「華Doll*」は、人体に特殊な花の種を埋め込み、人の潜在能力を引き出して“完璧”に近いアイドルを人工的に生み出す“華人形プロジェクト”に身を投じる少年たちを描く物語。2019年のドラマ&楽曲CDのリリースを皮切りに、マンガや舞台と幅広く展開されてきた。そんな「華Doll*」のアニメ「華Doll* -Reinterpretation of Flowering-」が、4月9日より放送される。
コミックナタリーでは、アニメ「華Doll* -Reinterpretation of Flowering-」の放送を記念した特集を実施。3月23日に「AnimeJapan 2025」のTOKYO MXブースステージで開催され、結城眞紘役の山下誠一郎、チセ役の駒田航、清瀬陽汰役の増田俊樹が登壇したイベントの様子をレポートする。また3人にイベントの感想や、アニメに向けての思いを語ってもらったインタビューもお届けするので、最後までお見逃しなく。
取材・文 / きどみ撮影 / 小川遼
「華Doll* -Reinterpretation of Flowering-」あらすじ
“華人形プロジェクト”。それは人体に特殊な花の種を埋め込むことで、人の潜在能力を最大限まで引き出し、高い才能を持った“完璧”に近いアイドルを人工的に生み出すプロジェクトである。それぞれの理由を胸にオーディションに参加し、合格したメンバーは結城眞紘、影河凌駕、灯堂理人、チセこと祥來千勢、如月薫、清瀬陽汰の6人。Anthosというボーイズグループが結成され、彼らはデビューを目指す“プレデビュー”枠から活動を始めるが……。人生と引き換えに種を埋め込み、何を代償にしようと“夢”を叶えようとする少年たちが、ぶつかり、もがきながら成長するさまが描かれる。
ステージイベントレポート
整理券が約10分で配布終了、Antholicが集結したステージ
ステージの整理券はわずか10分足らずで配布終了。イベント開始の1時間前から大勢が待機し、ファンの熱量の高さを感じたアニメ「華Doll* -Reinterpretation of Flowering-」のステージイベントが、去る3月23日に「AnimeJapan 2025」内で開催された。
たくさんの拍手に包まれる中で山下、駒田、増田は、「華Doll*」が最初にリリースしたCDに収録された楽曲「BIRTH」をBGMに、颯爽とステージに登場。ステージは一気に華やかな雰囲気になる。山下は開口一番、「推しのぬい(ぬいぐるみ)やグッズをありがとうございます! かわいらしい」と、3人の登場を今か今かと待ち望んでいたファンに向けて感謝の気持ちを伝えた。全員の挨拶が終わり、山下が観客に向けて「Antholicの人!」とファンネームを呼びかけると、ブースからは多くの手が上がった。今回初めてイベントに参加したという観客に対しても、「布教しがいがある」と笑顔で迎え入れる。
未熟で荒削りだった存在たちが磨かれてくドラマ
2019年から音楽とドラマCDを中心に活動の幅を広げてきた「華Doll*」は、今年で6周年を迎える。山下は「6年ともなればたくさんの曲があります。アニメではドラマCDで展開したエピソードが、序盤から改めて描かれるので、ここからハマるにはちょうどいいタイミングです! 今回、そういった話ができたら」とステージに対する意気込みを語った。「話すよりも動画で観たほうが『華Doll*』について一発でわかると思うので、まずはこちらの映像をご覧ください」という山下の振りとともに、アニメのティザー映像が流れる。
アイドルが題材のアニメでありながら、ミステリアスな雰囲気で不穏な会話が飛び交うティザー映像。謎が深まる内容に、映像が終わるとすかさず増田が「観てもわかんなかったんですけど! 観れば一発でわかるって言ったのに!」とツッコミを入れ観客の笑いを誘った。「普通のアイドル作品だと思って臨んだ初見の人は、なんだか様子がおかしいぞって感じるんじゃないかな」と続ける。ティザー映像で登場する理人の「種のこと忘れたワケじゃないよな」といった重々しいセリフに対して、駒田は「アイドル作品を描くにしては背景が暗いんですよ」と一般的なアイドル作品とは一味違う作品の特徴を伝えた。以前より作品を応援していたファンは「そうそう」と言いたげな様子で何度も深く頷く。
アニメの注目ポイントを聞かれた駒田は「ドラマCDとして長いことお送りしているので、全部を今から振り返るのはヘビーですよね」と前置きしつつ、「アニメでは、冒頭でそれぞれのキャラクターがどういう性格なのかがわかりやすく描かれています。今推しがいる方はもちろん、初めて観た方にも『このキャラいいな』と思ってもらえるシーンが盛り込まれているんじゃないかな」と続ける。さらに、「『ティザー映像を一度観ただけではよくわからなかった』と感じる方もいると思いますが、それが売りです! すごい深いストーリーなんです」と熱弁。「全部観ていただいたうえで『深いね』と感じてもらえれば。まずは『華Doll*』というコンテンツをこのアニメで知ってほしいです」とプレゼンした。
山下は、アイドルとして表舞台でキラキラ輝く姿以上に、キャラクターたちのドラマが見どころだと話す。「アイドルになりたい理由や、出自や経てきた環境がキャラクターによって違います。そういう人たちが出会って摩擦を起こしながら成長していく。今流行りのオーディション番組に近いような、未熟で荒削りだった存在たちがどう磨かれているのかがドラマとして見どころです。メンバーの1人は出会った当初はギスギスしていて、『この子大丈夫かな』って思うほど不和な様子が描かれているのも、見応えがあります」と語った。
メンバー同士で絡み合う複雑な人間模様
個性豊かなキャラクターたちについて深掘りするパートでは、3人が自身の演じるキャラクターの特徴や見どころを紹介していく。
笑顔担当かつAnthosのセンターを務める眞紘について、山下は「彼にとってセンターがどういう意味を持つのかが見どころです」と話す。「6人の中ではみんなの関係を取り持つような優しさがある男で、眞紘目線で描かれる物語も多いです。センターとして大役ではありますが、キーパーソンでもあるので、注目していただきたいなと思いますね」と話した。ほかにも、「服装のセンスがなくダメ出しを受けたり、料理が得意だったり、それぞれの趣味がドラマに活かされているので、アニメでも要チェックです」と続けた。
ビジュアル担当のチセについて、駒田は「ファッションなど自分がキラキラしている姿を全面に出して、皆さんに楽しんでもらうのを生き甲斐にしているキャラクターです」と紹介。今回登壇した3人が演じる眞紘、チセ、陽汰は「Anthos」の中でチームを明るくするムードメーカー的な存在だが、「根がいい」眞紘、陽汰と違ってチセは「すごくいい子ですが、ちょっと闇が深め」だと言う。「パンドラの箱が開いちゃうと、明るさとかけ離れちゃうところがあります。何が彼のバランスを崩してしまうのか、どういったものがトラウマのトリガーになり得るのか。ぜひストーリーを追う中で見届けていただきたいと思います」と続けた。さらに「モデルさんもやっているチセが、ビジュアルに対して固執する部分も楽しんで観てください」とチセの“闇”を覗かせる。
ムード担当の陽汰について、増田は「この作品は考察とか伏線を楽しむ部分もあるので、ストーリーに関してはあまり紐解かず、アイドル面で言うと」と前置きしつつ、「ダンスに自信があり、ダンスシーンは自分にとって戦う場所だと思っている、元気印の明るいムード担当です」と続ける。そして「物語が動く瞬間に、視聴者に近い目線と感情で周囲を見ているのではないかと思うので、ぜひとも6人の中で清瀬陽汰を1つでも愛してもらえればと思います」とアピール。「(清瀬陽汰に)清き一票を!」と呼びかけ、さらに陽汰の苗字になぞらえて「清瀬一票を」と高らかに謳い、一同が笑いながらかけ合う和やかな場面も見られた。
今回のステージにはキャストが登壇していない3人のキャラクターの特徴も紹介。土岐隼一が演じる、マイナスイオン担当の如月薫については「個性的な面を持っているキャラクター」と表現。チセと同じく美しいビジュアルを持つ薫を、駒田は「引き込まれちゃう要素がありますよね」とスクリーンに映し出された薫をまじまじと見つめる。
濱野大輝が演じる筋肉担当・影河凌駕については、山下が「パワーはあるけど……」と紹介し始めると、すかさず増田が“筋肉”と“パワー”という言葉に反応して「パワー!」「ヤー!」と叫び、ブースが笑いに包まれた。Anthosの中では歳上の凌駕は「貫禄があり、秘めているものがある」と山下は話す。「眞紘とは近しいもの、ペア的な部分もあって、そこも注目してほしいと思います」と続けた。
伊東健人が演じる灯堂理人が「歌声担当」と紹介されると、駒田は「アイドルにおける歌声担当のプレッシャーよね」と同情する。「(チセとは)めちゃくちゃ深い関係を持つキャラクターになるので……」と理人とチセの関係について真剣に紹介している途中で、理人が舌を出している表情をスライドで発見。「舌ペロしてない!? あんたそんな表情もできるの!?」とこの日一番の興奮ぶりを見せた。
Anthosの6人は、デビューを目指す段階の“プレデビュークラス”であるため、寮で2人ずつ相部屋で暮らしている。山下は「誰と誰が相部屋なのかもポイント」と言いつつ、相部屋の関係以外にも「凌駕と眞紘のように『この2人ってちょっと特別』と感じる組み合わせがあるので、絡み合う複雑な人間模様にも注目です」と話した。そしてAnthosが所属する天霧プロダクションについても言及。山下が「ティザー映像の冒頭に登場し、怪しいセリフを吐いていたイケおじの存在や、PLANTsと呼ばれる最新技術を搭載したマスコットアンドロイドの登場など、現実的な物語とファンタジーが融合している様子も見どころです。かわいい要素や救われる要素がたくさんありますので、あなたの推しを見つけていただけたらうれしいです」と紹介パートを締めくくると、観客からは拍手が上がった。
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歌詞や歌割り、MVでも考察のしがいがある楽曲