トゲナシトゲアリが夢の日本武道館公演「アニメを超えちゃったね」

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テレビアニメ「ガールズバンドクライ」と連動するリアルバンド・トゲナシトゲアリ初となる東京・日本武道館公演「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」が昨日9月23日に開催された。

「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」の様子。(撮影:冨田味我)

「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」の様子。(撮影:冨田味我)

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夢の舞台・日本武道館

「ガールズバンドクライ」は東映アニメーション、agehasprings、ユニバーサルミュージックによって共同制作された昨年4~6月放送のテレビアニメ。悩みを抱える少女たちがロックバンド・トゲナシトゲアリを結成し、さまざまな壁にぶつかりながらも力強く前に進んでいく姿が描かれた。放送終了後もその人気は根強く、10月3日にはアニメの映像を再編集した総集編の前編「劇場版総集編 ガールズバンドクライ 【前編】 青春狂走曲」、11月14日には後編「劇場版総集編 ガールズバンドクライ 【後編】 なぁ、未来。」が公開される。

理名(Vo)(撮影:キセキミチコ)

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トゲナシトゲアリのメンバー兼メイン声優は2021年6月から約1年半にわたって行われたオーディション「Girl's Rock Audition」で選出された理名(Vo)、夕莉(G)、美怜(Dr)、凪都(Key)、朱李(B)。彼女たちはテレビアニメ放送の約1年前に始動し、楽曲のリリースや国内外でのライブ活動を重ねてきた。結成から2年7カ月、トゲナシトゲアリは「ガルクラ」の物語でも象徴的に描かれた夢の舞台・日本武道館に立った。

夕莉(G)(撮影:冨田味我)

夕莉(G)(撮影:冨田味我) [拡大]

皆さんのおかげでこんなことになっちゃってます!

ステージ上部のスクリーンでカウントダウンが始まると、興奮に満ちた観衆の声が武道館にこだまする。舞台に登場した理名(Vo)、夕莉(G)、朱李(B)は休養中の美怜(Dr)と凪都(Key)の代わりにサポートメンバーを迎え、ライブの幕開けにふさわしい「ガルクラ」のオープニング主題歌「雑踏、僕らの街」でライブの火蓋を切った。メンバーが立つのは、アニメのオープニングに登場する八角形の舞台を再現したメインステージ。彼女たちは360°観客に囲まれながら、「碧いif」で憂いのあるアンサンブルを紡ぎ、心の叫びを吐き出すような荒々しいロックナンバー「闇に溶けてく」「空白とカタルシス」を連投して会場の熱量を一気に引き上げた。

朱李(B)(撮影:冨田味我)

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夢のステージに最初こそ緊張気味だったが、楽曲を重ねるにつれ心からライブを楽しむように笑顔をこぼすトゲトゲ。理名は「ついに武道館ですか。皆さんのおかげでこんなことになっちゃってます! まさか自分たちが武道館のステージに立てるなんて1ミリも思ってなかったです」と両手を広げながらぐるりと会場を見回し、朱李は「このプロジェクトに参加すると決めてから人生が大きく変わりました」と感慨深げな様子を見せる。夕莉が「音楽を続けていく中で武道館というステージは大きな意味を持つんだなって思いますね。行くぞ武道館!」と声を張り上げると、理名も「ちょっとずるいんですけど、便乗してやっちゃおうかな。武道館!」、朱李も「私もやりたいんですけど、いいですか? 武道館!」とオーディエンスを煽った。

炎が噴き出す「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」のステージ。(撮影:冨田味我)

炎が噴き出す「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」のステージ。(撮影:冨田味我) [拡大]

アカペラでも魅了したバラードソング「蝶に結いた赤い糸」のあと、駆け抜けるようなビートの「ダレモ」や「無知のち私」でライブの勢いはぐんぐん加速。「サヨナラサヨナラサヨナラ」では噴き出す炎を前にトゲトゲが熱演を繰り広げ、夕莉と朱李はステージの最前に進み出てクールにプレイした。アニメのエンディング主題歌「誰にもなれない私だから」ではここまでボーカルに徹してきた理名がキーボードの弾き語りを披露。繊細な感情の揺らぎを表現したパフォーマンスを観客は固唾をのんで見守った。

キーボードの弾き語りに挑戦する理名(Vo)。(撮影:冨田味我)

キーボードの弾き語りに挑戦する理名(Vo)。(撮影:冨田味我) [拡大]

こたつに入った夕莉と朱李

20分のインターミッションを挟んで、ライブは後半へ突入。ステージには「ガルクラ」で夕莉が演じる桃香の部屋が再現され、こたつに入った夕莉と朱李が「雑踏、僕らの街」のインストバージョン「雑踏、僕らの街(彷徨う)」をリラックスしたモードで奏でる。さらに、「ガルクラ」のサウンドトラックから「宣戦布告」も演奏した2人は「視界の隅 朽ちる音」へとシームレスにつなげ、豪快なサウンドに理名がパワフルな歌声を重ねた。仁菜(CV:理名)や桃香(CV:夕莉)の人生を大きく変えるきっかけとなった、ファンにとっても思い入れの強いナンバー「空の箱」はアニメのストーリーに沿って夕莉の弾き語りでスタート。川崎駅前での路上ライブシーンを再現するアニメーションがバックスクリーンに流れる中、より情感のこもったパフォーマンスが展開され、オーディエンスの視線は釘付けとなった。

こたつに入る朱李(左)と夕莉(右)。(撮影:冨田味我)

こたつに入る朱李(左)と夕莉(右)。(撮影:冨田味我) [拡大]

「ガルクラ」には「目指せ武道館!」という仁菜のセリフがあったり、メンバーで武道館を見に行くシーンがあったり、アニメの中でも武道館は特別な場所として描かれている。物語ではまだ武道館ライブが実現していないことから、朱李は「アニメを超えちゃったね」とひと言。理名が「私たちの活動はアニメの再現に留まらないんだからいいんじゃないですか?」と投げかけ、「ガルクラ」おなじみの小指を立てるポーズをすると、客席からは大歓声が起こった。熱狂が渦巻く中、「傷つき傷つけ痛くて辛い」「極私的極彩色アンサー」という激しさ極まるナンバーや初披露の「飛べない蝶は夢を見る」がドロップされたあと、ファンから高い人気を誇るキラーチューン「爆ぜて咲く」で会場の熱気はピークへ。「爆ぜて咲いた」のシンガロングが武道館に響き渡り、観客が着けたバングルライトが激しく揺れ動いた。「スベテコワシタイ」というささやきで始まる「渇く、憂う」からは理名がギターもプレイ。パンキッシュなナンバー「声なき魚」、ポップなロックチューン「運命の華」というアニメを印象的に彩ってきた2曲が続くとファンの歓喜の声があふれ、アニメのシーンを再現するようにキャノン砲が放たれた。

あなたが私を救ってくれた

ここで理名はファンに心からの感謝を伝えるべく、「いつも私たちを見守ってくれているあなたへ」という書き出しの手紙を朗読。他人と関わることが怖くなってしまった経験、部屋に引きこもっていたこと、まっとうに生きられる道がこれしかないかもしれないと挑んだオーディションについて振り返る。さらに「活動を通じて他人と話す喜びを思い出させてくれた。あなたが私を救ってくれたんです」とまっすぐな視線を向け、「いつもそばにいる仲間、プロジェクトの関係者、一緒に力を合わせてもっともっと大きくなろうね」とメンバーやスタッフに向けてメッセージを送った。本編の最後には、トゲトゲがバンドとしての決意を示すようにエールソング「生きて生きてゆく」を届けた。

「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」の様子。(撮影:キセキミチコ)

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熱烈なアンコールに応えて舞台に戻ってきたトゲトゲは記念すべきデビュー曲「名もなき何もかも」で余力を使い果たすようなアグレッシブなパフォーマンスを展開。「劇場版総集編 ガールズバンドクライ 【前編】 青春狂走曲」のオープニング主題歌「もう何もいらない未来」を初披露して、未来へのポジティブなメッセージを放った。武道館ライブを大成功に導いた彼女たちを称えるように、会場にはファンの熱い声援がしばらくやまなかった。

「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」の様子。(撮影:キセキミチコ)

「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」の様子。(撮影:キセキミチコ) [拡大]

なおトゲトゲは本日9月24日に11thシングル「薄采ディスプレイ」を発表。10月7日23:30にはトゲトゲがレギュラー出演するinterfmのラジオ新番組「トゲナシトゲアリのトゲラジ~川崎から世界へ~」がスタートし、22日にはライブBlu-ray / DVD「トゲナシトゲアリ 4th ONE-MAN LIVE “協奏の響”」がリリースされる。11月3日には東京・日本工学院専門学校 日本工学院アリーナでの学園祭ライブ「ナタリー × 日本工学院かまた祭 School Festival LIVE “トゲナシトゲアリ”」に出演し、2026年2月から3月にかけてZeppツアー「トゲナシトゲアリ Zepp Tour 2026 “拍動の未来”」を行う。さらに「ガルクラ」の完全新作映画の製作も決定した。

セットリスト

「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」2025年9月23日 日本武道館

01. 雑踏、僕らの街
02. 碧いif
03. 闇に溶けてく
04. 空白とカタルシス
05. 蝶に結いた赤い糸
06. ダレモ
07. 運命に賭けたい論理
08. 無知のち私
09. サヨナラサヨナラサヨナラ
10. 最期の禱り
11. 誰にもなれない私だから
12. 雑踏、僕らの街(彷徨う)
13. 宣戦布告
14. 視界の隅 朽ちる音
15. 吹き消した灯火
16. 空の箱
17. 傷つき傷つけ痛くて辛い
18. 極私的極彩色アンサー
19. 飛べない蝶は夢を見る
20. 爆ぜて咲く
21. 渇く、憂う
22. 声なき魚
23. 運命の華
24. 生きて生きてゆく
<アンコール>
25. 名もなき何もかも
26. もう何もいらない未来

公演情報

ナタリー × 日本工学院かまた祭 School Festival LIVE “トゲナシトゲアリ”

2025年11月3日(月・祝)東京都 日本工学院専門学校 日本工学院アリーナ

トゲナシトゲアリ Zepp Tour 2026 “拍動の未来”

2026年2月11日(水・祝)神奈川県 KT Zepp Yokohama
2026年2月14日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
2026年2月23日(月・祝)愛知県 Zepp Nagoya
2026年2月28日(土)北海道 Zepp Sapporo
2026年3月8日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
2026年3月13日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
2026年3月14日(土)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)

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おんさ🙏🍁🍵👾𝓟𝓟𝓔 @onsa2235

【ライブレポート】トゲナシトゲアリが夢の日本武道館公演「アニメを超えちゃったね」(写真22枚) https://t.co/DsI7phJKo4
武道館公演が実現した事は嬉しいがまだまだ目標はあります。夏フェスの参戦です。RAISE A SUILENと対バンライブをやるのであれば、是非来年LuckyFesにも出てほしいです!

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