「マンガを生み出す現場の人間が、一番面白いマンガを知っている」というコンセプトのもと、各マンガ誌編集長ら総勢103人にイチオシマンガを紹介してもらうこの企画。2022年1月1日から12月31日までに発売・発表されたマンガ作品を対象に、1作品をコメントとともに選んでもらった。第1回に続き、第2回では「次にくるマンガ大賞2022」や「このマンガがすごい!2023」を受賞した作品をはじめとする27作品を紹介する。なおこの企画は1月28日から31日までの4日間にわたって、全4回でお届け。掲載順は各マンガ誌代表者名の五十音順となっている。
金上大佑(別冊マーガレット編集長)の2022年イチオシマンガ
「天使だったらよかった」中河友里
金上氏コメント:「傷つけない笑い」の時代に「毒舌漫才」が輝いたように、「傷つけない恋愛」の時代にも「傷つきまくる恋愛」が支持されるのを証明した、2022年の別マ屈指のベストセラー。
事故に遭った片思い相手を献身的に看病をしていた女子高生・夏瑚(かこ)は、親友と思っていた憂奈(ういな)の裏切りで、恋も友情もすべて失い、校内でも孤立する。そこに、夏瑚の復讐の背中を押すミステリアスな美形男子があらわれて──。
フィクションだからこそ味わいたい恋と友情と裏切りと復讐と救済のジェットコースター。特に十代読者に圧倒的支持を受けた作品です。ぜひ。
川窪慎太郎(週刊少年マガジン編集長)の2022年イチオシマンガ
「ガチアクタ」裏那圭
川窪氏コメント:僕の担当作でもあります。本当は編集長就任後は担当を持たないつもりでした。でも、この唯一無二のバトルアクションがどこまで凄い作品になるのか、その行く末を近くで見たくて担当を続けています。そう思わせてくれる作家であり作品です。
菊池一(ビッグコミックオリジナル編集長)の2022年イチオシマンガ
「ミワさんなりすます」青木U平
菊池氏コメント:敬愛する国民的俳優にして超イケオジ・八海崇の家政婦に「なりすます」ことになった映画マニアのフリーター・久保田ミワ。「推し」と一つ屋根の下で、同じ空気を吸いながら「なりすまし家政婦」として働く、幸せと苦悩の日々…何と言っても、罪悪感を抱えながら、それでも誠実に生きようとするミワさんの、ちょっと天然なキャラが魅力的です!! そんなキャラのせいでしょうか…作品全体を不思議なドキドキ感が包んでもいます。ミステリーのようなコメディーのような…今もっともワクワクさせてくれる漫画です!
北原恵(Palcyチーム長)の2022年イチオシマンガ
「恋ヶ窪くんにはじめてを奪われました」美麻りん
北原氏コメント:恋ヶ窪亜蓮──。仕事もできるうえにコミュ力も高く、全てがキラキラハイスペで陽キャな恋ヶ窪くんのことを「チャラいんでしょ」とちょっと疑っていました。全力で謝ります。ごめんなさい! 恋愛を避けて趣味に生きるこじらせOLの主人公・瑛子が恋ヶ窪くんから恋愛を教えてもらうことになるのですが、どんな時も瑛子に優しく寄り添ってくれる恋ヶ窪くんにキュンキュンとニヤニヤが止まりません!! 瑛子だけでなく読者のはじめてをも奪っていく恋ヶ窪くんに、ぜひ癒やされてください!
君島彩子(月刊コミックZERO-SUM編集長)の2022年イチオシマンガ
「神作家・紫式部のありえない日々」D・キッサン
君島氏コメント:夫を失ったことがきっかけで、悲しみを癒すべく創作活動に打ち込む紫式部。作品は徐々に人々に知れ渡り、彼女は「神作家」と呼ばれ…という、自身の生涯を追った物語。と言うと、かたいお話を想像してしまう人もいそうなのですが、真逆の笑えて楽しいお話です。この作品の魅力はいっぱいあるのですが、とにかく登場人物がいいんですよ。「こんな人、友達にいる!」と、つっこみたくなる人物も多くて、一緒に宮仕えしたいと思えてしまうのです。平安自体独特の雰囲気が味わえて、親近感も感じることのできるすごい作品です。
木村歩未(月刊オフィスユー編集長)の2022年イチオシマンガ
「かろりのつやごと」小田ゆうあ
木村氏コメント:応援したくなる恋がここにあります。「こんな私でも恋をしていいの?」自分に自信が持てなくて、恋から遠ざかっている。主人公・かろりは、まさにそんな女性。天真爛漫な年下男子・青井くんに恋したことで、かろりの世界は変わり始めますが、恋はもちろん楽しいばかりではなくて…。でも、このかろり、本当に素敵な女性なんです。物腰は柔らかで所作が綺麗。何より、慣れない恋に悩みながらもライバルの女の子まで思いやる、そんな優しさに溢れています。もう、かろりの恋から目が離せません。絶対に叶ってほしい大人の初恋物語です。
窪田健一(月刊ガンガンJOKER編集長)の2022年イチオシマンガ
「事情を知らない転校生がグイグイくる。」川村拓
窪田氏コメント:席替えや体育祭、夏休みに友達とばったり会ったこと。小学生の頃はそんな些細な出来事が大事件だったはず。忘れていた当時の感覚をふと思い出させてくれるハートフルストーリーです。クラスメイトにからかわれている少女・西村さんに、グイグイ話しかけてくる転校生の高田くんはどこかの小学校にいそうな男の子で、だけどその素直さはとびきりのファンタジーでもあります。大人になって日々の生活に追われる私たちが見たいものは、案外そんな小さな奇跡なのかもしれません。
小泉浩志(月刊ビッグガンガン編集長)の2022年イチオシマンガ
「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」地主
小泉氏コメント:「次にくるマンガ大賞2022 Webマンガ部門第1位」等、数々の賞で入賞している2022年を代表する作品の一つです。スーパーの店員・山田を密かに推す社畜中年・佐々木が、店裏の喫煙所で出会ったのは田山という女性。二人は夜ごと喫煙所で話すようになるのですが、田山と山田には秘密が…。年離れた男女の喫煙所でのやり取りにはほっこりしたり、キュンとしたり。限定された状況で毎話様々に読者を魅了する地主先生の力量に感嘆! 本作と「ロクレイ-天成市りんね区役所第六感部助霊課活動記-」を弊誌に同時連載中で、多作ぶりにも驚きです。
河野謙一(ガンガンONLINE編集長)の2022年イチオシマンガ
「推しが兄になりました」隈浪さえ
河野氏コメント:親の再婚で、大人気現役高校生モデルの月夜ノアがいきなり兄に。そして一緒に暮らすことに。塩対応で有名なノアなのに、なぜか自分にだけは神対応で…!? 誰もが夢見る永遠の定番シチュエーション・同居コメディを隈浪さえ先生が、ポジティブで素敵な作品に仕上げてくれています。元気が欲しい時に読んでいただきたい作品です。スマッシュヒットの前作「殺し屋だって見守りたい」、原作を手掛けた「幼なじみが過保護すぎてツライ」も要注目です!
河野万里子(ココハナ編集長)の2022年イチオシマンガ
「1日2回」いくえみ綾
河野氏コメント:れみは夫と死別した39歳。ある日、幼馴染の季(とき)が離婚して隣家に戻ってきます。れみの夫であり季の親友でもあった忠の思い出が、ふたりを不思議な絆で結んでいて──。恋のような愛のような情のような慈しみのような、人間同士の関係は簡単には表現できない、曖昧な優しさでできているのだと気づかされます。自分が費やしてきた時間、去ってしまった人の思い出、誰もが小さな寂しさを抱えながら、他者とともに生きている。辛いこともあるけれど、年を重ねるって温かいものだな、としみじみ思える傑作です。
河野万里子(ザ マーガレット編集長)の2022年イチオシマンガ
「パーフェクト・ドミネーション」横山もよ
河野氏コメント:支配する性“Dom”と支配されたい性“Sub”が存在する世界。大学生になって“Sub”と診断された千草は、欲求が満たされず体調が悪くなったところを隣に住む先輩・留司に助けられます。“Dom”である留司を前に発情を抑えられない千草は──? BLの人気設定を少女漫画に持ち込んだ斬新な一作。プレイによって危ういバランスを保つふたりだけど、その根底では純粋に相手を想う気持ちが育っていき、「愛とは何か」という究極のテーマを突き詰めていきます。支配・被支配という関係を超えてふたりは結ばれるのか、「体感するときめき」を是非、楽しんでください。
小山芳弘(マンガクロス編集長)の2022年イチオシマンガ
「隣のお姉さんが好き」藤近小梅
小山氏コメント:「きれいなお姉さんは好きですか?」なんてCMがありましたが、この質問に「YES!」と答えない男子なんていませんよね? この作品の主人公・たーくんこと次原佑もその一人。映画好きな隣のお姉さん・心愛さんが気になって、一緒に映画を見ることに。でも、ミステリアスな心愛さんは、思っていたより面倒くさくて、けどそこがもっと好きになって…。中2の佑と高2の心愛、ふたりの仲は深まるのか…? 年上の女性にあこがれた経験のある人には特におすすめの新感覚ラブコメです!
斉藤佳世子(コミックビーズログ編集長)の2022年イチオシマンガ
「結界師の一輪華」おだやか、クレハ、ボダックス
斉藤氏コメント:優秀な双子の姉と比べられ、虐げられていた「不憫」なヒロインが、本家の若き新当主に見染められ「契約結婚」を期に本当の自分の姿を解放していく──この一見王道なストーリーを新鮮に読ませてくれるのは魅力的で人間味溢れるキャラクター達。
ヒロインの華は生い立ちのせいか「安定したお一人様暮らし」を目指して堅実に生きる女子高生、相手役の朔も普段は凛々しい当主ながら可愛らしいところがあったりとギャップ満載。
Web広告でバズり話題沸騰の当作品、是非一度手に取ってみてください。
「このマンガがすごい!2023」に輝いた作品も
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