水産系男子の活躍描く「ポセイドンの牙」開幕、藤原薫「一字一句を大切に」

「ポセイドンの牙」が、本日6月1日に東京・紀伊國屋ホールで開幕。公演に先がけ、公開ゲネプロと囲み取材が同劇場で行われた。

伊藤靖朗が主宰する地下空港の第16回公演「ポセイドンの牙」は、ナカツ県乙亀（オトガメ）市の水産高校に通う男子高校生・スイサンズたちが海底に眠る“黄金の釣針”を求め、海の神々や深海の戦士たちと戦う冒険譚。スイサンズの活躍を通して、彼らの厚い友情、そして主人公・須永と病を患う母との絆が描かれる。

ゲネプロでは、スイサンズのリーダー格・須永宇宙期（藤原薫）、煩悶するインテリ・道井磨多井（原嶋元久）、孤高の貝殻オタク・葛先賢人（猪野広樹）、エッチなことで頭がいっぱいな生方英（平田雄也）、スイサンズのバカ筆頭・萩原安打尊（佐野勇斗）が男子高校生らしいハイテンションな会話を繰り広げる。どこかとぼけた海神・ポセイドン（滝川英治）と、スイサンズたちのほのぼのとしたやり取りも見どころのひとつ。彼らとの距離が近く感じられる演出も随所に盛り込まれているので、劇場で堪能してみては。また深海の戦士・カルナ（兼崎健太郎）と深海の使者・ドローナ（中村龍介）による自らの欲望にどこまでも忠実な悪役っぷりにも注目。失われた“黄金の釣針”を巡り、スイサンズたち、海の神々、深海の戦士たちによる三つ巴の熾烈な争いが繰り広げられる中、物語の根底にある環境問題が徐々に浮き彫りになっていく。

記者会見には、藤原、原嶋、猪野、平田、佐野、兼崎、中村、滝川、小槙まこ、田代絵麻、野田孝之輔、渡辺和貴、西丸優子が登壇。主演を務める藤原は「セリフの一字一句を大切に、また句読点の位置にも気をつけて演じてほしいという演出があった」と稽古について語り「伊藤さんが想像する作品を作り上げるのは難しかったが、出演者全員で7公演を全力で演じて、イメージを届けられるようにがんばります」と意気込んだ。自らの役どころについて平田は「男子校出身の経験を生かして、女の子をどうにかしてゲットしてやろうという熱を思い出して役に挑みたい」と述べ、原嶋は「自身のキャリアで初めてのキリスト教徒役に挑戦したので、バックグラウンドを理解するのが大変だった」と苦労を明かす。対して佐野は「安打尊は普段の自分に近いので自然体で臨めたと思う」とリラックスした表情で語った。

本作の中心人物となるポセイドンを演じる滝川は「本作では地球温暖化、水質汚染、生命の絶滅などの深いテーマが掲げられているので、キャストが作品の本質についてきちんと理解して、お客さんに届けたい」と作品への思いを語る。また「後輩たちが稽古中からアグレッシブに積極的に汗水流してがんばっている様子を見て、刺激を受けながら切磋琢磨することができた」と稽古を振り返り、滝川のコメントを受けて猪野は「先輩方に熱量とパワーで負けないように、スイサンズ一同張り切っていきます」と述べた。

「わかりやすく悪役のようなポジションなのですが」と兼崎は自身の衣装とメイクを指し、「いい意味で作品をかき乱しながら周りに影響を与えたい」とコメント。同じく悪役を演じる中村は「お客さんの期待を楽々超えられるようにがんばります」と意気込みを見せる。また地下空港からの参加となる野田は「地下空港として紀伊國屋でやれることをうれしく思います。伊藤の脳内を具現化するのにふさわしいキャストとスタッフのみなさんに揃っていただきました。どうか観に来てください！」とアピールしていた。公演は6月5日まで。