tricot、歌舞伎テイストと5台のドラムが彩った「KABUKU TOUR」ファイナル

tricotが6月18日に東京・赤坂BLITZで全国ツアー「KABUKU TOUR 2016」の最終公演を開催した。

このツアーはtricotが4月に発売した新作CD「KABUKU EP」のリリースツアーとして行われたもの。本作で彼女たちはオーディションで選ばれた4人のドラマーと曲作りおよびレコーディングを実施している。

歌舞伎でおなじみの定式幕がかかったステージに黒子が登場し、拍子木を打ち鳴らしてライブの開会を知らせた。黒子が定式幕を開けると、松羽目の前に佇むアジアンテイストな衣装のtricotが姿を見せる。中嶋イッキュウ（Vo, G）の「イー、アール、サン、スー！」という叫びから、バンドはサポートドラマーの山口美代子（DETROITSEVEN）と共に「ポークジンジャー」を投下し、フロアに激しいモッシュを起こした。

3曲を終えたのち、中嶋は新作CD「KABUKU EP」のリリースを報告し「tricotはリリースを重ねるたび、ワンマンライブの尺が伸びてます。皆さん覚悟はいいですか？ 私が先死ぬか、そっちが先死ぬかだと思ってるんで、私が先死んだらみんなであとを歌ってください！ お願いします！」と煽って歓声を浴びる。「神戸ナンバー」ではメンバーが歌詞を「赤坂ナンバー」と替え歌したり、「おちゃんせんすぅす」ではキダモティフォ（G, Cho）がステージ前方をカニ歩きしながらギタープレイを繰り出したりと、バンドはサービス精神旺盛なパフォーマンスでファンを喜ばせた。

ライブ中盤では山口が舞台袖にはける代わりに数人の黒子がドラムセットを運び入れ、ステージにはドラムが2台並ぶ。そのうち1人の黒子がドラムベンチに腰をかけ、勢いよく頭巾をとると謎の男性の姿が。彼はメンバーから「いや、頭巾とっても誰ー!?」と突っ込まれ、場内には笑いが起こった。中嶋から「じゃあ好きなの叩いてみてくださいよ」と言われた彼が「KABUKU EP」収録曲「あーあ」のリムショットを叩き始めると、メンバーも演奏に参加。中嶋は彼が同曲の制作およびレコーディングに参加したドラマー・Akiyuki Kitagawaであることを告げ「ドラム叩いたら誰だかわかりましたね！」と笑顔を見せた。

このあとも「プラスチック」ではYUUMI（FLiP）、「青い癖」ではYusuke Yoshida、「節約家」ではYuma Abeと「KABUKU EP」に参加したドラマーがそれぞれtricotと共に楽曲を披露していく。またそのたびに新たなドラムセットが設置され、最終的に5台のドラムがステージに並んだ。その後再び山口美代子との4人体制になったtricotは、オーディエンスのシンガロングが広がった「爆裂パニエさん」、ヒロミ・ヒロヒロ（B, Cho）が観客の上に立って煽った「99.974℃」といったナンバーを全力で畳み掛けていく。ラストナンバー「MATSURI」でメンバーはさらに演奏に熱を込め、ステージに倒れ込むようにして楽器をかき鳴らしていた。

tricotはアンコールを山口と共に「庭」で始めた。演奏中にはAkiyuki Kitagawa、YUUMI、Yusuke Yoshida、Yuma Abeが再度黒子姿でステージに登場。4人はそれぞれのドラムの位置に着いたところで頭巾をはずし、サプライズで施したという歌舞伎メイクでtricotを驚かせる。5人はこの曲でドラムソロを披露し、オーディエンスを大いに盛り上げた。続く「Nichijo_Seikatsu」は中嶋によるギター弾き語りでスタート。途中からキダ、ヒロミ、そしてドラマー5人が演奏に加わり、壮大なアンサンブルがファンを魅了した。

またダブルアンコールにも応えたtricotは山口とステージに登場。中嶋の「今日はいろんなことが起こりましたが、帰ったときにこの曲を思い出してほしい。ライブの余韻をできるだけ長くするために演奏します」という言葉から、4人は「Break」を披露。客席から大合唱が起こる中ツアーは大団円を迎えた。