者たちによる選りすぐりの作品をご紹介。なお掲載順は各マンガ誌代表者名の五十音順となっている。

牧野眞介(プリンセス編集長)の2022年イチオシマンガ

「茉莉花官吏伝 ~後宮女官、気まぐれ皇帝に見初められ~」高瀬わか、石田リンネ

「茉莉花官吏伝 ~後宮女官、気まぐれ皇帝に見初められ~」6巻(プリンセス・コミックス/秋田書店)

「茉莉花官吏伝 ~後宮女官、気まぐれ皇帝に見初められ~」6巻(プリンセス・コミックス/秋田書店)

牧野氏コメント:少女漫画から青年漫画まで幅広いジャンルで引っ張りだこの人気作家・高瀬わか先生と、ライトノベルのヒットメーカー・石田リンネ先生がタッグを組んでおくる話題作です。ごくごく普通の後宮女官の一人だった茉莉花。でも、実は彼女が常人離れした記憶力の持ち主であることにただ一人気づいた皇帝・珀陽は自分の治世のために茉莉花が欲しいと熱望して…!? 魅力あふれるキャラが中華後宮ものの枠を飛び越え生き生きと描かれ、自分の存在価値を模索しながら思い悩み、難解な事件に挑む様は共感と感動が満載のおすすめの一冊です!

茉莉花官吏伝 ~後宮女官、気まぐれ皇帝に見初められ~(6)

高瀬わか,石田リンネ「茉莉花官吏伝 ~後宮女官、気まぐれ皇帝に見初められ~(6)」
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待井寿美子(君恋編集長)の2022年イチオシマンガ

「バイバイ、センチメンタル」波真田かもめ

「バイバイ、センチメンタル」2巻(集英社ガールズコミックス/集英社)(c)波真田かもめ/集英社

「バイバイ、センチメンタル」2巻(集英社ガールズコミックス/集英社)(c)波真田かもめ/集英社

待井氏コメント:ほろ苦い青春真っ只中の二人を描くボーイズラブ作品! のんびり屋でおっとりした温(おん)と、自由気ままで甘え上手なつばさ。高校を卒業して2年、音信不通だった二人が東京で再会。「友達」だと思っていたつばさに、温は特別な気持ちを抱くようになり…。見た目からして可愛らしく、無邪気さを振りまくつばさに対し、一見無表情だけど、鈍感で不器用な温も、なかなか愛らしいキャラクター。決して派手ではないけれど、リアルで等身大の温を応援したくなります! 全体に流れる優しい空気感や、何気ない日常の風景も、ぜひ一緒に味わってみてください。

バイバイ、センチメンタル(2)

波真田かもめ「バイバイ、センチメンタル(2)」
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松井健太(FLOS編集長)の2022年イチオシマンガ

「異世界で姉に名前を奪われました」NiKrome、琴子

「異世界で姉に名前を奪われました」1巻(FLOS COMIC/KADOKAWA)

「異世界で姉に名前を奪われました」1巻(FLOS COMIC/KADOKAWA)

松井氏コメント:異世界転移作品は家族も友人も家も身の回りの何もかもを失い、文化も言語も時代感も全てが違う世界に飛ばされることが絶望的なのですが、この作品では自分の名前も奪われます。大学生の一花は手鏡を通じて異世界の少年セシルと交流をしていたのですが、ある日姉が失踪し、なぜか手鏡も失いました。1年後、再び現れた手鏡を手にした途端異世界に飛ばされた彼女を待ち受けていたのは、自分の名を騙る姉と、成長し姉と婚約した国の第一王子セシル。名前も思い出も奪われた一花がどう生きていくのか。その姿に勇気をもらえる一作です。

異世界で姉に名前を奪われました(1)

NiKrome,琴子「異世界で姉に名前を奪われました(1)」
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松井健太(月刊コミックアライブ編集長)の2022年イチオシマンガ

「ダンジョンの幼なじみ」久真やすひさ

「ダンジョンの幼なじみ」2巻(MFコミックス アライブシリーズ/KADOKAWA)

「ダンジョンの幼なじみ」2巻(MFコミックス アライブシリーズ/KADOKAWA)

松井氏コメント:ラブコメ新時代が来ました! その名も「推しカプ見守り系ラブコメ」!! 主人公はめちゃ強な剣士ヴァンと難攻不落のダンジョン最下層に住む黒龍王リューカ。攻略する者と攻略される者な幼なじみ二人のラブコメなのですがそれだけではありません。この作品には二人にもだえ「感嘆(ヒンッ)」と鳴きながら二人を見守る幹部モンスターたちがいるんです。つかず離れずもどかしい幼なじみの一瞬の甘さに興奮しまくる幹部たち。気づけば貴方もその一員になっていること間違いなし!

ダンジョンの幼なじみ(2)

久真やすひさ「ダンジョンの幼なじみ(2)」
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松田充生(クッキー編集長)の2022年イチオシマンガ

「ときめきトゥナイト それから」池野恋

「ときめきトゥナイト それから」2巻(りぼんマスコットコミックス/集英社)(c)池野恋/集英社

「ときめきトゥナイト それから」2巻(りぼんマスコットコミックス/集英社)(c)池野恋/集英社

松田氏コメント:伝説の大ヒット少女漫画「ときめきトゥナイト」の続編新シリーズが爆誕! 「ときめきトゥナイト」は蘭世(ランゼ)・なるみ・愛良(あいら)、ヒロイン3人の恋と戦いを描いた大河ロマンですが、今作の主人公はみんなが大好きな蘭世が帰ってきました!
40代になってもまさかのおばあちゃん(笑)になってもそのかわいさは最強! もちろん、夫の真壁くんがカッコよ過ぎなのは言うまでもなく…。本編は鏡の国ともつながりのある内容で、ファンには懐かしく嬉し過ぎる物語が展開しますが初めて読む方も沼落ち必至。今夏は「ときめきトゥナイト展」の開催も決定! まだまだ再燃したブームは続きます。

ときめきトゥナイト それから(2)

池野恋「ときめきトゥナイト それから(2)」
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豆野文俊(マンガワン編集長)の2022年イチオシマンガ

「日本三國」松木いっか

「日本三國」3巻(裏少年サンデーコミックス/小学館)

「日本三國」3巻(裏少年サンデーコミックス/小学館)

豆野氏コメント:日本の文明が滅びた後が戦国時代という設定でもはや面白い。脇に出てくるキャラ全てが、クセがあってカッコいい。個人的には大和の辺境将軍・龍門光英が一番好き。次が輪島桜虎。敵も味方も全部ヤバい。あえて言えば、この物語の主人公となる三角青輝という男、いまだどれほどの大器となり、どんな活躍するのかが全く見えてこない。これを読むために連載を追うべき作品であるのです。がっ!この寄稿文執筆時点の最新話でついに動きが…いやはや続きが気になって仕方ないのだ。頼む、早く先を読ませてください!!

日本三國(3)

松木いっか「日本三國(3)」
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三浦敏宏(モーニング編集長)の2022年イチオシマンガ

「平和の国の島崎へ」瀬下猛、濱田轟天

「平和の国の島崎へ」1巻(モーニングKC/講談社)

「平和の国の島崎へ」1巻(モーニングKC/講談社)

三浦氏コメント:幼少時国際テロ組織に拉致され戦闘工作員に育てられた島崎が日本へ戻った直後からこの物語は始まる。彼が「平和の国」で生きることとは、必定その真逆の地での人生を突き付けられること。完全なる戦士だった故に、純粋なる島崎が愛しい。まるで原作者と作画者同士が熱く冷たく、そして静かにせめぎ合っているように紡がれるこの作品の世界観に、一話目から惹きつけられて止まない。

平和の国の島崎へ(1)

瀬下猛,濱田轟天「平和の国の島崎へ(1)」
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三田村優(漫画アクション編集長)の2022年イチオシマンガ

「ようきなやつら」岡田索雲

「ようきなやつら」(アクションコミックス/双葉社)

「ようきなやつら」(アクションコミックス/双葉社)

三田村氏コメント:弊誌で「マザリアン」や「メイコの遊び場」といった作品をご執筆されてきた岡田索雲先生の最新作は、現代社会に生きる妖怪たちによって紡がれる物語。“性的同意についてのはなし”のタイトルでSNSでバズった「東京鎌鼬」から始まり、“なかなかわかってもらえない話”である「病猫」などが炙り出すアレやコレに圧倒されない人はいないでしょう。全7篇からなる短編集の中でも最後に収録された表題作では、精神科病院を舞台に各篇に登場する妖怪たちが勢ぞろい。怪異なのはこの物語か、それとも我々が生きるこの世界か……。

ようきなやつら

岡田索雲「ようきなやつら」
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三村泰之(月刊少年マガジン編集長)の2022年イチオシマンガ

「サンダー3」池田祐輝

「サンダー3」1巻(KCデラックス/講談社)

「サンダー3」1巻(KCデラックス/講談社)

三村氏コメント:1話目を読んだ時の衝撃はすさまじかった。ネタバレを避けるため具体的な内容をお伝え出来ないのが残念ですが、こんな漫画表現を少なくとも私は見たことがないし、このようなチャレンジングな表現に正面から挑み続けている作者・池田祐輝氏に驚嘆しています。ぜひ皆さんも「サンダー3」を読んで、その作品世界の圧倒的新しさとワクワクドキドキを体感していただきたいです。

サンダー3(1)

池田祐輝「サンダー3(1)」
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峯健司(電撃大王編集長)の2022年イチオシマンガ

「Fate/stay night【Unlimited Blade Works】」森山大輔、TYPE-MOON

「Fate/stay night【Unlimited Blade Works】」2巻(KADOKAWA)

「Fate/stay night【Unlimited Blade Works】」2巻(KADOKAWA)

峯氏コメント:「Fate/stay night」の遠坂凜ルート、満を持してのコミカライズが登場しました。しかもそれを描くのはかの森山大輔先生。キャラクターが紙面に現れる度にかっこよさと美しさが爆発します。懐かしく感じられた貴方。幸せです。感動したあのシーンやこのシーンが脳裏に蘇ってきて涙腺がゆるみます。初見の貴方。幸せです。この名作を初めて摂取することができる喜びをこの作品で存分に噛みしめてください。そんなわけでこの作品は全人類にお勧めです!

Fate/stay night【Unlimited Blade Works】(2)

森山大輔,TYPE MOON「Fate/stay night【Unlimited Blade Works】(2)」
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宮内彬起(COMIC BRIDGE編集長)の2022年イチオシマンガ

「JK漱石」香日ゆら

「JK漱石」1巻(BRIDGE COMICS/KADOKAWA)

「JK漱石」1巻(BRIDGE COMICS/KADOKAWA)

宮内氏コメント:夏目漱石、JKに転生。それだけでワクワク設定です。
「先生と僕」「漱石とはずがたり」などの漱石漫画を生んだ自他ともに認める漱石マニアの著者の最新作。
ひっそりと平穏に!ストレスなく健康に!と生きていこうと心に誓うJK・朝比奈璃音(に転生した夏目漱石)が送る日常が描かれているのですが、癖が強すぎる中身が顔を出しちゃうので一筋縄ではいかず…。さらに著者ならではの漱石トリビアが随所にちりばめられていて、知識欲も刺激されます。
中身は夏目漱石なのに、だんだん璃音が可愛く見えてくるのも不思議な魅力。

JK漱石(1)

香日ゆら「JK漱石(1)」
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村岡志保(ヤングキング編集長)の2022年イチオシマンガ

「ひとでなしのエチカ」ピエール手塚

「ひとでなしのエチカ」1巻(ヤングキングコミックス/少年画報社)

「ひとでなしのエチカ」1巻(ヤングキングコミックス/少年画報社)

村岡氏コメント:2021年デビュー、会社員をしながら約1年で2022年に初単行本を2冊同時発売! 精力的な活動を続ける、異色かつ注目の40歳新人漫画家ピエール手塚。理知的でウイットに富んだ台詞回し、一気に感情を爆発させるエモーショナルさ、激しい怒りを孕んだ暴力性…その作風は静と動ふたつの魅力が同居する。本作「ひとでなしのエチカ」は読者の倫理感を揺さぶってくるアウトローオムニバスだ。
破滅的な共依存関係を続ける裏社会の女2人…母親として生きることを拒否し自由に生きることを選んだ結婚詐欺師の女…人を殺してはいけない理由を問う闇の「死体処理人」…咎められるような生き方を選んだ「ひとでなし」たちが人生哲学を饒舌に語る! 一度読んだらクセになる中毒性バツグン濃厚バイオレンスドラマ!!

ひとでなしのエチカ(1)

ピエール手塚「ひとでなしのエチカ(1)」
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村上正直(ビッグコミック編集長)の2022年イチオシマンガ

「辛辣なるグルメ」若狭星、香川まさひと

「辛辣なるグルメ」3巻(ビッグコミックス/小学館)

「辛辣なるグルメ」3巻(ビッグコミックス/小学館)

村上氏コメント:出尽くした感がある「グルメ漫画」ですが、今までに全くなかった切り口が斬新で、身にしみるのが本作! ネット、SNSなどで「美味しそうな情報」が垂れ流される…まさに「今」のグルメ漫画です。主人公は覆面ネットグルメ評論家グールマン。ネット評論という新鮮な題材に加えて、主人公たちが発する単に「辛口」なだけでない奇妙なワード達、セリフ回しもこの作品の魅力! さらに登場するメシ達も実にうまそうです。「まずい」から始まる異色グルメ漫画、是非ご一読を。

辛辣なるグルメ(3)

若狭星,香川まさひと「辛辣なるグルメ(3)」
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望月(月刊Gファンタジー編集長)の2022年イチオシマンガ

「ひゃくえむ 新装版」魚豊

「ひゃくえむ 新装版」下巻(KCデラックス/講談社)

「ひゃくえむ 新装版」下巻(KCデラックス/講談社)

望月氏コメント:人生の半ばを過ぎ思うのは、困難に立ち向かうとき、結局は自分でどうにかするしかないということです。自分の皮膚から内側を構成する要素、骨、内臓、血液、筋肉、どうステータスを高め、キープしていくか、老化に抗っていくかを日々考えています。「チ。-地球の運動について-」が大ヒットした、魚豊氏のデビュー作「ひゃくえむ」はそんな自分に力を与えてくれる1冊でした。主人公トガシ、ライバル小宮の関係性や、この作品を象徴する「100mだけ速ければ全部解決する」というシンプルかつ、だからこそ力強い絶対的な哲学。合理的精神に富み、100mという距離にすべてをぶつけ、10秒足らずの時間で白黒はっきりする勝負の世界。この作品に描かれているものすべてが心地よい作品です。下巻に登場するゴーグル、ひげが似合うベテランスプリンター海棠、登場シーンは少ないですが、男子たるものかくありたしと思わせる名バイプレイヤーでした。

ひゃくえむ。新装版(下)

魚豊「ひゃくえむ。新装版(下)」
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イケオジ、ねこ、天狗とキャラ濃いめの主人公たちが勢ぞろい

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ピエール手塚🍙 @oskdgkmgkkk

ピエテヅが、とにかく色んなところで漫画のタイトルを出して貰うのが好きである、と常日頃主張していたことにより、ヤンキンの編集さんが「ひとでなしのエチカ」を挙げてくださった。 https://t.co/z0sw5seIAi

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