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メディア芸術祭で大賞の石塚真一がスピーチ、犬木加奈子も審査の決め手語る

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石塚真一

石塚真一

第20回文化庁メディア芸術祭の記者発表会が本日3月16日に都内にて開催され、マンガ部門の大賞に選ばれた「BLUE GIANT」の石塚真一がスピーチを行った。

壇上に上がった石塚は開口一番、「賞をもらうのは大好きです」とにっこり。「ほかの作家の人たちが、どうやってマンガを作っているのかわからないんですが」と前置きしつつ、「ジャズが好きなのは僕なんですが、話に関しては担当編集に深く助けてもらっています」と感謝を述べる。また「大きな賞などでマンガ家たちをバックアップしていただけるのは本当に心強いことであります。僕自身も賞をいただけて、背中を押されました。今後とも精進していきたい」と意欲的に語った。

第20回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門審査委員・犬木加奈子は「大賞を選ぶ際は何かひとつ、決め手が必要なんです。今年の決め手になったのは……マンガって、音が出ないんだよね。出ないものをどうやって表現するのか。(『BLUE GIANT』は)スピード線をたくさん駆使して、ジャズ喫茶に入った瞬間に溢れ出てくるような熱気と音が伝わってきます」と、「BLUE GIANT」が大賞に輝いた決め手を明かした。

2013年から2016年までビッグコミック(小学館)にて連載された「BLUE GIANT」は、ジャズに魅せられた宮本大が一流のジャズプレイヤーを目指す青春譚。贈賞理由としてマンガ部門の審査委員・古永真一は「荒削りながら得体の知れない迫力で周囲を圧倒する主人公のように、本作はJAZZを知る人も知らない人もぐいぐい惹きつけて大賞に輝いた。だが作品自体はけっして荒削りではなく、外連味のない魅力が用意周到に発揮されている。音が出ないというマンガの性質を逆手にとった即興演奏の描写がその一例である。爆発した情熱が音楽として輝く奇跡のような瞬間、メンバー同士の丁々発止のやりとり、その現場に立ち会った聴衆との交感は、この作品の白眉である」とコメントを寄せている。

マンガ部門のほか、アート部門、エンターテインメント部門、アニメーション部門の4部門で優れた芸術作品が選出される文化庁メディア芸術祭は、メディア芸術の振興を目的とした祭典。受賞作品展は9月にNTTインターコミュニケーションセンター、東京オペラシティ アートギャラリーの2カ所の会場で開催される。

石塚真一の受賞コメント

栄誉ある賞をいただけたことを心から嬉しく思います。
この度の賞をいただけたのは、作り手側と読み手のすべての想いがあってのことだと強く感じております。
『BLUE GIANT』は、描く前の段階から今日まで一話一話多くの人々に支えられて成り立っている作品です。
担当編集者を筆頭に、アドバイスをくれるミュージシャン、作画スタッフ、営業販売のスタッフ、POPメッセージや特設コーナーを忙しい時間を割いて設けてくださる書店員の方々、そして、『BLUE GIANT』を「おもしろい!」と手にとって読んでくれる読者の皆様、本当にありがとうございます。
『BLUE GIANT』の物語はこれからも続きます。というよりも、物語はこれからが勝負だと思います。素晴らしい賞をいただけたことを励みにこれからも頑張ります。
この度は本当にありがとうございました。

贈賞理由

荒削りながら得体の知れない迫力で周囲を圧倒する主人公のように、本作はJAZZを知る人も知らない人もぐいぐい惹きつけて大賞に輝いた。だが作品自体はけっして荒削りではなく、外連味のない魅力が用意周到に発揮されている。音が出ないというマンガの性質を逆手にとった即興演奏の描写がその一例である。爆発した情熱が音楽として輝く奇跡のような瞬間、メンバー同士の丁々発止のやりとり、その現場に立ち会った聴衆との交感は、この作品の白眉である。これが歌詞のある音楽や、あるいは漫才や落語のような言葉を操る表現をテーマにした作品だったら、ここまでテンポよく描いて読者を感動させるのは難しいのではないか。また、己の才能と現実の壁、人との出会いや相克という普遍的かつリアルなテーマも、魅力的なキャラクターを一人ひとり丁寧に描くことで、読者の胸を打つ作品へと結実させており、本年度の大賞にふさわしい作品であると判断した。
古永真一

第20回文化庁メディア芸術祭

マンガ部門
大賞

「BLUE GIANT」石塚真一

優秀賞

「総務部総務課山口六平太」高井研一郎/林律雄
「未生 ミセン」ユン・テホ/古川綾子/金承福
「有害都市」筒井哲也
「Sunny」松本大洋

新人賞

「応天の門」灰原薬
「月に吠えらんねえ」清家雪子
「ヤスミーン」畑優以

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