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東村アキコが「作中にビタイチ嘘はない」と宣言、マンガ大賞2015授賞式

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プレゼンターを務めた大場渉氏(左)と東村アキコ。

プレゼンターを務めた大場渉氏(左)と東村アキコ。

マンガ大賞2015が本日3月24日に発表され、東村アキコ「かくかくしかじか」が大賞を獲得。その授賞式が同じく本日、ニッポン放送イマジンスタジオにて行われた。

授賞式ではまず、昨年大賞を獲得した森薫「乙嫁語り」の担当編集者・大場渉氏が壇上に。司会を務める吉田尚記アナウンサーから、大賞受賞後の周囲の反応について問われ「賞を獲ったことによって外務省から仕事の依頼がありました。外務省に受賞についても祝ってもらって」とマンガ大賞の注目度の高さについてコメントした。次いで今年度のプレゼンターも務めた大場氏が「マンガ大賞2015受賞作品は、東村アキコ先生の『かくかくしかじか』です。おめでとうございます」と発表すると、東村が拍手とともに迎え入れられる。

作品をモチーフにした特製のプライズを受け取った東村は「毎年ノミネート作が出ると、マンガ家仲間とそわそわしながら見ていた賞なので、まさか自分が大賞をもらえる日がくるとは思っていませんでした。感激しています」と受賞の喜びを述べる。またこれまでにもマンガ大賞の候補作にノミネートされてきたことにも触れ、「1番を取れるとは思っていませんでした。集英社の偉い人とお疲れ様ということでステーキを食べに行く予定だったんです」と、本人にとっても驚きの受賞であったことを明かした。

作品誕生の経緯を問われた東村は「最初はパーティで憧れの先生に会えたときのことを描くような、女版『まんが道』にしようと思っていたんです。でもどうしてマンガ家になったのか考えたとき、あの教室での数年間が自分のベースになっているのを避けられなくて」「(その部分を描写することは)自分の傷を抉るような行為だったんですけど、やるしかないと腹をくくって描きはじめました」と告白する。

続けて、連載前までは田舎での生活を思い出さないように暮らしていたと前置きし、「東京では田舎でのことを捨てないとうまくやっていけない気がしていたんです。その捨ててきた部分をもう一度自分で見るというのは、恥ずかしいものをさらけ出すような行為でもあったんですけど」と当時の心情を打ち明けた。劇中に登場するエピソードについては「(恥ずかしい部分を見せたくないなら)嘘を描けばよかったんですけど、そんなことをしたら日高先生にぶっ殺されるという恐怖心が残っていて。なのでこの作品に描いてきたことにビタイチ嘘はないんです」と宣言した。

吉田アナウンサーから「いま日高先生にもし何かおっしゃるとしたら」と質問された東村は「やっぱり……先生のような人はいないっていう、それだけです」と一言。「先生に対して感謝の言葉はあるけど、それは担当さんやアシスタントさん、これまで支えてくれたみんなに対して持っているものなんです。でも(私にとって)先生みたいな人はこれからも現れないだろうし、今後も『何なんだ先生って』ということの答えを見つけながら生きていくんだと思います」と恩師への思いを吐露した。

また「かくかくしかじか」の各話のラストにモノローグが挿入されることについて「ぶっつけ本番で描いているマンガなので、原稿に取り掛かってから思い出したエピソードを綴っていくんです。ただ(原稿を進めるごとに)先生への反省の思いが出てきてしまって、懺悔タイムが始まる」「その懺悔の気持ちが手紙のようなモノローグとなって自然発生するっていうシステムなんです」と熱弁した。

その後話題は映像化の打診の有無にまで及ぶ。東村は「現状ではまったく決まっていません」とコメントしつつ「ただ、もしアニメ化してもらえるなら、金沢美術工芸大学の先輩でもある細田守監督にお願いしたいと夢見てます」とラブコールを送った。

「かくかくしかじか」は美大への進学を希望する女子高生の林明子が、絵画教室のスパルタな先生・日高健三らと出会い、進学や就職を経てマンガ家として歩みだす道程を描く東村の自伝的作品。単行本最終5巻は明日3月25日に発売される。なお東村は、本日24時よりニッポン放送にて放送されるラジオ「ミュ~コミ+プラス」に出演する予定だ。

マンガ大賞2015最終結果

大賞 東村アキコ「かくかくしかじか」(80pt)
2位 田島列島「子供はわかってあげない」(66pt)
3位 大今良時「聲の形」(65pt)
4位 三部けい「僕だけがいない街」(57pt)
5位 石塚真一「BLUE GIANT」(49pt)
6位 竹内友「ボールルームへようこそ」(40pt)
7位 坂本眞一「イノサン」(38pt)
8位 堀越耕平「僕のヒーローアカデミア」(36pt)
9位 深見真ストーリー協力によるさだやす「王様達のヴァイキング」(35pt)
10位 松浦だるま「累」(30pt)
11位 椿いづみ「月刊少女野崎くん」(28pt)
12位 ヤマザキコレ「魔法使いの嫁」(20pt)
13位 市川春子「宝石の国」(18pt)
14位 高野文子「ドミトリーともきんす」(8pt)

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