8月にリリースされたアルバム「ゼロコンマ、色とりどりの世界」を携えて行われたこの日のライブは、フロアに舞台が設けられ、観客がそれをぐるりと囲むセンターステージ形式で実施。メンバーは向かい合わせでパフォーマンスするという、マスドレにとって初の試みが行われた。
会場が暗転すると、真っ白なスクリーンに次々とMASS OF THE FERMENTING DREGSの楽曲タイトルが映し出され、フロアの興奮を高めていく。するとふいにフロア脇の扉が開き、宮本菜津子(Vo,B)、石本知恵美(G)、吉野功(Dr)が、オーディエンスをかき分けるように入場。オーディエンスは「ウォー!」という歓声をあげながら3人を出迎えた。
1曲目として披露されたのは「ゼロコンマ、色とりどりの世界」。宮本の「行くで! せーの!」という威勢の良い掛け声とともに爆音がスピーカーから放たれ、フロアからは盛大なoiコールが沸き起こった。序盤は石本の鳴らす攻撃的なギターリフが響いた「かくいうもの」、真っ赤なライトがステージを染め、ヒステリックなボーカルが耳を刺激した「She is inside, He is outside」などエネルギッシュなナンバーが続けられ、フロアの熱気は早くも最初のピークを迎えた。
「今日はみんなホンマに来てくれてありがとう。楽屋で客入りをモニターで観てたんだけど、異様な光景で……」と笑いながらフロアを見渡す宮本。フロアから「さぁ来い!」という声援が上がると、彼女は「よっしゃ来い!」と絶叫。間髪入れずに「このスピードの先へ」を歌い始めた。間奏で吉野の破壊的なドラミングが響いた「青い、濃い、橙色の日」、体を振り絞るような宮本の絶唱がフロアを震わせた「終わりのはじまり」、シンプルなフレーズの数々が気持ちいい「ONEDAY」に続いては、映像演出を取り入れたパフォーマンスに。「サイダーと君」では真っ赤な円の中に宮本のシルエットが浮かび上がり、曲のスリルを倍増させる。「ズレる」では光がぶつかり合う映像が、楽曲のスピード感と攻撃的な一面を演出した。
「今日はここで自分達の曲じゃない曲をやります。私がバンドを始めるきっかけになった人の曲です」という宮本の言葉に続いたのはhideの「FLAME」。hideへのリスペクトを込め、楽曲を愛おしむように歌う宮本。その思いに呼応するように、吉野はダイナミックなドラムを響かせ、石本は丁寧にギターを奏でる。オーディエンスはステージを見つめ、マスドレ流「FLAME」にじっと聴き入った。歌い終えると宮本は「私、中学のときにhideさんの曲に出会って、そんでバンドを始めて。自分達のファンで15歳の子とかいると、そのときの自分を見とる気がするんですよね」と感慨深そうに語った後、「でもわりとマスドレは30代にも好評なんですよ」と茶目っ気たっぷりのトークで笑わせた。
中盤以降はポップなナンバーを次々と披露。宮本のチャーミングな声とブレイク後の爆音のギャップが印象的な「まで。」、天井からハートマークの紙が舞い落ち、宮本と石本の息の合ったハーモニーが響いた「skabetty」など、マスドレの音楽性の奥深さが感じられる時間となった。しかし、ライブの終盤では轟音&激走チューンを連射。3人の放つ音塊がデッドヒートを繰り広げた「RAT」や、切り裂くようなギターが印象的な「ひきずるビート」でフロアの熱狂は加速した。
「今日はどうもありがとう!」という宮本の挨拶の後は、ラストナンバーの「ベアーズ」へ。3人は会場に自分達の音を刻みつけるように、全身全霊でプレイを繰り広げる。オーディエンスは、その熱演に応えるように拳を突き上げ、ライブのクライマックスを盛り上げた。最後はメンバーがステージに一列に並び、観客に感謝を伝える。そして入場時と同じようにフロアの間を縫って、笑顔を浮かべ楽屋へと消えた。
「視界をクリアに」セットリスト
01.ゼロコンマ、色とりどりの世界
02.かくいうもの
03.She is inside, He is outside
04.I F A SURFER
05.このスピードの先へ
06.青い、濃い、橙色の日
07.終わりのはじまり
08.ONEDAY
09.サイダーと君
10.ズレる
11.FLAME
12.エンドロール
13.delusionalism
14.まで。
15.ワールドイズユアーズ
16.skabetty
17.さんざめく
18.RAT
19.ひきずるビート
20.ハイライト
21.ベアーズ
リンク
- MASS OF THE FERMENTING DREGS
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音楽ナタリー @natalie_mu
hideカバーも披露!マスドレ初SHIBUYA-AXで充実ライブ http://natalie.mu/music/news/37996