フィリピンの環境活動家たちを追ったドキュメンタリー映画「デリカド」が、5月下旬より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。このたびポスタービジュアル、場面写真、監督を務めたカール・マルクーナスのコメントが到着した。
本作の舞台は、手つかずの自然が残る“フィリピン最後の秘境”と言われ、リゾート地としても有名なパラワン島。違法な伐採や漁業が横行するこの島の雄大な生態系を守るため、命懸けで立ち向かう地元の環境整備隊の姿が映し出される。ポスターには、環境警備隊のメンバーが森の前でこちらを見つめる姿が切り取られた。
もともとフランス通信社(AFP)のジャーナリストとして、パラワン島のエコツーリズムを調査していた監督のマルクーナス。しかし、島に渡る直前に連絡を取っていた環境活動家が射殺されたことをきっかけに、島の自然が権力者たちによって破壊されつつあること、そしてその破壊を食い止めるため活動している小さなグループがあることを知り、自身初の長編ドキュメンタリーの制作に乗り出した。
マルクーナスは、本作について「土地を守る人々の生き様を描き、この問題が身近な恐ろしい現実であることが伝わるよう意識しました。観客が登場人物に共感しながら、極めて切実な社会問題や環境問題を学び、自分たちにつながる問題だと感じられるようにするために」とコメントしている。
配給はユナイテッドピープルが担当。
カール・マルクーナス コメント
2011年、マニラを拠点とするフランス通信(AFP)のジャーナリストだった私は、エコツーリズムに関する記事を書くためパラワン島へ向かう準備をしていました。パラワン島はフィリピン最後の偉大な熱帯雨林があり、フィリピンでもっとも美しい場所の1つです。しかし、この取材で私が接触した環境活動家は、私がパラワン島へ行く直前に射殺されました。私はとにかく彼の殺人事件を調査するためにパラワン島へ向かいました。そこで私は、この一見のどかな島が、島を守るべき権力者たちによって破壊されつつあること、そしてその破壊を食い止めようと命懸けで活動している小さなグループがいることを知ったのです。
その1人がマニラ出身のカリスマ弁護士、ボビー・チャンでした。ボビーはオフィスの外に、パラワンの熱帯雨林で違法伐採者から没収したチェーンソーをツリーのように積み重ねて置いていました。ボビーは私に、没収の根拠としている私人逮捕について、またこの仕事のために仲間が殺されたことについて話してくれました。チェーンソーの山は、地元のビジネスマンや政治家たちに対して、彼と彼の仲間たちは決して屈しないという決意のシンボルです。これを見たとき、私はパラワンの土地を守る人々についての映画を作らなければならないと決心したのです。
私はまた、パラワンの環境活動家たちの闘いが世界的な現象となっていることも知っていました。2020年には世界中で227人が殺害されたと報告され、記録的な人数の環境活動家たちが殺されています。2015年のパリ協定以降、週に平均4人が殺されているのです。環境活動家たちは、気候変動による最悪の影響から地球を守る最前線にいます。ボビー、ニエヴェス、タタ、そして「デリカド」に登場する環境活動家たちの強さと勇気は、私たちが気候変動との闘いに希望を見出すためのインスピレーションの源になると考えています。
私は何年も掛けて、パラワンの具体的な問題を調査し、記録し、映画の主人公たち、そしてこの重要な物語を彩る多くの人々と信頼関係を築きました。違法伐採者を追跡し、チェーンソーを没収するボビーと裸足の反逆者たちとともに森で眠りについたこともありました。環境保護活動のヒロインから政治家に転身し、暗殺予告を受け続けるニエヴェスの選挙戦にも出かけました。
「デリカド」は土地を守る人々の生き様を描き、この問題が身近な恐ろしい現実であることが伝わるよう意識しました。観客が登場人物に共感しながら、極めて切実な社会問題や環境問題を学び、自分たちにつながる問題だと感じられるようにするために。
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