RC、陽水、小椋佳らを生んだ名プロデューサーのヒット曲集

音楽プロデューサーの多賀英典にスポットをあてたコンピレーションアルバム「キティ・コネクション20th センチュリー vol.1」が本日3月6日に発売された。

多賀英典は小椋佳、井上陽水、来生たかお、高中正義、RCサクセションなどを輩出した名門レーベル、キティを設立した人物。1970年代初頭は家電系の大手レコード会社が中心だったが、キティはアルファレコードとともに独立系レーベルとして音楽業界に一石を投じた。キティは自社でのリリース以外にもマネージメントや原盤制作業務を手がけ、他社でのリリースも積極的に展開。音楽のみならず映像にも進出し、「限りなく透明に近いブルー」「太陽を盗んだ男」「セーラー服と機関銃」などの実写映画に加え、「うる星やつら」「めぞん一刻」「YAWARA！」「らんま1/2」どのアニメーションも制作した。

また多賀は国内アナログアルバム通算売上記録の1位である井上陽水「氷の世界」と、2位である小椋佳「彷徨」を制作した名プロデューサーであり、最近ではSCANDALを発掘したことでも知られている。

今作には多賀がプロデュースを手がけた、1971年から1985年にかけて発表された16曲を収録。小椋佳「さらば青春」、井上陽水「氷の世界」、カルメン・マキ＆OZ「私は風」、高中正義「BLUE LAGOON」、RCサクセション「雨あがりの夜空に」、ヴァージンVS「ロンリー・ローラー」、松谷祐子「ラムのラブソング」、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」、上田正樹「悲しい色やね」、H2O「想い出がいっぱい」などヒット曲の数々が収録される。

ブックレットには多賀や当時の関係者を取材してまとめられた9000字におよぶライナーノーツと、収録曲の詳細な解説を掲載。銀行に勤務していた小椋佳のミュージシャンらしくない容姿に驚いて契約を断ろうと思ったという秘話や、井上陽水とアレンジャーの星勝、多賀の3人だけで殴り込みのように乗り込んだ「氷の世界」のロンドン録音のエピソード、遅咲きデビューした期待の新人・来生たかおを5年かけて「夢の途中 / セーラー服と機関銃」で開花させた逸話、多賀渾身のプロデュース作「シングル・マン」が売れ行き不振で廃盤になるも、後にバトンを受けた現オフィスオーガスタ代表の森川欣信が「ラプソディ」でブレイクさせたRCサクセションの裏話など、日本のポップスの歴史が垣間見える内容となっている。

V.A.「キティ・コネクション20th センチュリー vol.1」収録曲 / アーティスト名

01. さらば青春 / 小椋佳
02. 氷の世界 / 井上陽水
03. ひらひら / 中山ラビ
04. 私は風 / カルメン・マキ＆&OZ
05. 浅い夢 / 来生たかお
06. 5・4・3・2・1・0 / 小椋佳＆フライング・キティ・バンド
07. この空を飛べたら / 加藤登紀子
08. BLUE LAGOON / 高中正義
09. 雨あがりの夜空に / RCサクセション
10. ロンリー・ローラー / ヴァージンVS
11. ラムのラブソング / 松谷祐子
12. セーラー服と機関銃 / 薬師丸ひろ子
13. 悲しい色やね / 上田正樹
14. だいじょうぶマイ・フレンド / 加藤和彦
15. 想い出がいっぱい / H2O
16. 剣と女王 / マーク・ゴールデンバーグ