第37回東京国際映画祭NIPPON CINEMA NOW部門に正式出品された滝野弘仁の長編デビュー作「
本作は滝野の出身地である石川県小松市の古民家と石切場を舞台に、脚本家のややこと8歳の少年タカシが体験する“土地の記憶と創作”が入り混じるひと夏の不思議な物語。ややこは、亡き祖父・隆二郎の古民家に滞在しながら、遺された日記を題材に新作を執筆していた。ある日、彼女は夏の間だけ甥の少年タカシを預かることに。ややこはタカシを昔の自分と重ね合わせ、執筆中の脚本に取り入れようとする。一方でタカシは、深い石切場の奥で隆二郎の古い記憶に触れるのだった。
ややこ役には「親密さ」「シミラー バット ディファレント」などで知られる
平野鈴 コメント
「『くまをまつ』には問いがある」。
完成した作品を初めて観たときに浮かんだ言葉です。そしてその問いは、作品から投げかけられるものというよりも「見つける」「気が付く」もので、ひとによってそれぞれ違うものなのだろうとも想像します。
こんなにも自由な行き先を持つ映画に携われたことを、ひとつひとつにじっくりと向き合う監督やプロフェッショナルなスタッフのみなさんと協働できたことを、心から嬉しく思います。
また、滝ヶ原という美しい場所に置いた身体を素晴らしい俳優のみなさんが代わる代わるに通っていった時間は、ややこを過ごした自分自身としても非常に得難い時間でした。みなさんの存在そのものが当時の自分にとっての宝だったと、撮影からずいぶん時間が経った今になっても新鮮に思い返します。
この映画が、あらゆる場所に届くといいなと願います。
滝野弘仁 コメント
劇中でややことタカシが生活する一軒家は、僕の亡くなった祖父の生家です。
この映画の脚本もその家で書きました。
耳をすませば虫や動物の鳴き声が聞こえ、土や植物の匂いが家の中からも感じられるような、そんな土地です。子供の頃あの家に泊まりに行った記憶を辿ると、懐かしいような、でも少し怖いような。それは確かにあったことなんだけれど、なんだかずっとうわの空のような。今となっては、そんな薄ぼんやりとしたことしか思い出せなくなっています。僕が忘れてしまったあの頃の記憶はもう、どこか遠いところで消えてしまったのかもしれない。でももしかしたら、あの石切場の暗がりのいちばん深いところで、こちらをじっとまっているのかもしれない。まるで、冬眠しているくまみたいに。
平野鈴の映画作品
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鈴木徳至 Tokushi Suzuki @toxi13
【★情報解禁】昨年、東京国際映画祭にてワールドプレミア上映されました滝野弘仁監督の渾身作『くまをまつ』が6/7からポレポレ東中野にて劇場公開となります!
メインビジュアルは畑ユリエさんにデザインして頂きました。くまが見ている。 https://t.co/4DlZVnxbaX