西川による同名小説をもとにした本作は、本木雅弘主演のヒューマンドラマ。妻の事故死を他人事のようにしか受け取れない作家の衣笠幸夫が、同じ事故で母を失った兄妹とその父親との交流を通して変化していくさまを描く。
同映画祭には、西川が登壇。上映前の挨拶では、「前作『夢売るふたり』以来、4年ぶりのトロント映画祭です」と挨拶する。そして上映後の質疑応答では子役のキャスティングに関する質問に対して、「主に演技経験のない子供たちを約300人集めてオーディションし、選んだ2名です。(兄・真平役の)藤田健心は実際にも下に兄弟のいる長男で、(妹・灯役の)白鳥玉季は映像に映っていた通り、天真爛漫、自由奔放。春、夏、冬と撮影しましたが、春はまっすぐ歩くことすらできない、セットを壊す、助監督に噛み付く、と現場は崩壊していました(笑)」と答える。
また、主人公をなぜ小説家という設定にしたのか聞かれると、西川は「この物語を思い付いたのは、2011年の暮れ。日本では大きな震災と津波の被害、原発事故などがあった年です。ああいうことが起きたときにいかに日常が一瞬で壊れるか、手からこぼれ落ちるかを、ショックを受けて実感したと思います。そんなとき、身近にいる大切な存在と、いい関係のまま最後のお別れをした人たちばかりではなかっただろうと思い、この物語を発案しました」ときっかけを明かす。そして「そんな別れを経験した人の複雑な後悔を表現するには、“作家”という設定であれば、映画の中でも言葉豊かに表現できると思ったのです」と説明した。
「永い言い訳」は10月14日より全国ロードショー。
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つじもん @tsujim0n
これは面白そうだ......!!
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